平成29年1月27日(金)
昨年の後半ごろからそれまで快適に楽しんできた昼食ライフが微妙に変わってきた。ある店は値段が段階的に高くなり、自分の中のリーゾナブル感が?となったので足が遠のいた。別の店は店主側の健康上の理由で、しばらくは昼食提供が難しくなってしまった。別の店は重要なスタッフが辞めた。20年もたてば色々な変化はあると思うが、行きつけの店が変わるのを見るのはなんだかなあ感があるものである。それぞれの店にはそれぞれの歴史があり、この激戦区で生き残っているわけだからいいものを持っているのは間違いないし、自分も気に行って通っていたわけである。それでも時間が経つうちに微妙にあるいは大きく変わることもあることを、改めて感じたわけである。
気に入っている行きつけの店はまだいくつかあるので、それらを起点に好みの店を徐々に増やしていきたいものであるが、なんといっても今まで長く楽しませてもらった店には思いが残っている。どうなっているか時々様子を見に行って、復活していればまた通いたいと思う。
月別記事一覧 2017年1月
昼食サイクルの異変
「人はどうして老いるのか」
平成29年1月20日(金)
表題は京都大学教授などを歴任された動物行動学者、日高敏隆氏の著書である。副題が「遺伝子のたくらみ」でヒトがなぜ老いるのか、老いとはどういうことなのかを遺伝子を基にして考察している。氏は以前から興味深い著作を多数出されているが、どれも面白いものばかりである。「チョウはなぜ飛ぶか」、ローレンツ著「ソロモンの指輪」の翻訳など、すでに古典的名著となっているものも多い。
動物たちはそれぞれの個体が自分の遺伝子を持った個体を多く残すことを「目指して」生きている。ヒトも例外ではなく適応度が高いほど多くの子孫を残せるが、適応度が高いことは「多産」であっても長生きできることとは別であるという。遺伝子集団は自分たちが生き残れるように、進化の途上で周到なプログラムを組み立ててきた。それぞれの個体はプログラムどおりに成長し、子孫を残して死んでいくが、このプログラムは固定的なものではなく「選択」によって変化するため最終到達点までいかないこともある。これについて氏はロールプレイングゲームを例にとってわかりやすく説明している。ゲームはすべてプログラミングされていて、個々のプレーヤーの選択によっては最後まで進めないことがしばしばみられるが、遺伝子のプログラミングもこれと同じだという。
実にわかりやすい説明で、すべて遺伝子集団のプログラムどおりなら「老い」はどうしようもないことである。もっとも、難しく考えなくても昔から皆あたりまえのことと思っていることではあるが。
恩師の通夜
平成29年1月13日(金)
私が産婦人科の医師として一人前になるよう指導していただいた大恩ある岡山大学名誉教授のS先生が亡くなられ、お通夜に行ってきた。会場には懐かしい顔が多数みられ、長いこと医局に無沙汰していることをあらためて思った。
S先生は私が医学生の時に教授に就任され、卒業後医局に入った時には名実ともに名教授でおられた。手術の腕は超一流で、国内はもとより他国からも見学に来るほどであった。医局制度は充実しており、皆が公平に修練できるように配慮されていた。教授回診は週に2回あり、ちょうどドラマ「白い巨塔」と同じで主治医は受け持ちの患者さんの回診が終わるとほっとしたものである。当時は中国・四国のほぼすべての県に関連病院があり、そこへ医局員を派遣していた。それぞれの県の主要な病院はたいてい関連病院だったので、私も四国は徳島県以外はすべて赴任したし、中国地方は鳥取・島根以外は在職した経験がある。S先生は研究もされたが臨床を最も大切にされていたように思う。だから、私のように研究にはあまり興味がなく臨床が一番と思っている医局員にもやさしく接してくださったのだと思う。いずれにせよ今があるのはS先生と岡大医局のおかげであり、そのことを一層感じさせられたひと時であった。最後にS先生のご尊顔を拝見したが本当にきれいだった。享年92。合掌。
謹賀新年
平成29年1月6日(金)
明けましておめでとうございます。
早いもので平成9年にこの地でクリニックを開いて20年目を迎えた。20年というと長いようだが、実感では本当にあっという間だった。時間は矢のように過ぎてゆくので、この調子でいくと瞬きする間に人生の終わりが来るのだろう。元旦、初詣の護国神社でひいたおみくじは小吉。そういえば去年某所で凶のおみくじを引いて、珍しいのでかえって喜んだことを思い出した。何はともあれ健康で毎日過ごせることが一番ありがたいことである。今年も一日一日を大切にして一期一会の気持ちで診療していきたいと思っている。
今年もよろしくお願いします。