令和3年5月27日
表題は作家森博嗣氏の著作で、いつもながらユニークな語り口で「勉強」の意味について述べている。多くの人が子供の時に大人から「勉強しなさい」と言われただろうが、勉強とはなにか、本当に意味があるのかを著者の体験から考察している。氏は名古屋大学工学部の4年生になった21歳の時に卒業論文のテーマを与えられて初めて「勉強」の楽しさを知り、あまりの面白さにそのまま大学に残り研究に没頭してきたという。
勉強は楽しくないのが当たり前なのに大人はそれを強制するのはなぜなのか、遊びの方が面白く価値があると思うのにどうして勉強だけが義務なのかと問われたらどう答えるのだろうか。氏は勉強が大嫌いで教科書がすらすら読めないし人の名前も覚えられない、花や虫の名前も覚えられないので、小学校4年の時に「無駄なことに時間を使うのはやめよう」と思っていたという。興味がなかったので勉強をしなかっただけで、本当に面白いと思ったら文字通り寝食を忘れて勉強して助教授になった。アルバイトのつもりで本を書いたら賞をもらいベストセラーになった。10年後に大学を辞めて趣味の生活を楽しんでいる。小中学時代の「勉強」とは「釘の打ち方を覚えること」だというのは、なるほどだと思う。そして本当の「勉強」は絶対に必要である。