日付別記事一覧 2016年5月20日

日常診療における子宮内膜アブレーション

平成28年5月20日(金)
表題の講演が島根大学医学部産婦人科の中山健太郎准教授により行われた。子宮筋腫や子宮内膜症により過多月経になることは多いが、その際にピルなどによる薬物治療ではコントロールが難しい場合、筋腫摘出術や子宮摘出術を行うことが一般的である。子宮をなくしたくない人や手術を希望しない人のために、子宮動脈の一部をふさいで筋腫への栄養血管をなくするUAEという技術が開発されている。この方法では子宮は残るけれど良い点も悪い点もあり、それほど一般化していないのが現状である。
子宮内膜アブレーションはマイクロ波を使って子宮内膜を焼くことにより月経の量を減らすか失くすという治療法である。この方法だと子宮内膜は機能しなくなるというか、失われるので女性ホルモンによる変化はなくなる。ただし、子宮筋腫の増大が防げるわけではないし子宮内膜症による卵巣チョコレートのう腫の増大は防げないので、症例を選んで行う必要があるが、子宮内に細いマイクロ波アプリケーターを入れて焼くだけなので、手術のような侵襲はなく当日か翌日退院も可能である。いろいろな治療方法が開発されることにより治療の選択肢が増えるのはありがたいことである。