平成23年8月5日(金)
とうとうホームページをリニューアルしてしまった。以前から当院のホームページは古くさいと言われていたが、自分では結構気に入っていて、かえってユニークだと思っていた。でも記載内容を新しいものに替えたり、ブログ管理などが難しくなって決心したわけである。
平成9年(1997年)に開院した当時は、医療機関の宣伝は禁止されていた。これは今でもそうであるが、診療科名・場所・診療時間・交通機関など必要なこと以外は広告できないように規制されている。タウンページ(電話帳)の広告も使える単語が決まっていて、少しでも宣伝が入るようなら断られるのである。得意分野をアピールすることすらできないのは、かえって患者さんのためにならないと思っていた。けれどもネットを使ったホームページにはそれらの規制はなく、自由に伝えることができることがわかり、素人であるがこの方面に詳しい知り合いに頼んで作ってもらった。これを使えば伝えたいことがアピールできるし、なによりコストがかからない。平成12年(2000年)に公開し、カウンターをつけてどれぐらいの人が見てくれるのか期待していた。
ところがというか、当然というべきか、カウンターはほとんどまわらない。数ヶ月経っても状態は変わらず、作りかえる気持ちにもならず放置していた。
ある時、どんなにいいホームページを作っても、更新がなければ人は見ないということに気づき、エッセイを書いて更新していったらどうかと考え何篇か書いてみた。でも、すぐにテーマが枯渇することに気づき中止。その頃本屋で偶然見つけた「開業日記」という、精神科のドクターが書いた本を見て閃いた。日記形式にすれば続けられることに気付いたのである。(この項続く)
カテゴリー 日誌
ホームページリニューアル①
子宮頸がん予防ワクチン(公費負担)について
7月20日より中学1年生~高校1年生のすべての生徒に、子宮頸がん予防ワクチンの接種が可能になりました。希望する場合は①電話で予約②本人と保護者が来院③説明を聞き接種④異常ないことを確認、という流れになります。
平成22年の1月~3月に高校1年生(現在高2)で、当時ワクチン不足のために接種できなかった人も、9月30日までなら接種できます。
ホームページをリニューアルしました
このたびホームページをリニューアルいたしました
「最後の昼餐」に寄せて
平成23年7月30日(土)
先日、本屋で宮脇彩著「ごはんよければすべてよし」という本が目にとまり、あることがひらめいて手にとってみたら思った通りであった。宮脇彩氏は、私がファンだった建築家でエッセイストの宮脇檀氏の娘さんだったのだ。
宮脇氏は残念ながら亡くなられているが、名著「それでも建てたい家」には、そうだったのかと膝を打つ内容が一杯書かれていた。曰く「男には書斎などいらない」「リビングルームは実はほとんど使われない、ダイニングルームを充実させるべきだ」などわが家をリフォームする際にも役に立った。
宮脇氏が咽頭がんで亡くなる直前に書かれた「最後の昼餐」という非常にユニークな本は、離婚後娘さんを男手一つで育て嫁がせた後、料理好きの著者が心ゆくまで料理をつくって楽しめる環境を作り、それを記した2年余りの情景が、ガールフレンドのイラストでまとめられている。都会のオアシスともいうべき空間を作り、休日には二人で、あるいは人を招いて料理を作って楽しみ始めた矢先に、病気の前兆が現れてきたことが淡々とした筆致で書かれている。特に癌が再々発して慶応病院に入院中に書かれたあとがきには、これからまだまだ楽しもうという気持ちがあふれていて、その後数か月で亡くなった経過を思えば言葉もない。
でも、その娘さんが父親のような生き方や食べることを大切にしたエッセイを出版しているのを見ると、親の思いは受け継がれていくのだと思ったことである。
うなぎ
平成23年7月23日(土)
わが国では土用の丑の日にはうなぎを食べる習慣があるが、今年は21日の丑の日には会食があったため食べ損ねた。
うなぎは昔から大好物で、蒸してから焼く関東風の軽めが好きである。以前は広島そごうの「伊勢定」のうなぎがおいしくて月に1回は通っていたが、10年ぐらい前になくなってしまった。その後、クリニックの近くの小料理屋のうなぎが好みに合っていたのでしばらく通っていたが、その店も店主が高齢のため閉店した。
それからは、三越地下に「たこつぼ」が出しているうなぎを時々買って食べていたが、クラウンホテルの「雲海」のうなぎが美味いと聞いて何度か行ってみた。たしかに好みの味であるがやや高価なのが玉に傷である。
歌人の斎藤茂吉はうなぎが特別好きだったと、子息の北杜夫がその思い出を書いている。また、「吾輩は猫である」の中で迷亭が静岡から用事で東京にでてきた伯父さんに「うなぎはどうですか、竹葉でもおごりましょう」というくだりがあるが、昔から多くの人に好まれた食べ物であったようである。
