4月30日(土)
大型連休が始まったが、当院は暦通り。日曜・祝日以外は開院している。このような混雑が予想される時には移動が大変である。予定を決めず、臨機応変に動くつもりである。
英国ではウイリアム王子とケイトさんの結婚式が行われ、世界中で20億人が中継を見ていたそうである。わが国からは皇太子ご夫妻が招かれていたそうであるが、東北大震災のために自粛したとか。ウイリアム王子はわが国の震災に心強いお言葉を発せられたいわば数少ない味方である。婚礼には出席するのが、礼に適うあたりまえのことであろう。このような社交はわが国の国益にとってもきわめて重要なことである。自粛を決めた責任はすべて現政府にある。現政府はいったいどこまでわが国を貶めればすむのか。民主党・管政権よ1日も早く解散総選挙をして民意を問え。
カテゴリー 日誌
自粛と社交
桂枝雀の医者噺
平成23年4月25日(月)
今は亡き桂枝雀は、「夏の医者」「ちしゃ医者」など医者もの落語の「まくら」で権威ぶった医者や上から目線の医者、「どこが悪いの?診てやろう」などが大嫌いで、病気になった者の損だといつも言っていた。かつて医師免許のない時代には、誰でも医者ができたそうで、色々やってみたがどれもうまくいかなくて「それなら医者でもやってみるか」という「でも医者」、「やぶ医者」、「葛根湯医者」、「手遅れ医者」などがいたという。
「やぶ医者」というのは、平生は流行っていないが「風邪」が蔓延すると人気の医者は引っ張りだこなので診てもらえず、仕方なく人気のない医者でも人が診てもらいに来る、「風邪(風)で動くからやぶ」という説が有力だそうである。「葛根湯医者」、葛の根を煎じて飲むと、発汗作用があり熱が下がるので使われていた葛根湯は、手軽に使えるのでどんな病気にでもこれを処方する医者がいたところから来ているそうだ。
また「なんでもっと早く連れてこないのだ、手遅れじゃ」という言い訳を面白おかしく非難しているが、なるほど一理あるのでアハハと笑えて面白い。桂枝雀はまことに得難い、正統派の落語家だったと思うのである。
尺八の演奏
平成23年4月16日(土)
桜も満開を迎えて、もう散り始めているようだ。まことにいさぎよいことで、われわれの心の琴線に触れるから皆桜を愛でるのだろう。日ごとに暖かくなっていく。
先日、尺八の師匠がゲスト出演される「シャンソン・カンツォーネ・ポップスの夕べ」に行ってみた。熟年の女性たちと熟熟年の男性のグループで、なかなか良かった。師匠は2曲の伴奏と、2曲ソロで演奏されたが、じつにしみじみといい演奏であった。やはり尺八は世界に通用する楽器だと思った次第である。私自身はなかなかうまく吹けないのがくやしいけれど…
腫瘍マーカー
平成23年4月9日(土)
健康診断(ドック)に「腫瘍マーカー検診」という項目がある。かつて結構流行っていたが最近ではすたれていたのかと思っていたら、オプションで行われているらしい。異常値が出たということで心配して来られた患者さんが複数おられた。もちろん婦人科的にはなんの異常もみられなかった。
これらの検査を健康診断に使うのはいいこととは思わない。むしろ異常値が出て心配する人が増えるだけである。正常値とは、100人の正常な人の検査の値のうち、95%の人が入っている範囲をいう。だから正常な人でも5%は異常とみなされるのである。
腫瘍マーカーは実際に発症して治療を受け、その後のフォローには有用な場合もあるが、健康診断ではいたずらに不安を持つ人をつくるだけである。医師自らが本当に有用と思ってやっているのだろうか。はなはだ疑問である。
夕食
平成23年4月2日(土)
桜の開花も始まり、そろそろ花見のシーズンになろうとしている。毎年、この季節になればうきうきして全国的に花見酒としゃれこむ人が多い。今年は大震災の影響があまりにも大きく、被災された人たちのことを思うと単純に喜べない。今回の震災もたまたま自分たちの地方に起こらなかっただけで、いつ災害に遭うかわからないのである。
他県で学んでいる息子が春休みで帰広し、嫁いでいる娘たちと孫、全員がそろった夕食は久しぶりであった。気持ちよく酔ったが、こういう機会もあと何回あるかわからない。何が起きるかわからないのが人生である。やはり、今この時を大切にしていくしかないと思ったことである。
七変化
平成23年3月26日(土)
嵐山光三郎によれば、女は7年毎に変貌するそうである。どれほどかわいい娘さんでも、結婚して7年たつとおばさんになる。14年たつと妖怪となり、21年たつと鬼婆になり、28年で超獣となって、それ以上たつと手のつけられない神様となり、これをカミさんという、とある。
うまいことを言うものである。比べて男性は残念ながらいつまでたっても変身できそうにない。初めは強くてたくましそうに見えても、歳をとるにつれて衰えて行く。枝雀の落語を聞いても男は向う意気だけは強いけれど、いつもカミさんにやられっぱなしである。確かに神様になったカミさんに逆らえるはずがないのである。
東日本大震災
平成23年3月17日(木)
3月11日に起きた大地震はその規模から歴史に残ることだろう。続いて襲ってきた津波のすごさにはただ驚くばかりである。被災地の方々の心労はいかばかりであろうか。
