心ない言葉

平成22年10月2日(日)
当院でピルを処方している患者さんが、職場の婦人科健診のために健診施設を受診したところ、異常を指摘されたと不安そうに来院された。担当の医師が「腹水がたまっているので詳しい検査が必要だ」、「あなたの卵巣は小さいから妊娠は難しいかもしれない」と言ったという。本人は驚いて「かかりつけの病院があるので」と、あわてて当院に来られたわけである。
分娩歴もあり、婦人科の異常はないことを確認していたので、おかしいと思いながら診察したところ、確かにダグラス窩に少量の腹水は認められた。でも、後屈子宮では構造的に腹水の存在がわかりやすくなるだけで、異常とはいえない。また、卵巣についてもピルを使用していると排卵が抑制されるのでやや小さくなることはあるが、ピルを中止すればすぐに元にもどる。その旨お話したら安心されたのでほっとしたが、こんなことで患者さんを不安にさせた医師に対して思うことがあった。
医療の目的は治療を含めた「癒し」だと思うが、これが本当に難しいことは日々感じることである。それでも少なくとも、患者さんが不安な気持ちになるような言葉は慎んでもらいたい、と強く思ったことである。