「自分は死なないと思っているヒトへ」

令和6年1月26日
表題は養老孟司氏が1994年から2,000年にかけておこなった7題の講演をまとめて掲載したものである。氏の物事の本質を捉え、わかりやすい言葉で伝える力は素晴らしく、いつも感心しながら読んでいる。
なぜ解剖学を選んだかから始まって、物事を深く考える習慣ができ、引っかかったことがあれば徹底的に考え続け、それまでの膨大な知識を使って納得する答えを出す。氏の書いたものを読むといつも納得させられることが多く、新しい本が出ればすぐ買って読むことにしている。
氏は考えるだけでなく身体を動かすことも同じように大切で、自然に触れることをいつもおこなっている。東南アジアに虫捕りに行くのも趣味であり氏にとっては大切な時間だろう。小学生たちと虫捕りに行って、子供たちに自然と触れ合う経験をさせることもしている。
世界の宗教の成り立ちとその意味についての考察では、都市化が進んだから宗教が必要になったのだいうが、なるほどと大いに納得した。
氏の名前は孟子から採ったそうだが、まさに多くの人々を啓蒙した孟子のように現代人に大いに影響を与える偉大な思想家だと思う。