断定ではなく

令和3年6月3日
医師から断定のような言葉で診断を聞き、傷ついた人の話を聞くことがある。医学(生物の仕組み)は未知のことだらけで、わからないことのほうがはるかに多いといういことを肝に銘じたうえで、相手の気持ちを思いやって慎重に言葉を選ばないと、何のために医者をやっているのかわからない。「今の状態なら妊娠は不可能だから体外受精以外ではダメだ」とか「ちゃんと通院しなかったら死ぬよ」など医者の言葉とは思えない文言を浴びせられた話を聞く。前者はその後自然妊娠して子供が授かったし、後者は今も元気に過ごしている。
医療はやってみないとわからないことも多いので、試行錯誤の段階で誤りも起きるだろうが、大いなるものに対する畏れを底流にしたうえでの医療でなければと思う。現在はこれが正しい治療ということになっていても後年、それが否定されたことはいくらでもある。問題なのはその治療や予防が取り返しのつかないことを引き起こすことがあることだ。ガイドラインに示されていてもあくまで「今の時点で」ということである。