カテゴリー 意見

聖火リレー

令和3年3月26日
いよいよ東京オリンピックの聖火リレーが福島から始まった。テレビで一斉に報道しているが、多くの人は醒めた目で見ているように感じる。何しろ国内でもコロナが終息していないのに海外から多くの選手・関係者が大挙して入国するのである。世界中のコロナ異変種が入ってくる可能性があるし、もし選手村や関係者の間でクラスターが起きたら、医療をはじめちゃんとした対応が本当にできるのだろうか。
我が国では第3波がおさまりかけているが、実際はどうなるかわからない。海外からの観客は受け入れないそうだが、チケットの払い戻し額も半端ではないし国内の観客をどうするのかもわからない。とにかく日本には大きな損失しかないことは間違いない。海外の反応は多くは開催反対と言われている。結局、IOCとそれに伴う放映権などの利権(海外の利権である)で開催することにしたのではないか。さらに、来年の北京での冬季オリンピックは、中国が「コロナを克服した」と世界に向けて宣伝するので、もし今年日本がオリンピックを中止したら、世界から馬鹿にされると思っているのではないか。こんな時こそ「オリンピックは中止する」という決断をすれば後世に残る偉業になるのではないか。

令和3年初春

令和3年1月6日
謹賀新年
めでたいはずの新春であるが、コロナで相変わらず憂鬱な日々が続く。なんでも首都3県に緊急事態宣言がでるらしい。なんという無駄なことをするのだろう。今までの経過を見ていけばわかると思うが、もう感染を抑えることはできない。若者にとってはただの風邪なのでマスク装着だけにして、高齢者はステイホームに努めるようにすればいいのである。症状があるものだけ治療して、後は今までのような生活をする。感染者は増えるだろうが、ウイルスを防ぐことはできないという前提に立てば行動はおのずから決まる。経済に与えられる影響も、医療の逼迫も今よりは良くなるだろう。今のままでは日本の国力は落ちてしまい、日本の領土を狙っている隣国が一層我が物顔に領海に侵入してくることを阻止できなくなる。我々もそうだが、日本のトップには総合的に見た覚悟が必要だと思う。
いつもなら今年の診療の目標などを書くのだけれど、つい思ったことを書いてしまった。診療はいつもと同じように誠心誠意やっていく所存です。今年もよろしくお願いします。

またもコロナ騒動

令和2年12月4日
昔から冬になるとコロナ風邪が流行っていた。今はインフルエンザの方が症状も重く感染力も強いので、コロナ風邪のことはあまり言わなくなったが、インフルエンザは強力なのでワクチンなどで対処してきた。でも実際のところワクチンはたいして効果がないこともわかってきたし、重傷者は入院治療で対処し、他は自宅で治るのを待てばよかった。
それが憎むべき武漢コロナウイルスのために世界中が大変なことになっている。特に欧米は死者も多く疲弊している。日本はありがたいことに重症者も死者も欧米に比べれば格段に少なく、欧米の専門家は「ジャパンミラクル」と呼んでいるそうだ。インフルエンザよりも感染者数・重症者数・死者数がはるかに少ないのだから2類からインフルと同じ5類にすれば経済も回復し自殺者も減るだろう。
コロナは冬になれば蔓延するのは当たり前で、防ぐことは不可能と思っていたらこのところわが国でも感染者が増えてきた。広島市では先週の木曜から今週の水曜までの1週間で110人の新たな感染者が報告された。重症者は0、中等症1、あとは軽症か無症状である。インフルよりずっとマシである。マスコミもあおり過ぎだと思う。インフルと同じ扱いにするべきである。

責任

令和2年9月25日
医療機関は患者さんに対してどこまで責任を持てばいいのだろうか。たとえば妊婦健診は妊娠中の様々な異常に対して対応する義務があるが、時間外に異常が発生することが多く、24時間対応できる体制でなければ難しい。お産をする病院は24時間受け入れているので、いつお産が始まっても大丈夫である。だから生まれるまでの期間も含めいつでも対応してもらえる。ただし、この体制を作るために医師はもちろんスタッフの確保、施設の整備など目に見えない多くの努力がある。個人で行うには限界があるので当院では妊婦健診を行わず、妊娠8週で予定日が確定した段階で分娩施設に紹介するようにしている。
時々、患者さんから「妊婦健診を受けている病院に予定外の受診を申し込んだら、予約が一杯だと断られた」といって当院を受診されることがあるが、症状を聞いたうえで急ぐ必要がないと判断してならいいが、そうでなければ?である。さらに「お産の後、乳腺炎のような症状で発熱して痛いのでお産した病院に問い合わせても対応してもらえなかった」という話を聞くと、これまた?を感じる。常識的にはそこまでは対応すべきではないだろうかと。普通はあり得ないことなので、たまたまそうなったのだろうが色々難しい問題をはらんでいる。当院もどこまで責任を持つべきなのか、常識で納得できるところまではと思うが、その常識にも幅があるだろうし。

大型連休?

