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空気で動く

令和3年9月1日
理性と情の間で揺れ動くのが人間だと思うが、国によっても個人によっても現れ方はずいぶん違う。欧米と比べて我が国は合理的という部分ではかなり遅れを取っているように思う。例えば健康診断は他国では強制されていないが、我が国では厚労省の通達のためいまだに強制的に職場で行われている。厚労省自身が研究班を作って調べた結果、有効性がほとんどないとわかったにもかかわらずである。
今回のコロナ騒動についても同じで、ずいぶんおかしなことを強制している。特に居酒屋をはじめ食事する施設に制限を設けてしまったが、感染は止まらないにもかかわらず制限したまま。果てはアルコール全面禁止ときた。これなどはなんの検証もせず雰囲気で決めたものだ。世界の情勢からみてコロナウイルスはすでに市中を覆っているとしか思えない。発症しないのは日本人の従来のコロナウイルスへの耐性と健康であればウイルスが標的臓器に達する前に跳ね返しているからだ。防ぐことができないのであれば、2類感染症とは違うように対処するしかないだろうがこれも変えない。経済も人心も疲弊した状態をいつまで続けさせるのか。もっと合理的な思考で事に当たるべきではないか。

非常事態宣言(再)

令和3年8月25日
またも非常事態宣言が出された。今までの世界のコロナの状況、日本での状況からみて、コロナウイルスの蔓延を防ぐ方法はないことがわかってきている。都市封鎖しても世界中に広がっているので、中等症・重症者のための治療施設の充実を図ることが最も大切であるが、同時に各人が免疫力が落ちないような生活を心がけて、より安全なワクチンの開発を待ち、2週間で変異するというウイルスの弱毒化を期待して日々を送るしかないのでは。
他国では、コロナを防ぐことはできないのだからウイズコロナに方針を転換して、人々の活動をできるだけ戻そうとしている指導者も出てきた。翻って我が国の各知事たちは相変わらず意味のないことがわかってきた「非常事態宣言」を出すように政府に働きかけている。経済も回らず人心は荒廃するのがわからないのだろうか。加えて「禁酒令」、これほど証明もされてない無意味なお達しを出し続けているようでは「無能」と言われても仕方がないのではないか。

猛暑

令和3年8月6日
連日猛暑が続く。オリンピックもあとわずかになったけれど、昼間炎天下で競技する選手は本当に大変だろう。日本の夏、特にこの時期は一番暑いので秋に行うのならいいが、夏ならやるべきではなかったと思う。アトランタ五輪をルポした沢木耕太郎著「オリンピア1996冠コロナ(廃墟の光)」は2008年に出版された作品であるが、今読んでみると氏が予感したことが現実になって来ているのがわかる。氏はオリンピック発祥の地オリンピアにアテネからバスで訪れ、スタディオンと呼ばれる古代の競技場跡に立つ。氏のオリンピックへの思いはそこから始まるのである。古代オリンピックが1200年続いた後、一旦失われ近代オリンピックが1896年クーベルタン男爵の尽力によりアテネで始まったが、さまざまな問題が起きてくる。1984年のロサンゼルス大会がターニングポイントではないかと氏は語る。入場料、放送権料、スポンサード収入などにより利益を生むようになったからである。現在のオリンピックは開催時期も選手のためではなく欧米の放送権などで決められている。暑い日本の夏、しかもコロナ禍で開かれているのはどう考えてもおかしいのである。古代オリンピックが滅びたように近代オリンピックも滅びるのではないか。

