カテゴリー 本

「書かなきゃいけない」

令和8年10月2日
表題は元・日本航空客室乗務員で作家の青山透子氏の近著である。副題は「日航123便墜落、41年目の真相」で、青山氏は以前から日航機墜落の真相を真摯に探究しており、マスコミはこのことに全く触れないので、遺族と共に世に問うことを繰り返している。今までの氏の著作からは、突然の尾翼の損傷は何らかの外力が原因としか思われず、その後の日航機の迷走と墜落、墜落後の不審な出来事、すべてが氏の調べたことが真実であるとしか思われない。これらのことは日本とアメリカの間で、決して触れてはならない案件になってしまっているということなのだろう。それでも遺族にとっては真実が知りたいと思うのは当然である。どのような事故でも原因を調べて今後の糧にしなければならない。まして航空機事故は特に厳しく原因を調べるべきなのに、この場合のみがうやむやになっている。
故・森永卓郎氏も亡くなる直前までこのことを「書いてはいけない」という著作のなかで述べている。それは①ジャニーズ事務所の性加害問題②財務省のカルト的財政緊縮主義(ザイム真理教)③日航123便墜落事件であるが、①は被害者の声と海外メディアの報道で明るみに出た。②も森永氏のおかげでタブー視されていた消費税減税も一部可能になった。それでも③だけはマスコミも含め、いまだにタブー視されている。おそらく触れてはならない深い闇があるのだろう。

「すべてがFになる」

令和8男8月27日
表題は森博嗣氏が1,996年に著したミステリー小説である。以前にも紹介したが、氏は名古屋大学工学部の助教授時代に、庭園鉄道を作りたいためにアルバイトのつもりで書いた作品のうち表題の作品を出版社が刊行して評判になり、第1回メフィスト賞を受賞したのである。メフィスト賞は出版社がこの作品のために作ったもので、いかに期待されたのかがわかる。
森氏の独特の考えや緻密な頭脳は、氏のエッセイ「お金の減らし方」「作家の収支」「孤独の価値」「集中力はいらない」などの著書を読んで感じていたが、小説を読むのは今回が初めてだった。この作品が文庫本になったのが1,998年、私が買ったのは2,026年3月発行でなんと!97刷である。氏の作品で最も売れ、いまだに売れ続けている。今回初めて読んだが、人物描写も優れているし、なにより理科系の人が書いたんだと思わせる設定で荒唐無稽ではあるが、素直に面白く読みだすと次を読みたくなり、久しぶりに面白いミステリーを堪能した。
氏は結局大学の教官を止めて作家に専念したが、充分収入もあったので広い土地を買い念願の庭園鉄道を作り、毎日遊んでいるようだ。氏の庭園鉄道やラジコン飛行機遊びなどのサイトを見ると、毎日趣味の生活で楽しそうである。世の中にはいろんな人がいると感心する次第である。

「爺の流儀」

2026年7月31日
表題は嵐山光三郎氏の著作で、2,025年2月初版発行である。氏は2,025年11月に亡くなっているので最晩年の著書の一つである。
嵐山氏の本名は祐乗坊英昭で父親は朝日新聞社から多摩美術大学教授を務めたデザイナー、母親は107歳で大往生、家族のことはあまり公にしなかったが、氏の著書には母親の「ヨシ子」さんのことがよく出てくる。長男である氏は、両親の住む敷地に家を建てて住むことになったので、父親が87歳で亡くなった後は母親のことをずっと見守っていた。
氏は「素人包丁記」「文人悪食」「頬っぺた落としう、うまい」など食にまつわる著作が多く、また松尾芭蕉の足跡をたどった「芭蕉の誘惑」や「悪党芭蕉」などの作品もあり年の半分は旅先にいる生活だった。
この作品では前半は家族の老いと自身の老いを日常目線で描き、老いていく心構えを説いている。後半では北原白秋の晩年、谷崎潤一郎のこと、陶淵明のことなどを紹介している。最後は自身の老いを楽しんでいるようであるが、なかなか深いことをあっさりと笑い飛ばしているようで面白い。テレビ画面で見ていた氏の顔を思い浮かべながら読んだ。