令和2年5月2日
ゴールデンウイークの最中なのに街は静かなものである。車の数も少ない。いつもならフラワーフェスティバルを控えて人があふれかえっているだろうに。自粛要請を受けた多くの店はシャッターをおろして耐えている。連休明けまでは頑張ろうと、日本中の人たちは大人も子供も外出を控えている。
ところが自粛要請が5月末までになってしまった。これでは経済活動はもとより国民の精神的なダメージはすごいものがあるだろう。かつて「欲しがりません、勝つまでは」と国民に耐乏生活を強いて、挙句の果ては国土を焼け野原にされてしまった当時の指導者と同じことになるだろう。当時もマスコミと軍部指導者が一体となって戦争継続に駆り立ててすべてが終わってしまったのだ。国民も薄々わかっていたけれど、勝つのだという思いに騙されたのである。ウイルスに勝つことはできない。経済活動を少しずつでも再開しなければ、それこそ先の戦争の時と同じようになるだろう。
週刊新潮の記事が指摘するように、「交通事故をゼロにするために、自動車を止めてしまうという方策」を行っているのではないか。

日本統計年鑑

令和2年1月10日
令和元年の我が国の出生数は90万人を切ったそうであるが、日本統計年鑑のデータを見るといろいろなことがわかってくる。昭和40年(1965年)から5年ごとに女性の年齢階級別出生数と出生率を表にしているが、平成2年までは20代後半の女性の出生数が最も多かった。平成2年頃からこの年代の女性の出生数が減り、30代前半の女性の出生数が増えてきて平成17年(2005年)からは30代前半の女性の出生数が最大になった。
最近では20代後半の出生数と30代後半の出生数が同じになっている。これは統計史上初めてのことだと思う。さらに40代後半の出生数については、体外受精という技術が一般化する前までは200~500人ぐらいだったが、平成26年(2014年)からは1200~1400人に増えている。
昭和40年には年間180万人も出生していたのに昨年はその半分になってしまった。広島県のお産をする病院も減少の一途をたどり、新幹線の沿線以外の地域ではお産のできる施設はほとんどなくなった。世界の歴史をみれば民族の興亡は必ずあり、どんなことをしてもこの流れは止まらないだろう。戦後の何もない時代から現在の便利さに満ち溢れた時代までを経験してきた我々世代としては、いい夢を見せてもらったと思うが、まさに「諸行無常」である。

健康診断はいらない

令和元年8月23日
職場の婦人科健診で異常を指摘され受診する人が後を絶たない。調べてみても多くは検査する必要のない状態ばかりである。検診する側は、どんな些細なことでも指摘しておかないと後で訴えられたら困ると思うから様子を見ておいてもよいことでも指摘するのだろうし、受ける側は検診するよう職場から言われるので仕方なしに受けてその結果異常を指摘されて受診されるのだと思う。以前にも書いたが健康診断が役に立つという証拠はないにもかかわらず、厚労省の通達1本でいまだに検診が続けられているのが我が国の現状である。
職場検診が行われているのは世界中で日本だけだという。よその国が健診をしない理由は、健診が命を長引かせるかどうか調べた結果、意味がないことがわかったので各国は健診をやめたそうである。我が国も2005年に厚労省が研究班(班長:福井次矢・聖路加国際病院長)を作って健康診断の有効性を調べて報告書を出した。結果は、健康診断の大半の項目に有効性の証拠は薄い、ということであった。しかもマイナス面として①放射線による発がんの増加②病気の見落としによる治療の遅れ③治療不要な病気の発見による不要な検査・治療の副作用④膨大な費用などが指摘された。これで、健康診断を薦める通達はなくなるかと思ったがどういうわけか握りつぶされてしまった。そしていまだに厚労省の通達のために職場検診が行われて意味のない受診させらている人たちがいる。本当に気の毒なことである。

