12月24日(土)
一年の終わりの月を師走というが文字通りあわただしい月で、なんだかんだバタバタしているうちにもうクリスマスである。寒さもいっそう増して北部では大雪だという。今年も残るところあと1週間で、はて今年は何をしていたのだろうとふり返るがなかなか思い出せない。来週1週間かけて来し方を振り返り、行く末を想ってみよう。まさに光陰矢の如しである。
カテゴリー 日誌
もうクリスマス
流産手術の多い月
平成23年12月16日(金)
流産手術と中絶手術は月によってバラつきがあるが、当院は場所柄か中絶手術の希望は毎月そこそこある。でも流産手術は月によって異なりあまり多くないのが常であるが、今月はなぜか多い。以前勤めていた病院はお産が月に60以上あったので流産手術も多く、月平均15~20はあった。当院は分娩施設ではないので妊婦健診は多くはないにもかかわらず、今月の流産手術の多さはどうしたことだろうか。
流産手術と中絶手術は手順は全く同じであり、異なるのは前者は保険適応なので患者さんの負担が少なくてすむことであり、後者は保険外なので一定の金額が必要となることである。また、流産手術は配偶者やパートナーの同意がなくてもできることと、母体保護法指定医でなくても医師であれば手術できることである。
寒い日が続くけれど無事に妊娠が継続して、流産の患者さんが減ってくれますように。
またも孫誕生!
平成23年12月9日(金)
8月に次女に男の子が生まれたが、今度は長女に2人目の女の子が生まれた。さすがに2人目となると、本人も我々夫婦も初めての子の時ほど心配はしていなかったが、予定日が近づくと早く産まれてほしいと思っていた。生まれたのは予定日を一日過ぎた、ちょうど地区医師会の忘年会の最中だったので、その場で出席した会員の人たちに披露できたのはありがたいことであった。
昨日は病院で祝い膳が供されることになっていて、病室で一人で食べるのも味気ないだろうと我々夫婦と預かっている上の子を連れて相伴することにした。個室なのでビールとワインを持ち込んで、もちろん娘は水で乾杯して祝い膳を味わった。実は上の子の時も一緒に食べたのだが、その時は食堂でアルコールもなかったので今回は持ち込んだわけである。何にしてもこれから先、目出度いことはそんなにはないだろうから、今のこの時を大いに喜び家路についたことである。
歯がゆい思い
平成23年12月5日(月)
健康診断で子宮がん検診を行う時に、内診で子宮筋腫や卵巣のう腫などを見つけることがある。健康診断は保険外なのでそれ以上詳しく調べたり治療することはできないのでその旨お話し、改めて保険証を使ってカルテを作り必要な検査や治療を行うように薦める。
先日も筋腫があり貧血のある人がおられ、詳しい検査や治療を薦めたところ、数年前まで大きな病院で筋腫を指摘されていたが放置していたのでその病院であらためて診てもらうとのことだった。今ここでカルテを作って診察すればわずかな時間で検査、治療ができるのにと思ったが仕方ないので「早く診てもらってください」と言っておいたが歯がゆい思いであった。
大きな病院だと、一連の診察と治療に半日はかかるだろう。治療内容は診察した医師によって違うだろうが、当院との違いはないのである。もちろん当院は無床診療所なので入院・手術はできないけれど、手術が必要だと判断した場合は、すみやかに信頼できる医師(病院)に紹介している。大きな病院ではできないきめ細やかな小回りのきく医療をしている自信があるので、一層そう思ったことである。
飲み過ぎた
平成23年11月28日(月)
今年も滝口ビルの忘年会がイタリア料理店「アル・マンドリーノ」を借り切って行われた。この忘年会はクリニックの入っているビルのオーナーの滝口耳鼻科と内田(内科)クリニック、すずらん薬局が合同で20年前から行っている会である。私の所も開業以来メンバーに加えていただいているので今回がもう15回目の参加になる。毎年の節目として意義ある会であり、同じビルで働いていてもなかなか顔を合わせることの少ない人たちとの交流の場でもある。
滝口耳鼻科とすずらん薬局のスタッフは初めから多かったが、すずらん薬局は店の数も増えそれに伴って人員も増えて大所帯になっている。今回の滝口ビル忘年会は全部で62名という大人数になった。滝口先生とすずらん薬局の協力で恒例の大ビンゴゲームが行われ、美味しいワインがふるまわれ楽しい時を過ごすことができた。問題はその後である。普段はもっぱら日本酒でワインはあまり飲まないのだが、じつに美味しいワインだったので知らないうちにかなり飲んでしまったらしい。締めのあいさつの途中でろれつが回らなくなったらしく、最後まではしゃべれなかったようだ。後で記憶がよみがえってきたが、恥ずかしくて穴があったら入りたい心境である。こんなことはこの15年間で初めてである。まだまだ飲み会はあるのでこれからは気をつけようと深く心に誓った次第である。
