カテゴリー 好きなもの

「がんばれ!猫山先生」

令和6年3月29日
表題は、医師でマンガ家の茨木保氏が日本医事新報に16年間連載した4コマ漫画で、毎週届く度に真っ先に読むのがこれだった。残念なことに単行本全7巻までで終了したが、イケてない医者にエールを送りたいという思いが伝わって、いつもほのぼのとした読後感があった。
マンガは小さい頃からずっと愛読しているが、日本語の吹き出しは実にすばらしいと思う。まるで映画を見ているように絵と言葉がマッチして心地よい。愛読していたのはちばてつや作品で、ほとんど持っているが「おれは鉄兵」が一番である。高橋留美子の作品、特に「メゾン一刻」は素晴らしい。故小池一夫原作のマンガもいい。高校時代から読んで今でも買うのは「ゴルゴ13シリーズ」で50年以上になるが、そこまで続いていることに驚く。
いずれにしてもマンガ文化は我々に必要で素晴らしいものだと思う。

フルートについて

令和5年8月31日
フルートを習い始めて5年になり一通り教わったので一旦レッスンをやめた。加藤克朗氏のFlute Method1,2,が終了し、フルート曲集を使ってレッスンするようになって限界を感じたからだ。教わるよりも自分で吹き込んでいく以外にはうまくならないと思ったのである。納得がいったら改めてレッスンをお願いしてみたいが、今はひたすら練習しようと思う。
尺八は10年余りやったがものにならず、フルートもそうなるかもしれないがもう少しやってみたいのである。考えてみれば楽器は小さい頃から興味があったけれど、ものになった楽器はない。ハーモニカ、リコーダー、バイオリン、ギター、とりあえず演奏できるが素人の域を出ない。バイオリンに至っては持っていただけというありさまである。尺八もフルートも指導してくれる先生は素晴らしい技術を持っていて、いつも感心しながら教わっていた。どうすればあのように演奏できるのか、才能の問題なのだろうと思うのだが仕方ない。もう少しだけやってみようと思う。

アレグリア

令和5年7月27日
シルクドソレイユのパフォーマンス集団が、コロナ明けの日本にやってきた。1992年のファシナシオン以来、13の作品を日本で行ってきた。カナダの街の大道芸から始まって世界中のパフォーマーがあつまり、シルクドソレイユという名の組織ができ、世界中で興行を行うようになった。歌あり道化ありだが、なんといってもすごいのは肉体を使ったパフォーマンスである。体操競技の床運動のようなショーから空中ブランコ、高度なジャグリングやファイアーダンスなど息もつかせぬ光景が展開される。
日本に初めて来た時から注目して見に行っていたが、毎回期待を裏切らない見事なパフォーマンスショウに満足している。コロナのため5年ぶりの開催となったので何はさておきチケットを手に入れて見に行ったわけである。土曜日の昼に新幹線で大阪へ行き、「島之内一陽」で酒食、翌日森ノ宮ビッグトップの会場へ。休憩を入れ2時間15分のパフォーマンスを楽しんだ。行きかえりの暑さにはまいったが、いい休日になった。

ジブリパークとジブリ展

令和5年5月9日
連休には甥の結婚式があったので神戸に行き、ついでに神戸市立博物館で開催されていたジブリ展に行ってみた。「天空の城ラピュタ」「となりのトトロ」「千と千尋の神隠し」などのキャラクターの実物大の展示があり楽しませてもらった。特に湯婆婆(湯バーバ)の迫力には圧倒された。
宮崎駿氏の子息、宮崎吾朗氏が中心になって「三鷹の森ジブリ美術館」を作り、愛知県長久手市で行われた愛・地球博のパビリオンとして「サツキとメイの家」の建築を手掛け、さらに引き続いてジブリパークとして展開し始めている。2,022年11月「ジブリの大倉庫」「青春の丘」「どんどこ森」の3エリアがジブリパークの第一期としてオープンしている。「もののけの里」「魔女の谷」は今年の秋から来年の秋にかけてオープンする予定だそうだ。いずれにしてもぜひ一度は訪れてみたいテーマパークである。
甥の結婚式も終わるまでは雨も降らず楽しいひと時を過ごすことができていい連休になった。

Flute Method

令和5年1月19日
表題はフルート奏者、加藤克朗氏のフルート教本で、偶然丸善で見つけ購入したものである。それまで使っていたヤマハの教本がしっくりこなくて講師にお願いして加藤氏の教本を使ってもらうことにしたのである。クラシック中心の教本で、モーツアルトやハイドン、ショパンなど教科書に出ているような作曲家の曲が教材に使われている。1,985年初版発刊で2,015年第45刷だから優れたものなのだろう、自分も「これだ!」と思った。内容は系統的に必要なことをすべて織り込みながら徐々にレベルを上げていくようになっていて、気持よく習うことができた。
評判が良かったために初めの「基礎編」に続く「応用編」が2,013年に発売され2,019年7刷になっている。現在「応用編」を教わっているがなかなか難しく、マスターできずに進ませてもらいほぼ終わり近くまできている。いい音を出すことと指使いが正しくすることがどんなに難しいかを痛感している。尺八でも苦労したがフルートも多大の努力が必要と思われる。果たして気分よく吹けるようになるのだろうか。はなはだ不安である。