無観客の五輪開催

令和3年7月14日
いよいよ来週からオリンピックが始まるが、ほぼ無観客になるという。東京に緊急事態宣言が出されたためだというが、そんなことならオリンピックをやめるべきだ。やるのなら観客を入れないと開催する意味がない。日本よりもコロナ重症者や死者が今でも多い英国ではユーロのサッカーの試合もウインブルドンのテニス大会も、マスクなしで観客を入れ通常通りに行われた。英国のジョンソン首相はコロナ感染のため入院していたが、回復後マスクを含めすべての規制を撤廃して通常の状態に戻すと宣言した。我が国の倍の死者が今も出ているにもかかわらずである。これこそ指導者の肝の据わった決断である。それに引き換え我が国の指導者たちの情けなさはどうだろう。専門家の言葉や都知事の圧力に右往左往して、せっかく開催を決めたオリンピックも無観客だと!ワクチンにしても初めは「感染を防ぐ」と言っていたのがいつの間にか「重症化を防ぐ」に変わっていった。このままではワクチンよる死亡者が増えていくだろうが、その責任はだれがとるのか。情けない国になってしまったものである。

禁酒令

令和3年7月9日
「広島県内の飲食店は一切アルコールを提供してはならない」というかつてのアメリカの馬鹿な禁酒令ほどではないけれど、あまりにも無駄な命令もやっと「昼間はよいが午後7時以降は禁止」に緩和された。来週からは「午後8時まで」になるらしい。それにしてもくだらない「禁酒令」を出した元凶は誰だろうか。おそらく東京のトップあたりだろうが政府も反対できず容認し、広島県も当たり障りないように追随したという形だろう。
コロナ蔓延の責任を飲食店に押し付けるようなお達しがこれでもかと続く。英国はマスクをはじめすべての制限を失くして、各自の責任で通常の生活に戻すことになった。日本はもっと少ない感染者数と死亡数なのにこのありさまである。事なかれ主義と臆病すぎる日本のやり方にはうんざりである。お上が制限しなくても日本人の大半はきちんと礼節を守って対処していくことはこれまでの振る舞いから想像できる。お上には「黙れ」と言いたい。

緊急事態宣言

令和3年5月19日
ついに広島県に緊急事態宣言が出た。5月16日から月末まで飲食店でのアルコール禁止、時短営業、生活必需品以外は時短営業など閉塞した生活が強いられることになった。これまでの経過と過去の感染の教訓からウイルスを防ぐことはできないことがわかっているにもかかわらず、国民に無理を押し付けている政府の無策ぶりはどうだろう。近藤誠氏の「新型コロナワクチンのひみつ」にどのように対処していくか的確に示しているが、適正な食事、入浴に気を付ける(年間入浴中に2万人亡くなっている)、適度な運動、ストレスフリーな生活をするなど、抵抗力をつけるような生活を心がけることを説いている。ウイルス感染を防ぐことは不可能なのだから、各自が感染したときに重症化しないように日ごろから心がけて生活するしかない。国の経済や生活を維持しながらソフトランディングしていくしかないではないか。ウイルスは変異を繰り返していくからワクチンもそれほど期待できない。オリンピックどころではないのに中止せず、ひたすら国民に無理を押し付けている。心底ダメな国になってしまったと思う。

聖火リレー

令和3年3月26日
いよいよ東京オリンピックの聖火リレーが福島から始まった。テレビで一斉に報道しているが、多くの人は醒めた目で見ているように感じる。何しろ国内でもコロナが終息していないのに海外から多くの選手・関係者が大挙して入国するのである。世界中のコロナ異変種が入ってくる可能性があるし、もし選手村や関係者の間でクラスターが起きたら、医療をはじめちゃんとした対応が本当にできるのだろうか。
我が国では第3波がおさまりかけているが、実際はどうなるかわからない。海外からの観客は受け入れないそうだが、チケットの払い戻し額も半端ではないし国内の観客をどうするのかもわからない。とにかく日本には大きな損失しかないことは間違いない。海外の反応は多くは開催反対と言われている。結局、IOCとそれに伴う放映権などの利権(海外の利権である)で開催することにしたのではないか。さらに、来年の北京での冬季オリンピックは、中国が「コロナを克服した」と世界に向けて宣伝するので、もし今年日本がオリンピックを中止したら、世界から馬鹿にされると思っているのではないか。こんな時こそ「オリンピックは中止する」という決断をすれば後世に残る偉業になるのではないか。

