カテゴリー うまいもん

「そば」について

平成27年10月9日(金)
「そば」についてのエッセイでは池波正太郎氏の作品が知られているが、氏は店が込み合っていない午後に行きつけの蕎麦屋にふらりと入り、軽いつまみで酒を1~2合飲み、もりそばをたぐってさっと引き上げる、というようなふるまいを書いている。私も「そば」は好きなのでちょくちょく食べに行くが、よく行くのは「はっぴ」と「そば切り吟」である。どちらも「そば」がすばらしく、つゆもそれぞれ微妙に異なるが美味しく甲乙つけがたい味である。つまみも品数は少ないがビール、日本酒に合うものを用意していて好きである。「つまみ」の種類とおいしさではそごうに出店している「藪そば」がいい。ここのかき揚げとだし巻きは、さすが日本の名店だと思わせる味である。
「そば」そのものでは高橋邦弘名人の「雪花山房」が素晴らしかったが、残念ながら今年の5月に閉店したそうである。高橋氏は今もそば打ちの指導に全国を回っているらしい。拠点を大分県に移すといううわさもあるが真相はわからない。最近宮島に高橋名人系列の「翁」ができたそうである。ぜひ行ってみたいと思っている。

ラーメン考

平成27年8月29日(土)
ラーメンは元来は中国の食べ物だったのだろうが、日本に伝わって我々の好みに合うように改良がくわえられ、今ではカレーライスと同じように国民食といってもいい食べ物になっている。中区だけでも150軒以上のラーメン店があるそうだが、クリニックの近くにもいろんなラーメンの店ができている。「一風堂」「ばりうま」「我馬」「一竜」「一蘭」他多数あるが、よく行くのは「海風道」である。この店は初めは立町にあり、麺とスープのバランスがよく、焼き豚と味玉が絶品で毎週通っていたが、吉島に移転したのでたまにしか行けなくなっていた。今は八丁堀に帰ってきたのでちょくちょく行っている。
流川で飲んだ後の締めに行くのは新天地公園のそばにある「うぐいす」である。この店のラーメンはあっさりしているので妙に食べたくなる。近頃はすぐに腹いっぱいになり、残念ながら締めのラーメンをあきらめることが多くなったのは歳のせいか。インスタントなら「うまかっちゃん」が好きで、発作的に食べたくなると水を少なめにして刻みネギを加えて自分でつくる。いずれにしてもラーメンは、昔からのあたりまえにある食べ物になっている。

うまいパスタ

平成27年4月24日(金)
以前は肉が大好物だったが年とともに次第に和食がよくなって、今ではうまい肴に日本酒がこたえられない組み合わせになっている。もちろんピザやパスタも食べたくなる頻度は減っているが好物には変わりない。
20年近く前に千田公園のそばに「伊谷屋」という小さなイタリア料理を出す店があった。そこの和風パスタは絶品で、しばしば通っていた。そのうちに店を移転し大きくして評判も良かったのだが、無農薬野菜を求めて?庄原に移転しそのあとはどうなったのかは知らないが、あのパスタは良かった。今のお気に入りは白島電停の近くの「ペロー」のパスタである。2~3人で行って別々のパスタを頼んでも分けて持ってきてくれるのがうれしい。味はこれまた絶品である。人気店なので予約が取れないこともあるが、パスタが食べたくなったら電話するようにしている。

