カテゴリー うまいもん

吹雪の「ファーム・ノラ」

平成25年4月10日(水)
広島市内の桜は盛りを過ぎたので、県北の桜はどうかいなと休日に北へ向かうことにした。予報では市内は雨50%とのことだったが、出発時は晴れており天気予報ははずれたなと思っていた。191号線を、桜を愛でながら森のレストラン「ファーム・ノラ」を目指して北上した。ここは冬の間は雪に閉ざされているので営業せず、春になったらぼちぼち始める趣味のような手造りのファームレストランである。
戸河内インターから191号線に入った頃から小雨となり、三段峡あたりでは外気温も下がってきた。そのうちに小雨はみぞれに変わり、花街道から深入山にかけて雪となってきた。見ればまだ根雪が残っていて道は完全に雪道になっている。外気温は0℃~1℃、滑らないようにわだちの跡を慎重に運転し、やっと目指すレストランに着いた。まわりは一面雪景色で、営業はしていたが客は自分たちだけで、あまりの寒さに店主がストーブの他手かざしにと七輪に炭をおこしてテーブルに置いてくれた。この時期の雪は珍しいそうで、次々にかかってくる問い合わせの電話に対応していたが、さすがに来店を断念する人が多いようだった。
料理を待つ間も外は吹雪のように風が舞い、無事に帰れるだろうかと心配したことである。久しぶりの石窯ピザ、鴨の燻製、ボルシチなど美味しくいただき店を後にしたが、市内からわずか2時間でこれだけの気候の違いがあるのは面白い経験であった。

東山の紅葉・風俗博物館・エルミタージュ美術館展・「吉膳」

平成24年11月24日(土)
木曜日の午後から京都に行ってきた。薬屋さんの雑誌に風俗博物館が紹介されていて、ぜひ見たいと思ったからである。京都に3百年続く、僧衣や十二単(ひとえ)などの衣装を作っている老舗「井筒」が始めた博物館で、現在は「源氏物語の世界」と題して、当時の建物から人物・衣装・牛車・小物などを4分の1の大きさで精密に再現している。私が動けるのは日曜祭日しかないのに、この博物館は私設のせいなのか日曜祝日は休館となっている。仕方ないのであきらめていたら、たまたま昨日金曜日が祝日で前日の木曜日は午後からは休診。これは何とかなりそうだと調べてみたら、午前の診療終了後すぐに出発すれば午後3時台には京都まで行けることがわかり急遽出かけたわけである。
展示物は精緻を極めており、「明石の姫君の婚礼支度」など時代考証をきちんとしているとのことで、実に興味深かった。あまり知られていないのか人も少なくじっくり見ることができた。夜は祇園の「吉膳」で旨い地酒と料理を堪能した後、すぐそばにある高台寺のライトアップを鑑賞した。人が多すぎるのが気になったがライトアップされた紅葉の美しさには目を見張った。
翌日は「青蓮院」「エルミタージュ美術館展」「永観堂」哲学の道散策、「真如堂」など紅葉を楽しみ「辻留」の弁当を買って帰り家で一杯やるという充実した小旅行であった。

広島で食べられるおいしいもの

平成24年10月6日(土)
広島県医師協だよりに西区で内科を開業されているO先生(直接の面識はない)が、上記の題で2回にわたって記事を掲載しておられるがなかなか濃い内容なので紹介してみたい。O先生は毎日いかに楽しく暮らすかを第一目標におき、実践しておられるようで、特に食と酒はまさに命がけで追及しているように見受けられる。広島はもとより東京・大阪に足をのばし、フランスにも毎年訪れて三ツ星レストランなどに行かれるそうである。
私自身は広島のそれもごく狭い範囲しか知らないけれど、O先生のお勧めの広島の店なら少しは知っていて、好みが重なっていると思った次第である。
広島一おしゃれな焼き鳥屋として「BACARO DUE(アロマグリル)」を、天ぷらでは「荒谷」「天甲」、鮨では「吉鮨」「とくみ鮨」「なかもと」、そばは高橋名人の弟子の店「はっぴ」を薦めておられるが、そのとおりであると思う。ただ「吉鮨」は値段が高すぎるので行かない。他にも好みの店はあるが、あまり知られてしまうとかえって行きづらくなるのでこのぐらいにしておく。

