月別記事一覧 2024年3月

「がんばれ!猫山先生」

令和6年3月29日
表題は、医師でマンガ家の茨木保氏が日本医事新報に16年間連載した4コマ漫画で、毎週届く度に真っ先に読むのがこれだった。残念なことに単行本全7巻までで終了したが、イケてない医者にエールを送りたいという思いが伝わって、いつもほのぼのとした読後感があった。
マンガは小さい頃からずっと愛読しているが、日本語の吹き出しは実にすばらしいと思う。まるで映画を見ているように絵と言葉がマッチして心地よい。愛読していたのはちばてつや作品で、ほとんど持っているが「おれは鉄兵」が一番である。高橋留美子の作品、特に「メゾン一刻」は素晴らしい。故小池一夫原作のマンガもいい。高校時代から読んで今でも買うのは「ゴルゴ13シリーズ」で50年以上になるが、そこまで続いていることに驚く。
いずれにしてもマンガ文化は我々に必要で素晴らしいものだと思う。

邦楽の祭典

令和6年3月22日
日曜日に広島駅前地下広場で「邦楽の祭典」という演奏会が開かれた。最近は尺八から遠ざかっていたのだが、誘われていってみた。筝曲、尺八、和太鼓、三弦、民謡など「和」の世界が広がっていて久しぶりに楽しませてもらった。ただ、地下広場は寒くて長居できず、目当ての演奏を聞いてすぐに暖かい場所に避難した。
問題はその後のことで、午後になると体調が悪くなり、夕方には微熱、食欲はなく下痢など風邪症状が起きたので、早めに休んだらありがたいことに翌日の夕方には回復してきた。以前はこれくらいの寒さでは風邪などひかなかったのにやはり年のせいか。一昨年のコロナ感染も体力が落ちていたためと思われるし、年には勝てないのだろう。最近は散歩もしてないし足腰が衰えていると思われる。まだまだ復活の余地はあるので、このままにしてはおかないつもりである。

「鉄欠乏性貧血のニューノーマル」

令和6年3月15日
表題は広島大学産婦人科准教授の阪埜浩司氏の講演である。鉄欠乏による貧血は主に生理のある女性に起きやすく、我々産婦人科医にとっては日常的にみる症状である。経口の鉄剤を処方するが胃を刺激するので飲めない人もいて、造血剤を注射することもあるが、なかなか難しい。
最近我が国でも使われ始めたモノヴァーという治療剤は酸化第2鉄1000mgを点滴するだけで4カ月鉄剤を内服した時と同じ効果がでるという。特に1か月後に手術を予定していて早く貧血を回復しておきたいときなどは最適の方法だそうである。こんな製剤が出ていることは全く知らなかったので勉強になった。やはり講演や勉強会にはできるだけ出席して聞いておかないと浦島太郎になってしまう。
若い頃は高齢の先生たちの治療を古臭いなどと思ったこともあるが、今になっては若い人たちからは同じように思われているのだろう。歴史は繰り返す。

モネ展

令和6年3月8日
明石に用事があり土曜日に一泊、ついでに大阪中之島美術館で開催されている「モネ展」に行ってみた。さすがに光の芸術家と言われているだけあって、水面にきらめく光の絵が印象的だった。代表作の睡蓮の絵はモネの家の庭に作った池に咲く睡蓮を描いたもので、これなら出かけなくても描けるだろうと思ったものである。
毎度のことながら大阪のような都会に行くと人の多さとせわしない動きに疲れてしまう。地下鉄も人であふれかえっているし、阪急梅田百貨店のレストランでウナギを食べ、食材を仕入れようと地下に降りたが混雑は半端でなかった。広島のデパートに比べて規模と人の数が全然違う。新幹線で広島に帰って駅についてほっとして、やはり自分にはこれくらいの規模の街が落ち着くのだなと思ったことである。

「免疫学夜話」

令和6年3月1日
表題は大阪公立大学の橋本求教授の著書で、自己免疫疾患がなぜ起きるようになったかを考察したものである。語り口がなめらかでわかりやすく、そうだったんだと納得することが満載で、近年稀な名著である。
帯に養老孟司氏の「人類はウイルス、細菌、寄生虫との戦いと共生の歴史。読むとやめられなくなる」とあるが、まさにその通りでこれほど的確な推薦文はない。
紀元10万年前に南アフリカで類人猿からヒトに移った「マラリア」は人類史上最も古い感染症で、現代でも年間2億人が罹患し、60万人が亡くなっている現在進行形の病である。マラリアはマラリア原虫という寄生虫を持つハマダラ蚊に刺されることによって起きる。マラリア原虫はかつて光合成をしていた藻類から葉緑素が失われて寄生虫になったことがわかってきたが、ヒトの赤血球はマラリア原虫が生きるのに最適な環境のためにそこで増殖し、赤血球を破壊して次の赤血球に移ることを繰り返して行く。
マラリアから逃れるために遺伝子変化して鎌状赤血球になったヒトは、マラリアにかかりにくい。また、マラリアに強い遺伝子変化をしたヒトはSLEに罹患しやすくなっているという事実があり、SLEはマラリヤと同じ症状の自己免疫疾患である。自己免疫疾患は感染症から逃れるために遺伝子変化してきた人類の宿痾のようなものではないだろうか。アレルギーもそのような一面があり、ヒトと感染症のかかわりはどこまでも続くのである。
シマウマの縞はなぜあるのか、など面白い話題満載のこの著書は座右の1冊にしたいと思う。