セカンドオピニオンの困惑

平成17年10月18日(火)
セカンドオピニオンを求めて来院する人がいる。初めからセカンドオピニオンですがと言って来る人と、診断結果をお話した後で「実は前の病院で○○と診断されたのですが、、、」という人がいる。もちろん最後まで黙っている人もいるだろう。当院の見立てが前医と同じならいいのだが、問題は診断が異なっている場合である。見解の相違ぐらいならそういう見方もあると説明できるのだが、どう考えても前医の診断と違う場合はどう説明しようかと悩んでしまう。
自分の診断が絶対正しいとはいわないが、それにしても違うものは違うのである。患者さんは心配しているわけだから、医者としては安心させてあげたいので診断どおりに答えるのだが、後で診るほど正しい診断ができる。だからそのことを話して説明し納得していただくのである。

あっという間の一週間

平成17年10月15日(土)
あっという間に一週間経ってしまった。今週はバタバタしているうちに土曜日になった。はじめの日曜と月曜が連休だったので、いつもより一日短かったからだろうか。たった一日でも短いと実に楽だと思った次第である。
今月の初めには体重を減らそうと思っていたのだが、なんと今までに経験のない体重の領域に突入してしまった。あと2週間で元に戻さねば○○になってしまう。

鍋焼きうどん

平成17年10月11日(火)
飲みが続いた時や胃が少しもたれるような時は、昼飯に「鍋焼きうどん」を食べることにしている。クリニックの近くにある讃岐屋はもう8年通っているが、な かなかいい味で飽きがこない。鍋焼きうどんには海老、しいたけ、卵、小海老のかきあげ、牛肉の薄切り、ねぎなどが入っていていい味のだしが美味しく、食べ 終わる頃にはすべての具から出ただしが混ざり合ってなんともいえないいい味になっている。十分満足するが次もまた食べようかという気持ちになる。にしんそばが食べたい時は別の店に行くが、これもなかなかいい味である。ニシンのやや濃い味付けと薄味のだしのバランスが絶妙である。
クリニックの近くに美味しい店が多いのはありがたいことである。

子供が減った

平成17年10月7日(金)
高齢化が進み、医療費が増えていくことが予想されるために、政府はさらに診療報酬を下げる準備を始めたとのこと。確かに医療費の3~4割を75歳以上の高齢者が使い、この年齢の人が増えていくと大変だろう。当院の患者さんの平均年齢は25~30歳ぐらいなので、診療報酬だけ減るという仕組みになっている。 今後は労働人口が減りお年寄りを支えることが難しくなることは、はっきりしているので仕方がないかとは思う。でも、戦後人口が爆発的に増えた世代の端っこで成長してきた私としては、どうしてこんなに子供を生まなくなったのかわからない。理由をつければいろいろあるのだろうが、少なくとも我々が子供の頃に比べれば今は本当に豊かで恵まれている。もっと皆が普通に子供をつくればこんなに人口が減ることはないだろうに。
民族の衰退は人口の減少が指標になるとしたら、確実に日本は衰退の道を歩んでいるのではないか。なにしろ自分の国を守るための武装さえ戦争につながるからだめだ、というような意見が堂々と新聞に載るような国だから。

オーストラリア女流演奏家のコンサート

平成17年10月3日(月)
2日の日曜日にオーストラリアの女流尺八演奏家のコンサートを聴きに行った。非常にすばらしい演奏で、古典の曲に対するこういう解釈もあるのかと感心した次第である。音楽はいかにいい音を出して正確に演奏するかが大切であり、それにどれだけその演奏家の音楽性を加えられるかが重要だと思うが、それぞれの曲に対して日本人的思い入れが感じられない分だけ素直に音楽が耳に入り快かった。演奏家自身が作曲した2曲の作品を広島の演奏家の人たちが演奏したが、曲想は彼女の演奏と同じように感じられたのでそれが彼女の個性だと思った次第である。同時に広島在住の日本人男性によるディジュリドゥ(オーストラリアの民族 楽器)の演奏もあって、それぞれの国の楽器を交換して演奏しているかのように感じた。
我が国では尺八などの和楽器はトキのような存在になっているが、彼の国では結構人気があるとのことである。古臭いと思うかもしれないが、尺八は歴史あるなかなか魅力的な楽器だと思う。

院内通信の更新

平成17年9月30日(金)
今日で9月も終わりだ。早いもので休みも結構あったがいつの間にか一ヶ月経ってしまった。今週は患者さんの出足がよくないので「院内通信」などの文章書きがしっかりできた。なにしろ一年は更新してなかったので気にはなっていたのだけれどやっと書くことができたのである。「院内通信」は当院についての情報公開と私のエッセイ(そんなものは見たくないという人もいるかもしれないが)を載せている冊子で結構患者さんが見ているようなので、早く更新しなければと思っていたのである。