落合博満氏の講演会

令和4年10月27日
先日アステールプラザ大ホールで元中日ドラゴンズの監督、落合博満氏の講演会があった。実は選手時代からの隠れファンで、現役時代に3度三冠王を獲得したことはもちろんだが、その合理的な言動と著書に注目していた。選手時代の総まとめともいうべき「野球人」という著書は1,998年発行で、氏が何を考えながら野球をしていたかがわかり、その合理主義と精神力の強さには尊敬の念を覚えた。
その後、野球解説者として実況中の話を聞くと、誰よりも話が面白く的を射ていると感じられた。2,004年から8年間中日ドラゴンズの監督をしたが、「名選手、名監督ならず」の格言とは真逆で4回のリーグ優勝、1回日本一、常にAリーグ入りを果たした名監督であった。その時のことは「采配」という著書に詳しく書かれているが、やはり合理的で本当に選手のことを考えていることがわかる。
氏が広島に講演会で来たのは初めてということだったが、1時間にわたって監督時代のこと含め色々話してくれた。内容はほぼ全部著書で知っていたが直接聞くのは初めてなので興味深いものがあった。その後は森繫和コーチ(当時)と達川光男氏が加わって球界の裏話をして満員の聴衆を大いに沸かせてくれた。面白い講演会であった。

ふかほり邸

令和4年7月21日
連休を利用して久留米の天然田園温泉「ふかほり邸」に行った。7月1日放送の「爆買いスター恩返し」を偶然見ていたら、元チェッカーズの藤井フミヤが故郷の久留米で爆買い恩返しをするということで、泊まった宿「ふかほり邸」を案内していた。敷地4千坪の庄屋さんの家を改造して5棟の部屋を点在させ、敷地内に温泉を掘り当てて温泉旅館としたという。
すぐさま電話して予約したらラッキーなことに部屋が取れた。そんなわけでのんびり温泉につかり旨い料理を堪能できた。まことにありがたいことで、コロナで入院した時から考えると夢のようである。ちょうど九州国立博物館では琉球王国の特別展が始まっていて興味深く観覧することもできた。残念だったのは昼過ぎに小倉の「田舎庵」へうなぎを食べに行ったら店の前にも人が並んでいて1~2時間待ちだというので退散。この店は九州へ来た時には立ち寄ってうなぎを食べることが多かったが、最近は人気がいっそう出てきたようだ。
ともあれゆっくり骨休めができた小旅行だった。

「私」という男の生涯

令和4年7月15日
表題は今年2月に亡くなった石原慎太郎氏の著書で、本人と夫人の死後に出版するように決めていたという。内容は生い立ちから両親のこと、弟裕次郎氏との関わり合い、思春期から大学時代、芥川賞受賞のいきさつ、結婚のこと、世に出てからの様々なこと、恋愛のことも包み隠さず(?)書いている。だから夫人が亡くなった後に出版することにしていたのだろう。それにしても作家、国会議員、東京都知事など実にパワフルな人生を歩んだスケールの大きい人物が晩年、その胸の内を置手紙のようにさらけ出している著書は実に興味深く、同じことを何度も繰り返している部分はあるが、面白かった。
石原氏の著書は高校時代から注目していて、特にヨットで太平洋を横断するレースを描いた「星と舵」は、大学に入ってすぐにヨット部に入る動機になった、尤もすぐに退部したが。長編小説「亀裂」も好きで思い出したころに読み返して今も手元に置いている。平凡パンチに連載していた「野蛮人のネクタイ」も当時の若者の風俗の先端を描いて面白く、野坂昭如氏や三島由紀夫氏との対談集なども含めて氏の著書はほとんど読んでいると思う。氏ほど日本を愛し公平無私に国のためになることをした人はなかなかいないだろう。文学で、行動で我々を楽しませてくれた氏に感謝である。 合掌

ムツゴロウの地球を食べる

令和3年10月20日
表題は畑正憲氏の著作で2011年発売の文春文庫本である。久しぶりに本棚から取り出して読んでみたが、世界中を歩いて様々な食材と食文化を徹底的に調べ、味わい、自分で再現することなどをエッセイ風にさらりと書いている。自分の青春期に畑正憲氏(通称ムツゴロウ)の「われら動物みな兄弟」を読んではまってしまい、以後「ムツゴロウシリーズ」の本は発売と同時にほぼすべて買った。ちょうど自分が20代から30代の頃で、氏の生きざまが実に魅力的で、次はどうするんだろうと目が離せなかった。ヒグマを飼った話「どんべえ物語」「さよならどんべえ」などは何度も読んでそのたびに胸が熱くなったものである。
氏は麻雀が好きで強く、「畑正憲の精密麻雀」「ムツゴロウの麻雀物語」の本もあり、プロの十段位も獲得している。とにかくスケールが大きい人物である。いつのころからか新しい著作も見かけなくなり自分の中でのブームが去ったのだが、ふと手に取った本で当時を思い出したわけである。

「死という最後の未来」

令和3年4月30日
表題は石原慎太郎氏と曽野綾子氏の対談で、令和2年6月発行の本である。二人は今年89歳と90歳になるようだが、今までにたくさんの仕事をして我が国では最も知られた作家である。自分は二人のファンで、特に石原氏の作品は高校時代からずっと熱心に読んでいて、大学に入学してヨット部に入ったのも、氏の作品「星と舵」にいたく感動し刺激されたからだった。曽野氏は亡くなられた夫君、三浦朱門氏の「妻をめとらば曽野綾子」という言葉にふさわしい「見目麗しく才長けた」人である。そして心根の強さもそれ以上だと思われる。この二人の対談となれば読んでみたくなるのは必然である。
予想した通りお二人の意見は共感し合いながら底の部分ではそれぞれ異なっていて、今まで描いていた二人の像がそのまま反映されていて面白く読ませてもらった。ほぼ50年、半世紀にわたって愛読してきた二人の作家の今の会話は含蓄深いものがあり、いろいろ考えさせられる。死はあらゆる人に平等にやってくるものであり、じたばたするのも平然と受け入れるのも結局は同じだと思ったことであった。