平成29年1月13日(金)
私が産婦人科の医師として一人前になるよう指導していただいた大恩ある岡山大学名誉教授のS先生が亡くなられ、お通夜に行ってきた。会場には懐かしい顔が多数みられ、長いこと医局に無沙汰していることをあらためて思った。
S先生は私が医学生の時に教授に就任され、卒業後医局に入った時には名実ともに名教授でおられた。手術の腕は超一流で、国内はもとより他国からも見学に来るほどであった。医局制度は充実しており、皆が公平に修練できるように配慮されていた。教授回診は週に2回あり、ちょうどドラマ「白い巨塔」と同じで主治医は受け持ちの患者さんの回診が終わるとほっとしたものである。当時は中国・四国のほぼすべての県に関連病院があり、そこへ医局員を派遣していた。それぞれの県の主要な病院はたいてい関連病院だったので、私も四国は徳島県以外はすべて赴任したし、中国地方は鳥取・島根以外は在職した経験がある。S先生は研究もされたが臨床を最も大切にされていたように思う。だから、私のように研究にはあまり興味がなく臨床が一番と思っている医局員にもやさしく接してくださったのだと思う。いずれにせよ今があるのはS先生と岡大医局のおかげであり、そのことを一層感じさせられたひと時であった。最後にS先生のご尊顔を拝見したが本当にきれいだった。享年92。合掌。