競争
平成23年11月23日(水)
寒くなってきたがあいかわらず自転車通勤している。もっともアシスト自転車なので、普通に走っていても他の自転車を抜いてしまうのでいささかうしろめたいような気がするが。でも中には負けん気を出して必死に漕いで抜き返していく自転車もある。抜かれたことで競争心が湧いて抜き返すのだろう。生物はこの「競争」があることで生き延びてきたのだと思う。
ヒトは一回の射精で億単位の精子を放出するが、これらの精子は先を争って卵子に殺到し、そのうちの1匹が卵子の中に入ることで受精が成立する。まさに数億分の1の確率である。これも競争によって勝ち残った強い精子と合体することで、より強い子孫を残すという生き延びるための仕組みなのであろう。
養老孟司著「解剖学教室へようこそ」
平成23年11月15日(火)
養老孟司氏の著書を久しぶりに読み返してみたが、改めてその面白さに感じ入った。氏の文章は、本当はとても難しいことや複雑なことを簡潔に分かりやすく示してくれるので、なんだか自分が賢くなったような気がするが、これが氏の能力のすごさであろう。
「解剖学教室へようこそ」は氏が東大の解剖学の教授だった56歳のときに出版された。それから2年後大学を退官し、その後の活躍は世間の知るところである。学生時代、基礎医学の解剖学や組織学、ウイルス学や寄生虫学などは自分には全然面白くなく、これをやらなければ大好きな臨床に進めないので無理して頑張ったが、当時この本があったら解剖学にも興味がわいたかもしれない。
人体のマクロからミクロへ、生老病死とDNAの連続性、心とからだの関係など興味深い内容をさらりと説明して最後は宗教書のようである。この本の解説を僧侶がしているが、相通ずるものがあるのだろう。
薬の話
平成23年11月8日(火)
日本人は薬好きだといわれるが、確かに医療機関では多量の薬が処方されている。医者が処方しすぎるのか、患者さんが求めるのか、その両方の相乗効果なのか、とにかく医療費に占める薬剤費の割合はアメリカの3倍、フランスやドイツの2倍である。明らかに薬の使い過ぎだろう。
本当に必要な薬は約300種類で、これだけでほぼ対処できるというエッセンシャルドラッグの概念がWHOで提唱されて久しいが、わが国では世界一高い薬が17,000商品も売られている。同じ薬でも日本以外の国と比べて高い薬価になっていて、喜ぶのは外資系も含めた製薬会社だけである。一方、昔から使われていて評価の定まった薬は薬価が下げられて、製薬会社は利益が出ないから製造中止にしようとしている。
当院では薬の処方は実に少なく、本当に必要だと思う薬しか処方しないようにしている。ただし、患者さんが漢方薬や他院で処方されていた薬を出してくれと言われた場合には、一応自分の考えを言った上で、それでも求められたら仕方なく処方することはある。もちろん納得されて今まで使われていた薬を止められる患者さんも多い。思うに自分のような医者ばかりだったら製薬会社はいやがるだろうが、薬剤費は大幅に減るのではなかろうか。
受診時定額負担
平成23年11月1日(火)
現在、75歳未満の人は医療費の3割を負担し、75歳以上の人は1割を負担している。これから高齢者が増えることは確実なので、政府は受診する度に100円を別に徴収するという提案をしている。これが受診時定額負担という提案であるが、受診回数の多い高齢者にとってはきびしいことになると思われる。消費税と同じで初めは3%だったものが今は5%になったように、100円は200円になりそのうち500円1000円になるかもしれない。
民主党は先の選挙で国民に媚びるような甘い政策を一杯掲げて、自民党の政治に飽きていた人々の心をつかんで大勝し政権を担った。ところが実際に国のかじ取りをしてみると現実のきびしさに気がつき、経験不足もあって右往左往しているところである。国を企業に例えると、前経営陣にとってかわった新経営陣は全くダメで、経営をさらに悪化させつぶれる寸前にしてしまったということである。前の経営陣の方がマシだったと皆が思い始めているのが現実であろう。国民の負担を増やす経営(政治)などアホでもできる。昔から重税を科すのは悪代官と決まったものである。受診時定額負担には反対である。