四季の味

平成24年9月28日(金)
季刊誌「四季の味」は食の奥深さを教えてくれるので、春夏秋冬、それぞれの号を買ってクリニックに置いている。毎号面白い記事が満載であるが、その中で金沢の料理屋「銭屋」の主人のエッセイ「銭屋の勝手口」は軽妙かつ深みのある文章で、毎回楽しみにしている。
今回の話題は、28年前にパリの大学で日本文化を学んでいたパリゼンヌが「銭屋」に1カ月ホームステイしたところから始まる。日本酒の旨さに驚き、日本文化を知れば知るほどすっかり日本を好きになった彼女は、大学卒業後は日本企業で仕事を始め日本に定住してしまい、グラフィックデザイナーの岡達也氏と結婚して会社を立ち上げ、実業家として活躍しているそうである。和服にもはまって、とうとう「パリゼンヌの着物はじめ」という本まで出しているという。
その彼女が毎年「金沢おどり」の時期に、見事に和服を着こなして銭屋のカウンターで食事する姿を見るのが楽しみだという。人と人との縁というものの面白さを表した文章を読むにつけ、「銭屋」を訪れてみたいと思うようになっている。以前、金沢を訪れた時は「みつ川」「つる屋」に行ったが、次に行く機会があればぜひ「銭屋」のカウンターに座ってみたい。

美味いイカ

平成24年6月15日(金)
久しぶりに晴れ渡った休日、かねてより行ってみたかった店を訪れた。萩市と益田市のほぼ中間に位置する萩市須佐駅の近くにある「梅乃葉」は、獲れたてのイカを食べさせてくれる店で遠くから訪れる人も多い。広島からは高速で戸河内インターまで行き、191号線を益田経由で行くのが早いそうで、実際2時間半で到着した。戸河内インターからの191号線のドライブは信号も無く緑の中、気持ちのいい山道である。
ここのイカは須佐男命イカ(すさみこといか)というブランド名の活き剣先イカで、実に新鮮である。イカは獲れた所で食べるのが一番おいしく、透き通った歯ごたえのあるイカが次第に甘くなってくる。丸ごと1ハイを半分食べたところで残りはてんぷらにしてもらったが、これはまさに絶品だった。日頃食べているイカはなんだったんだろうと思わせるうまさである。獲れたてのウニや刺身もあり大いに満足できた。
萩市は歴史のある城下町で町並みも美しくそぞろ歩きするのがいい。ここには「割烹千代」という名店がある。以前この店を訪れた時は、カウンターで新鮮な魚介を堪能した。今度来る時は「千代」に行ってみよう。

今週の昼食

平成24年5月26日(土)
腰痛もだいぶ改善し長時間イスに座っても大丈夫になった。そこで今までに行けなかった仕返し(?)に、今週の6日間の昼食は全部別の店に行くことにした。
とくみ鮨:ここは15年ぐらい通っているが、いつも大いに満足して帰れる店である。特に好きなのは、こはだ、たこ、あじ、あなごなどだが、季節もののかき、しんこをはじめ皆美味い。値段はそこそこなのでいつも行くわけではないが、今回は久しぶりだったのでいっそう美味しく感じた。
菊屋:ここ4年ぐらい週に1回は通っている、とんかつ・串揚げの店である。ここのロースカツ定食はロースカツ、キャベツの千切り、味噌汁、漬物、たれ、が混然一体となって「とんかつを食べた!」と思わせる味である。聞くところによると、知事や国会議員も来られるとか。
一楽章:ここも15年通っているカレーの店である。色々な店のカレーを食べてきたが、ここのカレーは自分好みでいつまでも飽きが来ない。豊潤でしっかり辛い。いつもチキンカレーを食べる。
小太郎:串焼きの店である。ここも10年以上通っている。店主が備長炭で焼いてくれる、オリジナルのシソ巻きと牛串のミックス定食を食べる。なんともいえずいい味である。夜は串焼きをつまみの居酒屋になる。
天甲:てんぷらの店である。ここも15年近く通っている。最近はてんぷらは重いのであまり行かなくなったが、以前は毎週通っていた。店主は昨年、堀川町に本店を作ってそこでてんぷらを揚げている。元の店は弟子たちがやっているがクリニックに近いのがいい。最後は?き揚げとご飯、赤だしで締める。
讃岐屋:いつも行く便利な店である。うどん、そば、丼物などなんでもある大衆食堂であるが、15年間通って飽きない。冬は鍋焼きうどん、えび天うどん、カレーうどん、夏はてんぷらそば、そうめん、カツ丼などをよく食べるが、味もなかなかで気軽に寄れるいい店である。
というわけで今週は6店すべて行ってしまった。また行こう。