奈良国立博物館

平成26年7月25日(金)
久しぶりの移動可能な連休だったので、奈良国立博物館の特別展「醍醐寺のすべて」を見に行くということで計画を立てた。まず和歌山にいる息子のところを訪ねてから夕方、奈良に行くことにした。彼の入学以来、紀三井寺を訪れるのは5年ぶりである。大学と附属病院を案内してもらい、おすすめの店でおいしい昼食、和歌山城見学まで付き合ってくれた。夕食は奈良唯一の三ツ星「和やまむら」が偶然予約できたのでカウンターで食したが、胃の調子があまり良くなく日本酒が飲めなかったのは残念だった。
翌日は涼しいうちに春日大社を散策し奈良国立博物館へ。特別展は、国宝と重要文化財がこれでもかというほど展示されており、世界文化遺産にも指定されている醍醐寺の歴史に圧倒された。三条通りを歩いていると「うなぎ川はら」ののれんが見つかり、久しぶりのうなぎに舌つづみ。あまりに暑いので奈良公園の木陰で一休みしたが、風がよく通って心地よく思わず眠ってしまった。夕方、京都伊勢丹で菱岩の弁当を受け取り新幹線で帰広。弁当は菱岩が群を抜いていると思う。このところ予約すらできなかったのが、久しぶりに手に入ったので日本酒とともにおいしくいただいた。いい旅であった。

最近の昼食(2)

平成26年7月11日(金)
以前にも書いたが開業して十数年、昼食に行く店は大筋では変わらないが、閉店や味・好みの変化などで微妙に変わってきている。ずっと通い続けている店もあるが、いつの間にかレギュラー店から入れ替わった店もある。
初めから変わらず通っているのは「小太郎(串焼き)」「讃岐屋(うどん、他)」「一楽章(カレー)」「とくみ鮨(鮨)」「中屋(あなご丼)」「天甲(てんぷら)」で、初めの3店はほぼ毎週!飽きずに通っている。あとの3店は1~2か月に1回ぐらい。今のレギュラー店は先の3店に加えて、「菊屋(とんかつ)」「こけもも(ビーフカツ)」であるが、じつにうまい。ただ、さすがに年を取ると食べられなくなるというか、以前ほどお腹がすいたという感覚がなくなってきているのはさびしいことである。
休日であれば「はっぴ(そば)」「ペロー(パスタ)」「そばきり吟(そば)」などに行くが、飽きない味でしばらくするとまた行きたくなる店である。おいしく食べられるうちが花なので、いつまで行けるかわからないができるだけ続けたいものである。

久しぶりの京都

平成26年4月10日(木)
3月下旬のことであるが、京都博物館で印象派展(パリ・セーヌ・ノルマンディーの水辺をたどる旅)が開かれているので、久しぶりに行ってきた。京都では宿がとりにくいので大阪に泊まり翌日京都に行くという、いつものパターンである。ありがたいことに予約の取りにくい居酒屋「島之内一陽」がとれたのでうまい肴でゆっくり楽しめた。値段もリーズナブルで、これなら人気店になるだろうと納得。店主は可部出身とのこと、これだけの店を競争の激しい大阪の中心でやっているのは立派である。
翌日は東寺を訪れて国宝五重塔や春季特別公開の国宝・重文を鑑賞、桜の咲く前だったので人出もそれほどではなく、ゆっくり見ることができた。ところが京都博物館の印象派展は人を見に行ったようなもので、早々に退散した。昼は伊勢定が撤退した広島でうなぎに飢えていたのでミシュラン一つ星の「まえはら」へ行き、実においしいうなぎを食べることができた。寿命が延びたと思った。(年をとるといいことがあると「寿命が延びた」と言い、さらに高齢になると「冥途の土産」というらしい)

最近の昼食

平成25年8月30日(金)
開業して16年、気にいった店には飽きもせず毎週1度は食べに行っている。かつて気にいって通っていたが、店主が高齢のため閉めたり、そのほかの理由で現在なくなった店などもあり時の流れを感じる。それでも多くの店はこの十数年変わらず、美味しい料理を提供してくれているのはありがたいことである。
偶然見つけた「こけもも」という店のビーフカツはいい肉を使って塩加減、焼き加減が好みにピッタリで毎週通うようになり、昼食のローテーションに入ってしまった。ここは1年前に若い夫婦のシェフが始めた小さな店だが、味がしっかりしているのでいつも満席である。奥さんシェフは広島の老舗洋食屋「広亭タナカ」の長女さんとのことで、さすがだと思ったことである。若い才能が出てくるのはすばらしいことで、このまま頑張っていってほしい。