いつまでも「まろ」
平成23年7月15日(金)
診察室の机の上に、カミさんの描いた愛犬「まろ」の絵を絵ハガキにして写真立てに入れているが、時々患者さんから「先生のおうちのワンちゃんですか?」と聞かれる。実は自宅のテレビの横に本物の「絵」と写真を飾っていて、つい先日もカミさんと「まろが亡くなって2年になるなあ」と話したばかりである。子供たちにとっても、一緒に暮らしていた「家族」が亡くなるのはとてもつらいことだったが、今では貴重な経験をさせてくれた「まろ」に改めて感謝している。
養老孟司氏は「死」には一人称と二人称と三人称がある、という。一人称の死とは自分が死ぬことで、二人称は親子、夫婦、兄弟などごく身近な死であり、三人称はその他である。自分の死は何も分からなくなるから関係ないし、他人のそれもほぼ関係ない。二人称の死だけが、その人にとって本物の死であるというが、まことにそのとおりである。まろは天国へ行って、今頃は輪廻転生しているかもしれない。
子宮頸がん予防ワクチン
平成23年7月8日(金)
製造が遅れていた子宮頸がんを防ぐワクチンが、8月初めには供給されるとのことである。さらに、8月末には4価ワクチンのガーダシルも発売されるそうだ。
子宮頸がんの原因となるヒトパピローマウイルス(HPV)は何十種類も型があり、そのうちの16,18が子宮頸がんの60~70%に認められることから、この2種類の型に対応したワクチンができたわけである。これを2価ワクチンといい、現在不足しているサーバリックスのことである。
HPVの6,11は「いぼ」をつくるウイルスで、がんにはならないが尖形コンジローマという性病をひきおこす。ガーダシルは、HPVの16,18、に加えて6,11もカバーした4価ワクチンである。ちょっと考えればこちらの方がよさそうであるが、そうでもないらしい。
2価ワクチンのサーバリックスの方がHPV16,18に対する抗体価が強く、長期にわたって有効なのだという。困ったものだ。今後どちらを薦めたらいいのか難しい。
おいしい「とくみ鮨」
平成23年7月1日(金)
早いもので平成23年も後半に突入してしまった。以前にも書いたが本当に月日の経つのが早い。毎日変わりばえもせずうかうか過ごしていると、もう7月かと驚くありさまである。驚きついでに久しぶりに鮨を食べに行った。
近くにある「とくみ鮨」はじつにおいしい。特に、こはだ、たこ、あなごは絶品である。ほかのネタもよく吟味されており、ネタケースを見ているとうきうきしてくる。ちょっとした酒肴も味付けが良く、こういうのは店主のセンスだろうと思う。子持ちコンブの厚いこと。さば、とり貝、しゃこもおいしい。もう少ししたらしんこも入ってくるとか。鮨はすばらしい日本の文化だと思う。けれども歳とともにたくさん食べられなくなって、おいしいものをちょっとで良くなってきたのは喜んでいいのか悲しむべきなのか。いずれにせよ一食一食を大切に暑い夏をしのいでいかなければ。
ウインブルドン
平成23年6月24日(金)
ウインブルドンのテニスが始まった。おとといの夜はクルム伊達選手があのヴィーナス・ウイリアムスを相手に一歩も引かず、すばらしい戦いを見せてくれた。正直なところ、40歳の伊達選手がここまでやれるとは思わなかった。夜12時を過ぎて始まるので、一応録画するようにしていたのだが、つい見てしまったら目が離せなくなった。寝不足になると困るので、惜しかったけれど途中で無理にテレビのスイッチを切って寝たが、翌日録画を見て感嘆したことである。
昨夕は超音波の講演に久留米大学から来られた先生がテニスが好きで、やはり見てしまって寝不足です、とおっしゃっていた。わが国ではスポーツを始め他の分野でも、世界に通用するのは女性である。男たちはあまり冴えないのはどういうわけだろうか。でも、その優秀な女性たちを同胞と思えるのはうれしいことである。
文芸春秋7月号
平成23年6月17日(金)
文芸春秋7月号の特集は「大研究 悔いなき死」である。その中で、大津秀一医師の「ホスピスで見た1千人の死、最後の言葉はありがとう」の文章は興味深い。
人は死期を悟ったら最後は従容として従うようである。その心境にいたるまでにどんな葛藤があったかは誰にもわからない。少しでも生の望みがあればどんな苦痛にも耐えて治そうとするだろう。がんを切除する手術、抗がん剤治療を受けることなどがそうである。それらが無効だとわかると、すべてをあきらめ次第に衰えていき、最後は穏やかな死を迎えるようにみえる。でも本人の心の中はだれにもわからない。生老病死は必然であり、死ぬときは一人である。だからこそ生きている間は人とつながりあって生きたいものなのである。