日付別記事一覧 2010年2月17日

子宮頸がん予防ワクチンの効果

平成22年2月10日(水)
最近、子宮癌の予防ワクチンについての問い合わせが多い。テレビや新聞で紹介しているからだろうが、他科のドクターからも聞かれる。
テレビでは、このワクチンを接種しておけば子宮癌が防げるので欧米では政府が無料で実施している国も多い、と報道しているようである。子宮頸癌はHPV(ヒト・パピローマウイルス)が最大の原因だとわかってきたことは事実である。HPVの種類は100近くあり、そのうちの16,18の型の感染が子宮癌の70%を占めているという。ワクチンはその16,18の型に対するものである。だからそれ以外のウイルスに対しては効果がない。
問題なのは、まず値段が高いことである。3回接種しなければならず、全部でおよそ5万円かかる。さらに、このワクチンを接種することで子宮癌による死亡数がどれくらい減るか試算してみる。わが国の子宮癌による年齢調整死亡率は2万人に1人である。だから2万人にワクチンを接種してすべて効果があったとして、子宮癌死亡数は2万人につき0.3人になる。つまり、19999人には打っても打たなくても死亡には関係ないことになる。しかも効果は7~8年しか続かないという。
わが国で毎年1000万人が罹患するインフルエンザのワクチンなら、まだ費用対効果があるだろう。なにしろ1回3~4000円でOKだから。でも子宮癌のワクチンは値段が高すぎるうえに費用対効果が低すぎないか。このワクチンは英国の製薬会社が開発したそうであるが、こういうものにお金をかけても喜ぶのは製薬会社だけである。それよりお金は介護にまわすべきである。介護事業はお金をかけるほど良くなるからである。