令和6年10月4日
日曜日は広島市の休日当番なので、一日クリニックを開けていた。毎度のことながら産婦人科に来る患者さんは少ない。これは開業した27年前から同じで、産婦人科だけが目立って少ないのである。広島市全体で1日平均10人くらい。これでは休日がつぶれるだけでなく、何とも言えない疲労感があり「産婦人科だけは休日当番は無くてもいいのでは」と思ってしまう。必要があるのなら忙しくても、せっかくの休日をつぶしても頑張ろうと思うのだが、9月21日(日)の患者さんは6人!うち1人は当院の患者さんだった。
あまりの少なさに広島市医師会への報告に「産婦人科の当番医の患者さんの数が少なすぎるので、当番医を無くしてもいいのでは」と書いたら、医師会の事務局から電話があった。「最も急を要するのは妊婦さんだが、それはかかりつけの分娩施設が24時間対処している。必要とされているなら協力するのはやぶさかではないが、貴重な休日をつぶしてまで当番医をする必要があるのか」と言うと「当番医制度は広島市から委託されているので、その旨報告しておきます」とのことだった。
おそらくこのまま当番医制度は続くだろうし、産婦人科医は休日当番のヒマさを我慢していくことだろう。まったくかなわないと思う。
カテゴリー 意見
休日当番医
LGBT法案
令和5年6月1日
自民公明両党はLGBT法案を国会に提出した。性的少数者を守ることは大切だが、G7サミットに合わせて大急ぎで出したのはいかがなものか。女性だと自認した男性がトイレ・浴場・スポーツなどに介入してくることを、LGBT当事者団体特に女性団体から反対の声が上がっているという。さらに児童生徒にも性差をなくする教育がなされるようになることが、はたして本当にいいことなのだろうか。
エッセイストで動物行動学研究者の竹内久美子氏によると、人間も含め動物はメス(女)がオス(男)を選ぶのが原則で、メスにとって1回の繁殖に多くのエネルギーと拘束時間がかかるためできるだけ質の良いオスを慎重に選ぶ。対してオスは1回射精したら次の繁殖のチャンスはすぐに巡ってくるので相手を慎重に選ぶ必要はないし、そうしないほうが得である。繁殖における原則の違いが男と女の一番の違いで、性差を失くする教育は動物としての大原則に完全に逆らっている。
性の多様性を認めることは必要であるが、欧米に合わせての性急な法案提出はいかがなものかと思う。
オンライン資格確認
令和5年3月9日
遅ればせながらオンライン資格確認の機械が届いた。レセコンにつないで4月から使用開始する予定である。政府はマイナンバーカードと保険証を紐づけし、現行の保険証を使えないようにすることで、マイナンバーカードを普及させようとしているからだ。そのために各医療機関に読み取り装置が必要になり、多大の出費がかかる。援助があるとはいえ毎月の保守料金もバカにならない。故障などの不備も多いと聞く。
今までの保険証で何の問題もなくやって来れたのに、マイナンバーカードを義務付けてしまうことでどれほどの利益があるというのだろうか。多大な出費に見合う効果があるのか甚だ疑問である。政府機関にとって税金は人の金だからいくら使ってもいいと思っているのだろう。コロナでもバカげた金の使い方をしてそのつけは後の世代に残すことになっている。バブルの前まではこの国は借金がなかったのに、じゃぶじゃぶ国債を発行して借金まみれになってしまっている。それぞれの国でその国民はその民度にあった政府しか持てないといわれているが、今の状態を見ていると我が国の民度は地に落ちたとしか思えない。
秋深き
令和4年10月20日
秋も深まり朝夕には寒さが感じられるようになった。まことに我が国は四季がはっきりして風情がある。
コロナも落ち着いてきたが相変わらずマスクをつけることは皆止めていない。我が国の同調圧力はすごいものがある。いまこそコロナを2類感染症から5類に変更するチャンスなのだが厚労省は動かない。今回のコロナ騒ぎでいかにこの国の危機管理体制の脆弱なのかがわかったし、最中のマスコミの扇動やそれに乗っかった「専門家」の発言がいい加減だったかわかった。そのせいで、無駄な「蔓延防止対策」「アルコール禁止令」「飲食店いじめ」「ワクチン真理教」が横行した。店を閉めた飲食店も多い。この責任はだれがとるのか。責任者である政府・都道府県の首長・専門委員会の委員・マスコミがとるべきである。でも今になっては誰も知らん顔である。この無責任体制が我が国の特徴で、少数の正しいことを言っていた人たちの声は無視されてきた。