広島県の軽井沢

平成25年7月25日(木)
猛暑の日曜日、思い立って生まれて3週間の孫も連れて皆で県北の「ファームノラ」へ行った。11時ぐらいに着いた時には1組しか客はいなかったがその涼しいこと!木立の中に作られた手造りのベンチに座ると爽やかな風が頬に心地よい。石窯前でのんびり座っている店主が「ここは軽井沢ですよ」とつぶやいたが、本当に気持ちの良い環境だった。この店は料理が出てくるのに時間がかかるので、早速注文してのんびり待つことにする。今日はいつものイヌたちはいなかったけれど、羊は囲いの中で草を食んでいた。
その後続々人が増え、あっという間にほぼ満席になった。ドッグランの場所もあるのでイヌを連れてくる人も多い。バイクツーリングの中高年のオジさんたち。皆のんびりとこの環境を楽しんでいる様子である。そのうち注文した料理ができていつものうまい石窯ピザや鴨の燻製、最近お気に入りのボルシチなどを堪能した。下界の暑さがウソのようなひと時であった。

広島ミシュランに思う

平成25年5月17日(金)
昨年からうわさのあったミシュラン広島編が発売されることになった。まだ詳しくはわからないが、三つ星は一軒だけで、季節料理「なかしま」だそうである。この店をはじめ二つ星のてんぷら「天甲本店」など、いずれも何度か訪れている。どの店も確かに美味しく総合的に見ていい店だとは思う。店主も励みになるだろうしミシュラン効果で客は増えるだろう。実際、発表の翌日には「なかしま」の予約は来月まで埋まったそうである。
ただ、自分も長いこと広島で食べ歩いていると、自分の好みの店はいつの間にか決まってくる。それらの店を基準にして、人から聞いた店や新たにできた店を訪れて評価するわけであるが、1回だけでは難しく3回行ってお気に入りになるかどうか決まるように思う。1月に「天甲本店」に行った時店主からミシュランの調査員が来たことを聞いたが、1度は一人で、2度目はフランス人と二人で来て掲載の許可を求めたそうである。いろんな店を調べるのだから何度も訪れるのは難しいかもしれないが…
掲載された店はいずれもいい店だと思うが、他にもいい店はたくさんある。行きつけの店が載ってしまうと客が押し掛けるので予約がとれなくなる。当然、自分を含め常連客の足が遠のく。せっかく長い時間を通していい感じで通っていた店に行きにくくなるのはまことにつらいことである。ミシュラン、良し悪しである。

鹿児島から博多

平成25年5月2日(木)
連休の前半に、かねてより乗ってみたかった九州新幹線さくらで鹿児島へ行った。2時間半の旅であるが、車内は1列4席なのでゆったりとして快適である。維新ふるさと館で鹿児島の歴史を学んだ後、レンタカーで城山に登り市内から桜島を一望、フェリーで桜島へ。フェリーのうどんが美味いとの情報で1杯550円の天ぷらうどん、だしが効いてじつに美味であった。島内をドライブ、絶景ポイントがいくつもあったが、なんといっても噴煙を上げている桜島の姿は活火山だと実感させられる。
大隅半島経由で霧島神宮を訪れる。やたら若者のカップルが多いのが不思議だったが、九州一のパワースポットとのことで納得。夕刻本日の宿、妙見温泉「石原荘」に到着、早速温泉に入る。今回の鹿児島行きはこの宿の予約が取れたからでもあるが、天橋立の文殊荘とは違ったもてなしと美味しい料理であった。敷地内の山中に「熊襲の穴」と呼ばれる巨大な洞窟があり日本書紀に記載されているとか…
翌日は車で九州自動車道から阿蘇へ、火口まで行くことができたが、なるほど九州が「火の国」と呼ばれるわけである。夕方博多着、阪急デパートの地下で干物を仕入れてお薦めの居酒屋「ひろ家」で一杯飲んで新幹線、目が覚めると広島だった。気候もよく絶好の旅日和であった。また行こう。