カテゴリー 日誌

「ワクチン不要論」

平成30年11月30日(金)
表題は内科医師でクリニックを開業しながらNPO法人薬害研究センター理事長を務める内海聡(うつみさとる)氏の著書である。氏は現場から精神医療の実情を告発した「精神科は今日も、やりたい放題」の著書もあり、医学に対して懐疑的な発言をくりかえしている。氏の発言がすべて正しいとは思わないが、納得できる点も多い。最近の小児へのワクチン接種の増加は異常だと思っていたが、海外巨大製薬会社と結びついたWHOのワクチン戦略の流れから見るとうなずける。小児に対するワクチン定期接種の本数は米国が最も多く、36本ものワクチン接種を行っている。次いで英国、スペインが20本、日本はまだ11本なのだが米国を模範とする我が国はこれから増えてくるかもしれない。さらに5歳までの死亡数は米国が最も多く、我が国は少ないのになぜワクチン接種を増やそうとするのかと訴えている。
薬害エイズのときも、米国では禁止になっていた血液製剤を海外製薬会社は平気で我が国に売って、無知な医師たちが使ってエイズに感染させたという事実がある。薬を売りまくって儲けるためなら何でもするという一面も持つのがメガファーマである。現にメガファーマの影響下にあるWHOは高血圧の異常値の基準を下げたし、高脂血症の基準も下げた。それにより病気と診断される人が増え、降圧剤・高脂血症の薬は売れに売れた。インフルエンザも昔は流感(流行性感冒)と言って、栄養をとって安静にしていれば治る「かぜ」だった。もう効きにくいワクチンなどやめたらどうだろう。

第4支部「冬の会」

平成30年11月21日
例年の如く袋町東地区の支部会がアンデルセンのデンマークルームで開かれた。初めてこの会に参加したのは20年前、開業したばかりの頃で知り合いもほとんどいなくて大変だった。ほとんどの会員は自分より年上のベテラン開業医である。自分は開業したての存続するかどうかもわからない存在で、小さくなって座っていたものである。それが今では開業順からは真ん中より古い位置にいて、自分より年上の人の方が少なくなっている。出席者を見渡してみると若い人の方が多くなっていて、いまさらながら時の移ろいを感じたわけである。自分の中では20年は一瞬であったので、先輩たちがいつの間にかいなくなっているのを実感していなかったけれど、このようにして時代は移っていくのだろう。
自分としては感覚は昔と変わっていないし体力も衰えてはいないが、いつかは先輩たちのように消えていくのだろう。それでも今回出席していた70歳を過ぎた先輩の「あと10年は頑張る」という言葉に感心し賛同している自分を感じたわけである。

同門会

平成30年11月16日
母校、岡山大学産婦人科の広島現地同門会が増山教授を迎えて開かれた。この会には平成3年から出席しているが、出席者の顔ぶれはあまり変わっていない。名簿では30名近くの会員がいていつも20人くらい集まるが、卒業年度順の名簿で30年近く前は真ん中より少し下だった。あれから30年近い年月が経ったが真ん中よりやや上の12番目に名前があった。これはすばらしいことで、我々の上の世代の人たちがいかに健康であるかを示している。それに比べて若い人たちが少しも増えていないのは、時代の流れとはいえ悲しいことだ。
増山教授は、妊娠時の体重が痩せすぎの場合も太り過ぎの場合も子供の発育に影響を与えるし、本人の糖尿病の発症にもかかわることと、乳癌・卵巣癌の発症しやすい遺伝子を持った人をどのようにフォローするかという話を20分という短い時間で簡潔に述べられた。
広島に来て30年近くになり岡山大学とは疎遠になりつつあるが、このような会は普段は会うことのない先輩・後輩と話ができていいものである。自分のルーツを確かめるよすがにもなるので続いてほしいし続けていきたいと思う。

「可愛いペットの天使達」

平成30年11月8日
表題は西区で内科医院を開業している大島哲也氏が広島県医師協だよりに連載しているユニークなエッセイである。平成26年1月号から始まり平成30年11月号で45回目になる。氏は偶々夜店のくじで当たったウズラからカニまで大切に育てている様子を軽妙な文体で記していて、読んでいるとほっこりとした気持ちになる。連載第1回目からファンになったが最もたくさん飼っているのはネコで、捨て猫やノラ猫、傷ついた猫など多くの猫を場合によっては家へ帰らず付きっきりで育てている。自宅で8匹、医院で4匹、母親のところでも数匹いるようで、その後亡くなったり新たに加わったりで常に複数のネコを飼っている。それぞれのネコとの交流の経過を克明に書いていて、それぞれのネコに対する愛情が伝わってくるし、実によく観察しているものだと感心する。このような人に飼われたネコは幸せだろうなと思うし、会ったことはないけれど氏は並外れた大きな愛情の持ち主なのだと思われる。
毎回、文章に登場するネコたちの写真も掲載されているのでいっそう親しみがわくというもので、いずれまとめて本になればきっと全国で売れるだろう。もちろん自分も1冊買うだろうが。