厚労省はマイナンバーカードを健康保険証に紐づけようと必死である。カードは大衆を管理するためのもので、大衆にはほとんど意味ないのに強引に進めようとしている。医療機関には脅しをかけながらすすめている。日本医師会はこの愚策に反対せずすすめようとしている。一体この国はどうなるのだろうか。
産婦人科治療の変遷
令和4年10月13日
産婦人科の治療はこの40年でずいぶん変わってきた。例えば「切迫流産」、これは妊娠初期から中期にかけて出血などの流産兆候があった場合の病名であるが、40年前は安静・止血剤・子宮収縮抑制剤の処方、入院も薦めるのが標準治療だった。その後、超音波検査が開発され予後がわかるようになってからは何もせず経過観察するようになった。以前は入院して安静・止血剤などの点滴が普通で、病棟にはそんな患者さんが多かった。今から思えばさぞ大変だったと思う。
生理痛のひどい人に対して子宮後屈が原因だといって後屈を治す手術(欧米で始まった手術)も行われていた。今は後屈が原因説は否定されているので手術された人は気の毒としか言いようがない。
他にも同じような例はいくつもあり医学はそのような試行錯誤を繰り返して進んできたのである。現在行われている治療も後になって間違っていたということはいくらでもあると思う。だからこそおかしいと感じる検査や治療はすべきではないしいつもそのような視点でガイドラインを見ている。たとえ周りが行っていても本当に将来にわたって患者さんのためになると信じられること以外はしない。この姿勢は一貫している。
コロナは普通の風邪になった
令和4年9月29日
新型コロナ第7波もおさまってきてやっと終焉を迎えたようである。周囲の多くの人が感染し、ほとんどは普通の風邪でおさまっているのをみると、オミクロン株以降はまさに「普通の風邪」になったようだ。
母校の先輩で病理・感染症・分子病理学の井上正康名誉教授、現代適塾塾長はコロナ騒ぎの初めから、厚労省や専門家と称する人たちの振る舞い、マスコミのあおりなどに対して警鐘を鳴らしていた。ウイルスの感染は防げないし、集団免疫も獲得できるからインフルエンザと同じように対処するしかない、mRNAワクチンは危険すぎるので使うべきではないと。
我が国ではコロナが蔓延し始めた2,020年の超過死亡は18,000人少なかったのにワクチンを打ち出した2,021年は70,000人以上が多く亡くなっている。2,022年はもっと増えるだろうといわれているが、原因はワクチン以外には考えられないという。
ファイザー社のワクチンに関しては、その内部資料を米国FDAが75年間隠蔽しようとしたけれど、裁判で敗訴して開示せざるを得なくなった。5万5千ページに及ぶ資料によると、治験者総数4~5万人で亡くなった人が千数百人、治らない重篤な副作用があった人が数千人、回復しつつある人が数千人、副作用の種類が1,291件とのことで、これがその時点で発表されたらだれもワクチンを打たないだろう。それでFDAは75年間非公開にしたことは医学倫理では考えられないことである。これからはワクチン後遺症に対処することが大切で、心ある医師たちは勉強会を開いて情報交換をしているという。なぜ本当のことを言う人の言葉は無視されてしまうのだろうか。ファイザーの公開した資料はわが国でも議論すべきだろうし、8億8千万回分のワクチンの契約は反故にできない。またも政府と厚労省はうやむやにするのだろうか。
新型コロナ第7波
令和4年8月5日