「クマの生態とは」

月刊保団連の特集「クマ出没と私たちの社会」で北海道大学名誉教授の坪田敏男氏による「冬眠と繁殖に見る独特な生理機構」にクマの生態がわかりやすく書かれていて、興味深かった。
世界にクマは8種類現存していて日本には北海道にヒグマ、本州・四国にはツキノワグマが生息している。ともに食肉類だが食性は草食に偏った雑食である。そのため餌の少ない冬は冬眠するようになった。クマ類の冬眠は、体温の降下度が小さい・中途覚醒がない・筋肉や骨の退行がない、などの特徴を有する。メスでは、初夏の交尾後に着床遅延が見られ、冬眠導入期(11月下旬~12月上旬)に着床する。その2か月後(1月下旬~2月上旬に出産する。出産数はおおむね2頭、メスクマは冬眠したままで、子熊は乳を吸って大きくなる。4月下旬~5月上旬には母グマについて歩けるまでに成長している。
冬眠中には排便も排尿も一切なく、代謝を落としているが出産はでき、子は勝手に乳を吸い成長する。よくまあこんなことができるように適応したものだと思う。生物は適応しないものは途絶えるというが、クマは環境に適応して生き残ったのである。以前、動物学者の畑正憲氏が北海道の島でヒグマと暮らした著作を読んだが、確かにクマは魅力的な動物だと思う。ただし、ヒトの領域にはいってこなければであるが。

「酒好きの記」

令和8年7月3日
表題は大竹聡(おおたけ さとし)氏の著作で、酒を愛し酒をとことん飲んできた一生をふり返りながら記したまさに「酒好きの記」である。
以前、ちくま書房から氏の「酒呑まれ」が刊行されたときに目について読んでみたが、肩に力の入ってない読みやすい文章で、面白く読ませてもらったが、「酒好きの記」は氏が酒を飲むようになった初めの頃から現在までの足跡を淡々と綴ったものである。コロナ禍になる前に書き始め、コロナ禍の時中断せざるを得なくなり、その後再度書いて今回出版となった。氏は早稲田大学を卒業後、出版社・広告代理店・編集プロダクションなどを経てフリーライターになった。ミニコミ誌「酒とつまみ」を創刊、酒や酒場にまつわるエッセイ・レポート・小説など執筆している。同じ酒好きのなぎら健壱氏から「酒吞まれ」と言われたことから上記のエッセイを書いているが、本当に酒好きなのだろう。現在63歳だというが毎日美味しく酒を呑んでいるらしい。どんな肝臓をしているんだと思うが大丈夫なようだ。自分もほぼ毎日嗜んでいるが、アルコールに弱い家系なのでいつも眠ってしまって家内に怒られている。氏は毎日酒を呑み、それを職業にしているのである。達人としか言いようがない。

「こうして日本人だけが騙される」

令和8年5月22日
表題はアルファ・リード株式会社の代表取締役、丸谷元人(まるたにはじめ)氏の著書である。実はこの作品は元外交官で現在外交評論家として活躍している山上信吾氏の絶賛する著作で、その言葉に惹かれておもわず取り寄せたのである。山上信吾氏は外交官時代には中国ともひるむことなくしっかり外交を行ってきた人物で、その気迫が伝わってくる著書「中国戦狼外交と闘う」を読むと、我が国にはこんな立派な外交官がいたのかと誇りに思える内容である。いつも中国に対しておもねったり、利益優先の土下座外交ばかり見ていると、このような人物がいるのがうれしい。
丸谷氏はオーストラリア国立大学を卒業後、パプア・ニューギニア・中東・アフリカで駐在員やVIPの身辺警護、テロ対策、地域の治安対策などを行い、その後アメリカ海兵隊での訓練、その他多彩にわたる訓練を終了してインストラクター資格を取得、米IT大手企業のセキュリティー・マネージャーなど歴任、現在は「月刊インテリジェンス・レポート」で海外で起きる事件や紛争の背景について分析状況を配信している。
内容は「利用される日本人」「日本は独立国でない」「「ウクライナの支援物質は闇に流される」「テレビで見かける良い人たちの正体」「金持ちがクーデターを繰る?」「アフリカで行われる代理戦争」「パンデミックは偶然おこらない」「移民をコントロールする者」「ワクチンがパンデミックを作る?」など刺激的な内容だが資料・データを挙げて納得できる説明をしている。やはり日本人は性善説でお花畑の住人だと思った次第である。世界はいかに「すれっからし」ばかりかと目から何枚もうろこが落ちたようだった。