令和3年初春

令和3年1月6日
謹賀新年
めでたいはずの新春であるが、コロナで相変わらず憂鬱な日々が続く。なんでも首都3県に緊急事態宣言がでるらしい。なんという無駄なことをするのだろう。今までの経過を見ていけばわかると思うが、もう感染を抑えることはできない。若者にとってはただの風邪なのでマスク装着だけにして、高齢者はステイホームに努めるようにすればいいのである。症状があるものだけ治療して、後は今までのような生活をする。感染者は増えるだろうが、ウイルスを防ぐことはできないという前提に立てば行動はおのずから決まる。経済に与えられる影響も、医療の逼迫も今よりは良くなるだろう。今のままでは日本の国力は落ちてしまい、日本の領土を狙っている隣国が一層我が物顔に領海に侵入してくることを阻止できなくなる。我々もそうだが、日本のトップには総合的に見た覚悟が必要だと思う。
いつもなら今年の診療の目標などを書くのだけれど、つい思ったことを書いてしまった。診療はいつもと同じように誠心誠意やっていく所存です。今年もよろしくお願いします。

またもコロナ騒動

令和2年12月4日
昔から冬になるとコロナ風邪が流行っていた。今はインフルエンザの方が症状も重く感染力も強いので、コロナ風邪のことはあまり言わなくなったが、インフルエンザは強力なのでワクチンなどで対処してきた。でも実際のところワクチンはたいして効果がないこともわかってきたし、重傷者は入院治療で対処し、他は自宅で治るのを待てばよかった。
それが憎むべき武漢コロナウイルスのために世界中が大変なことになっている。特に欧米は死者も多く疲弊している。日本はありがたいことに重症者も死者も欧米に比べれば格段に少なく、欧米の専門家は「ジャパンミラクル」と呼んでいるそうだ。インフルエンザよりも感染者数・重症者数・死者数がはるかに少ないのだから2類からインフルと同じ5類にすれば経済も回復し自殺者も減るだろう。
コロナは冬になれば蔓延するのは当たり前で、防ぐことは不可能と思っていたらこのところわが国でも感染者が増えてきた。広島市では先週の木曜から今週の水曜までの1週間で110人の新たな感染者が報告された。重症者は0、中等症1、あとは軽症か無症状である。インフルよりずっとマシである。マスコミもあおり過ぎだと思う。インフルと同じ扱いにするべきである。

責任

令和2年9月25日
医療機関は患者さんに対してどこまで責任を持てばいいのだろうか。たとえば妊婦健診は妊娠中の様々な異常に対して対応する義務があるが、時間外に異常が発生することが多く、24時間対応できる体制でなければ難しい。お産をする病院は24時間受け入れているので、いつお産が始まっても大丈夫である。だから生まれるまでの期間も含めいつでも対応してもらえる。ただし、この体制を作るために医師はもちろんスタッフの確保、施設の整備など目に見えない多くの努力がある。個人で行うには限界があるので当院では妊婦健診を行わず、妊娠8週で予定日が確定した段階で分娩施設に紹介するようにしている。
時々、患者さんから「妊婦健診を受けている病院に予定外の受診を申し込んだら、予約が一杯だと断られた」といって当院を受診されることがあるが、症状を聞いたうえで急ぐ必要がないと判断してならいいが、そうでなければ?である。さらに「お産の後、乳腺炎のような症状で発熱して痛いのでお産した病院に問い合わせても対応してもらえなかった」という話を聞くと、これまた?を感じる。常識的にはそこまでは対応すべきではないだろうかと。普通はあり得ないことなので、たまたまそうなったのだろうが色々難しい問題をはらんでいる。当院もどこまで責任を持つべきなのか、常識で納得できるところまではと思うが、その常識にも幅があるだろうし。