「細川家の至宝」と「クーザ福岡公演」、「鮨安吉」

平成24年2月16日(木)
サーカスに物語を取り入れたカナダのパフォーマンス集団、シルクドソレイユの公演が現在福岡で開催されているが、この連休にチケットが手に入ったので行ってみた。シルクドソレイユは数年おきに日本で公演しており、いつもは大阪公演に行くが今回は大阪でのチケットが手に入らなかったのである。ちょうど大宰府天満宮にある九州国立博物館で特別展「細川家の至宝」も開かれていたので、そちらも見ることができた。
シルクドソレイユの公演は毎回肉体的パフォーマンスのすばらしさに圧倒されるが、今回の「クーザ」は道化師も主役の一つで通常よりもおとなしい感じだったが、それはそれでよかった。
国立博物館では、鎌倉時代から続く細川家の文化財を伝えるために設立された「永青文庫」におさめられている数万点のコレクションの一部(300点以上)が展示されていたが、その歴史に圧倒された。第16代当主・細川護立がそれまでに受け継いできた宝を管理し、高度な鑑識眼で新たに収集した宝が展示されていたが、時を超えて残っているものは味わい深い。
たまたま予約できた博多駅近くにある「鮨安吉」は、よく吟味されたつまみを適当に出しながら鮨をにぎってくれる超人気店である。わずか7席のカウンターでゆっくり飲みながら江戸前鮨を味わうことができる。接客もよく、値段もリーゾナブルである。いい店に出会えたものである。今回の小旅行は、小倉の「松本清張記念館」にも行くことができたしなかなか面白いものであった。

休日のランチ

平成24年1月11日(水)
休日の昼、ドライブを兼ねてのランチで気にいっている店がいくつかある。最近ちょくちょく行くのは、尾道駅の近くの「和房 まん作」。ここは若いが腕の良い店主が、目の前の漁港で揚がる新鮮な魚貝を美味しく食べさせてくれる。昼は数種類のランチだけであるが、夜はメニューが豊富でいい酒も置いてあり大いに楽しめそうである。行くたびにいつかは夜にも行ってみたいと思う。
もう一軒は、少し遠いが福山市の郊外に「膳夫高木(かしわでたかき)」という店がある。ここもカウンターと小部屋があり、調理するのを眺めながら食事ができる。料理にも接客にも細やかな心遣いがあり、なにより値段がリーゾナブルである。初めて訪れた時は、店がどこにあるのかわからないぐらい目立たないのでとまどったが、中に入ればほぼ満席、予約なしでは難しいと思われた。ここも夜に来てじっくり飲みながら食べてみたい店である。

ファームノラ

平成23年10月17日(月)
昨日はクリニックの内装を完成することになっていたので待機するつもりでいたが、夕方までかかるということで天気もいいし津和野方面にドライブに出かけることにした。津和野は何度か訪れたことがあるが、この日は山口大学オーケストラの部員が5名来て野外ライブでバッハ、モーツアルトの4重奏などを演奏していた。考えてみれば息子と同じ年頃の学生たちが一生懸命演奏しているのである。思わず「よかったよ、これからも頑張って」と声をかけたが実際いい演奏であった。惜しむらくは駐車場の管理をしているオッサンが、手打ちそばの店を紹介したので行ってみたが最悪だったことである。これ以上まずくは作れないという代物だった。
帰りに191号線沿いにある「ファームノラ」というユニークなレストラン?で美味いピザとカレーを堪能して、まずいそばの仕返しをした。ここは自然のままの林の中に、手作りの丸太小屋のような建物をいくつか建て、屋外でも食べられるようになっている。結婚式も行われるそうである。入口で2匹の犬が友好的に迎えてくれるのも気持ちがいい。立木の間にロープでブランコがぶら下がっていて、ハイジのブランコのようだった。また行ってみたいと思ったことである。

うなぎ

平成23年7月23日(土)
わが国では土用の丑の日にはうなぎを食べる習慣があるが、今年は21日の丑の日には会食があったため食べ損ねた。
うなぎは昔から大好物で、蒸してから焼く関東風の軽めが好きである。以前は広島そごうの「伊勢定」のうなぎがおいしくて月に1回は通っていたが、10年ぐらい前になくなってしまった。その後、クリニックの近くの小料理屋のうなぎが好みに合っていたのでしばらく通っていたが、その店も店主が高齢のため閉店した。
それからは、三越地下に「たこつぼ」が出しているうなぎを時々買って食べていたが、クラウンホテルの「雲海」のうなぎが美味いと聞いて何度か行ってみた。たしかに好みの味であるがやや高価なのが玉に傷である。
歌人の斎藤茂吉はうなぎが特別好きだったと、子息の北杜夫がその思い出を書いている。また、「吾輩は猫である」の中で迷亭が静岡から用事で東京にでてきた伯父さんに「うなぎはどうですか、竹葉でもおごりましょう」というくだりがあるが、昔から多くの人に好まれた食べ物であったようである。