「詰将棋の誕生」

令和8年3月27日
表題は京都大学名誉教授でチェス、詰将棋のプロである若島正氏の著作である。紀伊国屋の将棋・囲碁コーナーで目に留まり、思わず買ってしまった。
著者の名前を知ったのははるか昔、高校3年の時のことである。田舎の高校生だった自分に同級生が「Z会」を教えてくれて、受験に役立つと思ったので入会した。「Z会」は東大生とそのOBが始めた通信添削の会であり、多くの東大・京大受験生が入会しているという。旬報と共に10日毎に問題が送られてきて、それを解いて送り返すと点数と添削した答案が送り返される。辞書を使おうが何をしようがかまわないけれど、何しろ問題が難しいのでなかなかいい点が取れない。成績優秀者は筆名と共に点数が公表される。上位40分の1を4回取ると初級(初段)さらに60分の1を4回取れば中級(2段)さらに90分の1を4回取れば上級(3段)になって表彰される。そこでよく目にした成績上位者に若島氏の名前があったのである。確か3科目3段というおそるべきレベルだったのではないか。ちなみに自分は3科目3級どまりだったけれど。
その後、詰将棋の世界で時に名前を見る機会があったが、やはりあの時の驚異的な頭脳の持ち主だったのである。チェスも将棋も氏の頭脳ならむべなるかな。じっくり読むつもりである。

春が来た

令和8年3月19日
日差しも日に日に暖かさを増し、早咲きの桜も咲いて春の訪れを感じる。毎年、この頃になるとほっこりとした気持ちになる。以前にも書いたが詩人、伊藤整の詩集「雪明りの路」の中の「春を待つ」が自然に思い出される。手元にある詩集は偶然古本屋で見つけたものだが、復刊は昭和47年であるが、元の初版本はなんと!大正15年12月である。100年前の詩が現在も人の心を打つのは素晴らしいことである。
「春を待つ」
ふんわりと雪の積もった山かげから 冬空がきれいに晴れ渡ってゐる。 うっすら寒く 日が暖かい。 日向ぼっこするまつ毛の先に ぽっと春の日の夢が咲く。 しみじみと日の暖かさは身にしむけれど ま白い雪の山超ゑて 春の来るのはまだ遠い。
桜が咲けば弁当を用意して花見に行くのが楽しみである。

「読むこと考えること」

令和8年3月13日(金)
表題は養老孟司氏の著作で、小説推理に連載された「ミステリー中毒」から抜粋加筆したものである。氏の読書を通じて日ごろからの考え方や行動、生活などをエッセイ風に記していてじつに面白い。読みやすく、しかも深い内容がサラッと書いてあり、その魅力が余すところなく感じられる。まさに現代の「孟子」である。なんでも氏の母親が「孟子」にちなんで「孟司」と名付けたという。まさにその通りで、氏の著書はどれもよく売れているらしい。自分を始め多くのファンがいて、新しい著書が発売されると購入するのだろう。氏は昆虫が好きで虫捕りに台湾や東南アジアに行く。もちろん国内でも時間があれば虫捕りに行き、採取した虫の標本をつくる。その合間に講演をしたり、いろんな会の会長をさせられたり、もちろん本も書く。まさに融通無碍の生き方をしているようだ。ご高齢なので、一日でも長く活躍していただきたいものである。

週刊新潮70周年

令和8年2月27日
いつも読んでいる週刊新潮が発刊70周年を迎えた。週刊誌と言えば「ポスト」「文春」「平凡パンチ」「実話」他、あまたの雑誌が刊行されたが、結局愛読しているのは「新潮」だけである。「新潮」を愛読している9人の著名人が寄稿しているがすべてお年寄りばかりである。一番若いのが石原良純氏(61歳)である。自分を含め年寄の好む雑誌なのだろう。
面白いのはコラムで櫻井よしこ、五木寛之、佐藤優、坂上忍、和田秀樹、里見清一、燃え殻、池谷裕二、横尾忠則、古市憲寿、片山杜秀、タブレット純、将棋囲碁コーナー、私の週間食卓日記など、毎号飽きさせない内容が続いている。
今回の衆議院選挙についても、他の週刊誌は高市自民党のあらさがしばかりしているが、新潮は比較的まともである。連載小説も面白い。「室町大愚」は思わず読んでしまう。読みたい本は一杯あるのに、「新潮」を買うと記事を読んでしまうので、他に割く時間が減って困るのである。