それにしても政府の対応の稚拙さには驚きを通り越して怒りを覚える。原発の重大な状態に対しても、後手にしかまわらず、責任を全部電力会社に押し付けており、政府主導で対処することにしたのはずいぶん後になってからであった。以前トヨタがアメリカでバッシングを受けた時も全く助けようとしなかったが今回は深刻さが違う。民主党、管政権はいったい何をしたいのだろう。今この未曽有の国難には、あらゆる知恵と力を結集して対処しないとそれこそ国が滅びる。政権を維持するためだけの政権なぞいらない。
今われわれができることは、義捐金を送ることだと思う。救援などはプロに任せるべきで、後方支援として求められたことをすればよい。今こそ全国民が力を合わせて乗り越えなければならない。
子宮頸がん予防ワクチンに思う
平成23年3月10日(木)
今年の1月から1年間の暫定措置で、中1から高1までの4学年の女子生徒に、子宮がんを防ぐためのワクチン接種が始まっている。英国の製薬会社が開発した非常に高価なワクチンであるが、彼らのロビー活動の成果により、わが国の政権与党である民主党のバラマキ政策と一致して、接種が始まったわけである。
一般の人たちがわが子のためになると信じて接種させるのは当然である。何の問題もない。問題は政府与党と、専門家である。わが国の子宮がん(頸部がん)の年間死亡数は2,500人である。年齢調節死亡率では2万人に1人。そして、ワクチンを全員に接種したとしても、3~4割の人には無効なうえに、ワクチンの効果も7年先以降についてはまだわかっていない。
わが国は借金を重ねて毎年赤字国債を発行しているが、これらのつけはすべて子ども世代に行くわけである。物事には優先順位がある。国を預かる者や医学の専門家は大きな視野で物事を見ないと、破滅の方向へ進んで行くことになる。
最近、ワクチンを製造している英国の製薬会社が、製造が追いつかないと言い出した。まったくお笑いぐさである。製薬会社が利益を追求するのは当たり前である。要は、あらゆることを正確に判断して国益になるように行動するのが政治家であり、専門家のはずである。恥を知って欲しい。
桃の節句
平成23年3月3日(木)
桃の節句。暖かい日が続いていたが、また寒さがぶり返してきた。これをあと2~3回くり返したら春になる。まことにわが国の季節のうつろいは風情がある。昔から季節の節目にささやかなお祝いをして寿いできた。あと数日で啓蟄である。
国会でも、相撲界でも、入試でもおかしなことが起こっているようだが、それらをすべて飲みこむように季節が過ぎて行く。きっと人生もそのように過ぎて行くのだろう。その場その場で懸命に生きているうちに、ふと振り返ると自分の来し方の概要が見えてくる。それをどう感じるかは人それぞれだろうが、どうであれ今この時が現実なのである。
青春期に愛読した「次郎物語」のなかに、やはり思春期の次郎が進むべき道について考える場面がある。人は生まれおちた時から進むべき道、到達点などすべて運命づけられているのではないか。そして「努力」というのは、運命づけられたわずかな道幅のなかの移動にすぎないのではないか、と。さらに、次のようにも考える。生まれた時を円の中心として到達点を円周とすると、考え方や努力などによってわずかな方向の違いでも、円周に到達したときには大きな違いがあるのではないか、と。また、円周に到達すれば、「運命」から解放されて自由になれるのではないか、と。
季節の移ろいを感じていたら、久しぶりに昔の頃のことを思い出した。そしてその考え方は今も変わっていないと思うのである。
無排卵周期症とピル
平成23年2月23日(水)
先日、ストレスから体重減少がおこり、生理不順になり4年間治療しているという若い女性が来院した。現在は体重も戻り、毎月、排卵誘発剤を処方されているそうである。今月は薬を飲んでないので心配だとのこと。
診察してみると、排卵も済んでおりもうすぐ生理が来る状態になっている。これなら今後、排卵誘発剤は必要ないし、このまま様子を見ていいですよとお話ししたが、不満の様子でもう来院しない光線を出して帰られた。
生理は毎月あるのが当たり前で、なければ治療しなければならないと思っている人が多いと思う。医師でもそう思っている人がいるだろう。
そもそも排卵・月経は妊娠するためにある。体調維持に必要なホルモン量はもっと少なくていいのである。毎月、卵巣は排卵という大きな変化をおこし、排卵出血・卵巣腫脹などの危険ととなりあわせになっている。子宮は、卵巣からのホルモンにより内膜を肥厚させ、受精した卵を受け入れる準備をして、妊娠がなければ剥がれて出血し、これを生理という。生理も生理痛が強かったり、量が多くて貧血になったり大変である。
これらのことはすべて妊娠するための変化である。現在妊娠する意思のない人は、極端に言うと排卵しなくてもいいのである。妊娠したいときだけ排卵すればいいのであって、ヒト以外の哺乳類では発情期にのみ排卵し、妊娠するものが多い。
人類は近年、排卵誘発剤とピルという作用の相反する2つの薬剤を手に入れた。ピルは排卵を抑制し、ホルモンレベルを必要最小限に近い状態にする。それにより上記の危険な卵巣の変化や苦しい月経に伴う症状から解放されるようになった。安全性は非常に高い薬剤である。さらに卵巣がんの発生率が1/2になるという。
上記の人にわざわざピルを飲めとは言わないが、なにも排卵誘発剤を処方する必要はないだろう。経過観察でなにか不都合でもあるのだろうか。