和洋楽器の違い

令和元年7月26日
以前にも書いたが和洋の考え方の違いは政治・経済・文化などあらゆるところで見られるが、自分の経験した楽器についての違いを考えてみる。尺八とフルートは起源が似ているが異なった改良がなされてきた楽器である。「尺八」は平安時代にはすでに演奏されていた。「フルート」は旧石器時代のヨーロッパに起源があるといわれているが、現代に近いものは、16世紀からだという。初めは7つの穴で縦型と横型の両方があったが、17世紀後半より、半音を正確に出せるように改良され現代のフルートになった。
「尺八」は正倉院に保存されているものと現代のものとほぼ同じで、唄口の形や内部の塗(ぬり)指孔の大きさなどの改良はあるものの決定的な改良はない。名人の吹く尺八の音は心にしみるものであるが、問題は演奏が難しく穴の数が5つしかないので西洋音階を正確に出すのは無理なことである。対して「フルート」は様々な工夫から正確な半音階が出せるし、音もほぼ誰でも出せるように唄口が改良された。その結果、名人でなくても音が出せるし正確な半音を出すことができる。ブラスバンドからオーケストラまで他の楽器とのコラボもできる。対して「尺八」は構造的に音を出すこと自体が難しいうえに、正確な半音階が出せない。いい演奏は名人しかできないので家元制度が生まれ弟子がついていく形にならざるを得ず、近代になって必然的にすたれてきたと思われる。
和弓と洋弓(アーチェリー)を比べればどちらが優っているか歴然としているが、我が国は道具を改良するよりも、すでにあるものを使いこなす名人芸の方を重んじてきた。「弓道」「剣道」など「道」という考え方で技術を磨いてきたけれど、道具を改良したうえで技術を磨くという西洋的な考えの方が、同じ努力をした場合優っていることは明らかだろう。合理的考えを元に研鑽することが大切だと思われる。

診療報酬の話

令和元年6月7日
健康保険を使って診療所・病院を受診すると必要な検査・治療を受けることができる。その場合、かかった金額の3割を支払うだけでよく、残りの7割は健康保険より医療機関に支払われる。この時に医療機関が行った検査・治療(薬も含む)はレセプトに記載され、健康保険(協会・組合)に毎月集められ、その内容が正当なものだと判断されれば残りの7割が支払われる。そして正当でないと判断されれば支払われない。その場合、医療機関は赤字になるので、再審査を要求することができる。
検査・治療をしていいかどうかは病名によって決まっているので、極端に言えば病名さえあればどんなにたくさん検査してもかまわないことになる。腕のいい医者ほど少ない検査で的確に診断して、薬も最小限で治すので治療費も安く済むが、医療機関の収入も少なくなる。逆に、たくさん検査・治療した方が収入が増えるのでそうする医療機関もあるだろうが、それが正当かどうかはだれにもわからない。全く同じ状態の人が同時に別の医療機関を受診して同じように治った時の検査・治療の違いはどうかを比較しないかぎりわからないのである。
レセプト審査委員をしていた時に山ほど病名が付いていっぱい検査をしている医療機関もあり、そこが結構流行っていたりするとなんだかなあと思っていた。検査をたくさんしてもらう方がいいという人や、薬も多い方を喜ぶ人がいるのも事実である。でも自分としては必要最小限の検査で診断して、薬も必要最小限にするのが当たり前だと思うし、患者さんの負担を少なくしてあげたい気持ちは変わらない。いくら検査しようが治療しようがその人がすこしでも良くならなければ意味がない。医療は「癒し」だと思うからである。

日本の人口はどうなる?

平成31年4月26日
平成という年号を使うのもあとわずかになった。激動の昭和、じり貧の平成、さて令和はどうなるのだろう。確実なことは人口が減ることに歯止めが効かないことである。
厚労省は平成30年12月21日付で平成30年人口動態(推計値)を発表した。対象は日本で出生した日本人であるが出生は92万1000人で前年より2万5000人減少、死亡は136万9000人で前年より2万9000人増加した。自然増減数は44万8000人減で前年より更に5万4000人減少、離婚件数は59万組で前年より1万7000組減少だった。
平成28年に出生数が100万人を切り、婚姻数も減少を続けている。婚姻数は5年で7万1000組減り、出生数は10万9000人減っている。
毎年50万人近くの人口が減っているうえに結婚が減り離婚が増えれば人口減少はいっそうすすむ。冷静に考えれば我が国の将来は非常に厳しい。それでもこの流れを変えることは難しいのだろう。一つの国の興亡は人間の一生に似て、なるようにしかならないのだろうか。ゴールデンウイークを前にして、暗い話である。