新型コロナ感染が落ち着いてきたと思ったらここにきて過去最大の感染が起きている。第6波が終わった時点で2類感染症扱いを止めて格下げしておけば、今のような混乱は起きなかったと思う。症状の軽い人がほとんどなので、症状の重い人だけを入院加療して、それ以外の感染者は症状がなくなれば職場復帰すればいいのだ。学校も同じ、従来の風邪やインフルエンザの扱いでいいと思う。そもそもかぜのようなウイルス感染を防ぐことなどできない。人類は過去に何度も経験してきたではないか。対症療法をして嵐の過ぎるのを待つだけである。過去におこなった飲食店の時間制限だとかアルコール禁止だとか、「正気か?」と思われるような愚策を大真面目にやってきた責任はだれがとるのか。
早く2類感染症の扱いを止めて普通の風邪にしないとこの国は終わるのではないか。
がんばれ「産経新聞」
令和4年7月7日
子供時代は家で購読していたのは読売新聞だったが、一家を構えてからは産経新聞を購読している。高校大学時代は「日中友好」の掛け声が盛んで、とくに朝日新聞などは贖罪意識にかられたのか中国へのおもねりなのか「中国の旅」と称した大ぼらを吹いた。当時はそれを信じて、日本軍は悪いことばかりしていたのだと思っていたが、正しい知識を身に着けるようになって、戦後GHQの広報のように使われた新聞、マスコミのプロパガンダだと知った。戦時中は戦争を煽りまくった新聞が、戦後「あれは一握りの軍人が悪かったのだ」といって知らん顔をして生き延びたのは、なんだかなと思ったものだ。その中で産経新聞は中国に対してもおもねらず、唯一中国に特派員をおけなかった。かの国は本当のことを報道する産経新聞が煙たかったのだろう。今でも尖閣諸島に中国の船が領海侵犯していることを、産経新聞はきちんと報道している。国益のために正しい報道を心がけている産経新聞は貴重である。
ところが新聞自体が斜陽で、発行部数が減っているせいか紙面広告が増えている。最近では3分の1は広告になっている。大丈夫か。産経新聞のようなクオリティーの高い新聞は長く生き残ってもらいたいものである。
妊娠中絶について
令和4年7月1日
日本では人工妊娠中絶は合法になっているが世界ではそれぞれ異なった取り決めがある。たとえばマルタは全面的に禁止されている。アイルランド、スペイン、ポルトガルは基本的に禁止だけれど条件付きで可能になっている。アメリカでは州によっては禁止なので正式な統計は出ていないが年間130万件ぐらいと推定されている。妊娠中絶の率が最も多いのがロシアでスエーデン、フランス、英国も多い。我が国はかつては多かったが今は最も少ない国の仲間入りをしている。その理由はコンドームの普及のおかげだといわれている。
たしかにピルの普及している欧米に比べて我が国のピルの普及率は最低である。現在3%といわれている。でも、我が国より一桁ピルの普及率の多い欧米がなぜ人工妊娠中絶が多いのだろうか。欧米の人の方が性的に活動的なのかもしれない。
妊娠中絶を決めるのは女性であるべきで、男性はオブザーバーにすぎない。妊娠を継続し命がけで産み、育てるのは女性である。中絶という心身ともに大きな負担をこうむるのも女性である。それを男性社会が合法だとか非合法だとかいうのはおかしな話で、女性が真剣に考えて決めたことを尊重すべきである。
天下の愚策
令和4年1月12日
オミクロン株の感染者が増えたとの理由で、広島県と岩国市等に蔓延防止対策が発令された。原因は米軍基地のある沖縄と岩国の基地内で流行していて、周辺に広がっているからとのこと。ならば、米軍基地に外出禁止などの措置を要求するのが第一で、自国民に意味のない我慢を強いるのは筋が違うだろう。あとでわかったことだが、知事は米軍基地に自粛を要求していたようである。基地側が要求を実行したかどうかはわからない。
そもそもオミクロン株の感染はほぼ「ただの風邪」である。これは南アフリカ、インド、イギリス、アメリカの状況を見ればわかる。むしろオミクロンというただの風邪の免疫に置き換わったほうがいいことは、素人でもわかることだ。にもかかわらず、〇〇の一つ覚えのように、マンボウだと。オリンピックの時の緊急事態宣言が何の役にも立たなかったことが第5波でわかったはずなのに。施政者はトータルで物事を判断し、たとえその時にどんなに非難されても命がけで事に当たるべきである。その点、英国の首相などは、ウイズコロナで一貫している。
一生懸命頑張ってきた飲食店をはじめ様々な業種の人たちに、またもや多大な犠牲を強いるような指導者は不要である。