稲刈りと秋祭り

平成17年9月27日(火)
朝夕は結構涼しくなり秋も深まってきたようだ。これからしばらくは最もいい季節になる。天高く馬肥ゆる秋、スポーツの秋、祭りの季節。
田舎育ちの私はこの季節になると稲刈りと秋祭りを思い出す。家が農家なので中学3年までは稲刈りを手伝っていたがその後は機械での取り入れになって手伝わなくてよくなったのはありがたいことであった。稲は鎌を使って刈っていたが結構しんどい仕事である。刈り方は3列並んだ畝を同時に刈りながら進んでゆく。刈り取ってできた場所に稲を置き、ちょうど一束になるようにしておく。それをわらしべを使って結んでいくのは大人の仕事である。全部刈り取ると稲を乾かすために杭を打ち込んで太く長い竹ざおを渡して稲を掛けてゆく。朝から仕事を始めて待ち遠しいのが昼飯である。いま刈り取ったばかりの稲に座って握り飯を食べ沢庵をつまむ。卵焼きや鶏のから揚げなどもあったがこれが実にうまかった。普段は家に帰って食べるのだが時には田んぼで食べることもあったのだ。
取入れが終わると秋祭りである。小さいながら神輿が村をまわり神社には屋台が出る。子供の頃はここで玩具や菓子を買うのが大きな楽しみであった。もっとも祭りも次第に尻すぼみになって今ではどうなっているのやら。

緊急避妊薬について

平成17年9月20日(火)
緊急避妊薬を希望して来院する人が結構おられる。Yuzpe法といってアメリカンジャーナルにその避妊効果についての論文が載っていたが、かなりの確率で避妊できるようだ。中用量のピルを1回2錠、12時間後にもう2錠飲めばいいのだが嘔気などの副作用があり、飲めない人もときに見られる。短期間に何度も来院するリピーターもいて、何回も使うぐらいなら低用量ピルを毎日飲んだ方がいいとすすめたくなる人もいる。以前はそんなに多くなかったが、最近増えているのはネットからの情報のせいだろうか。わからないことがあればネット検索でいろいろな情報が得られるので利用している人は多い。
ピルに関する情報も豊富でそれらを見てよく知っている患者さんも多い。その場合は説明が早くて実にいい。ピルというと何か恐いものという先入観があって、説明に時間がかかるのだが安全性、副作用共にある程度わかっているので必要なことだけ話せばよいのだ。ネットは有用であり、なくてはならないものになっている。

やせ過ぎはよくない

平成17年9月16日(金)
最近生まれる赤ちゃんの体重が減ってきている。この20年間で平均200グラム減っているそうだ。胎児の体重が減るということは胎内環境がよくないことであり、その原因の多くは最近とみに激しくなっている「ダイエット」だそうである。我が国では女性の「やせ願望」が強く、BMIで「やせ」の範疇の20代の女性の割合は20年前の2倍になっている。30代の女性も同様にほぼ2倍になっている。加えて我々産婦人科医のなかにも妊婦健診の際に、体重が増えると怒りまくる医師もいると聞く。
成人病胎児期発症説といって、高血圧・糖尿病などの成人病は胎児期にその素因がつくられるのだという説が提唱されており、世界中で注目されているそうである。それが正しいかどうかはこれからのことだが最近の「やせていれば美しい」という風潮はなんとも不自然である。せめて我々はやせすぎに対して警鐘を鳴らしていかなければならないと思う。

医師は本当のことを言え

平成17年9月13日(火)
「胃がん(スキルス)の発見が3ヶ月遅れたために適切な治療を受ける機会が遅れた」との訴えに対して最高裁は「相当な理由がある」と判断したという。こういった判断が出るのは、医師が長年にわたって「早期発見、早期治療ががん死を減らす」ということを言い続けてきたからだ。
ところががん検診により早期がんは多く見つかるようになっても死亡数はあまり減っていないという現実があり、ことは単純ではないとわかってきた。特に肺がんでは検診の有効性は否定されており、他のがんもおそらく同様になるのではないだろうか。つまりホスト(宿主)側の遺伝子の問題で「治る人は治るが、治らない人は治らない」という、検診を推進する医療側にはきびしい現実が見られるのである。さらに昔から医師は、治るかもしれないからという理由で大きなダメージをあたえる手術、抗がん剤治療を行ってきた。医師も患者も共に、治らないかもしれないということは認めたくないので何とかしようとする。でも実際には治る人は治るがそうでない人は、きびしい治療のダメージだけ残り苦しむのは本人である。
ではどうすればいいのだろうか。一つは治療の有効性、治療に伴う副作用、治療をしてもしなくても予後が変わらないのであればそのことをはっきり公開する、などをすべてきちんとおこなうことである。そのうえで、痛みや不快感など不自由に対する対症療法をいっそうきちんと行えるようにして、同時に精神的な支援を充実させることが必要だと思う。