自転車通勤

平成30年11月2日
通勤にアシスト自転車を使うようになって9年になる。昨年買い替えたので2代目パナソニックの楽チャリであるがこれがなかなかの優れもので、まったくストレスなく乗っている。楽チャリを使い始めた頃はまだあまり普及していなくて、たまに見かけるだけだったが最近は楽チャリだらけになってきた。朝の通勤の際に信号待ちをしている自転車軍団の中から信号が青に変わった瞬間、すーっと前に出てきて先頭を走っていくのはアシスト自転車たちである。脚力のなさそうな女性でもぐんぐん前に出てあっという間に行ってしまう。自分も使い始めた頃はこれが快感で、これみよがしに走っていたものであるが、この頃は金持ち喧嘩せずの心境でゆっくり走るようにしている。機械に頼っているくせに人より早く走る快感を持つのもなんだかなと思うからである。
これから寒くなるけれど、気分転換の意味もある自転車通勤はやめられない、もちろんアシスト自転車で。願わくば楽チャリが増えすぎて不測の事態が起きて楽チャリそのものが禁止にならないことを。

 

「ツチハンミョウのギャンブル」

平成30年10月26日
表題は「動的平衡」でおなじみの生物学者・福岡伸一氏の近著で、週刊文春に連載しているコラム「福岡ハカセのパンタレイ パングロス」をまとめて加筆したエッセイ集である。それぞれの項目の内容が濃くかつユニークで、思わず引き込まれて一つ一つの話を料理を味わうように楽しんでいる。
氏は小さい頃から昆虫が大好きでそれが高じて生物学者になったそうだが、これは養老孟司氏とも共通していて二人とも生物にかかわる仕事をするようになっている。表題のコラムはツチハンミョウという昆虫がどのようにして生き残って、世代を次に伝えていくかという話である。卵から孵って巣穴から這い出してきた約4000匹の幼虫は、匂いを頼りに地上に出てくる寸前のコハナバチの巣に潜り込む。巣から飛び立つコハナバチにしがみついて花まで運んでもらったら、辛抱強くヒメハナバチが通りがかるのを待って飛び移る。ヒメハナバチは花粉を集めて花粉団子を作り、巣に持ち帰り自分の卵を産みつけて巣穴の入り口を閉じる。その時に忍び込んだツチハンミョウは孵化したばかりのヒメハナバチの幼虫を殺して食べ、花粉団子もゆっくりいただき脱皮をくりかえして成虫になる。これらの過程はすべて偶然に頼ったものなので、ほとんどはその途中に死んでしまい成虫になれるのは4000匹のうち1匹程度である。まさに壮絶なギャンブル虫生といえる。
こんな面白い話が次々と紹介されているのでやめられないわけである。

秋深き

平成30年10月18日
秋も深まってきて朝夕は冷えるようになった。この間まではエアコン、扇風機が必須だったのに季節の移ろいは早いものである。この頃とみに時間が過ぎるのが早く感じられるのは年取ったからだろう。以前にも書いたが、10歳の子供にとっての1年は今まで生きてきた10年のうちの1年だから一生の10分の1という感覚である。50歳の人の1年は50分の1、100歳なら100分の1なので、10歳の子供の1年の感覚と比べればそれぞれ5分の1と10分の1ということになる。歳を重ねるほど時の移ろいが早く感じられるわけである。開業して21年、ブログを書きだして15年、光陰矢の如しという言葉がぴったりする。初期の頃のブログを読み返してみると、その頃の心境と共に情景が思い出されてくるので日記、記録は必要なものだと改めて思う。
初期の頃のブログには、医療の矛盾やおかしいと感じることなどに対する思いを吐き出しているような感じがあったが、次第にすぐには伝わらないのであせらずゆっくり語っていこうと思うようになった。この思いはこれからも変わらないだろう。

西教授の講演

平成30年10月12日
「婦人科領域におけるロボット手術の現況と展望」と題して東京医科大学産婦人科の西洋孝教授の講演があった。
自分たちが医者になった頃の手術は、術野を見ながらメスやクーパー、鑷子などを使って直接行うものだと思っていたが、30年ぐらい前からお腹を切らずに小さな穴からカメラを入れて中を見ながら、マジックハンドのような器具を使う腹腔鏡手術が始まった。お腹を切ると回復に時間がかかるし痛みも強いので、器具の改良と共にこの方法が主流になってきた。
20年ぐらい前からロボット手術が行われるようになったが、これはロボットを遠隔操作して手術を行うもので、我が国にもダビンチという機械が導入されるようになり徐々に増えている。利点は動きが滑らかで無駄がないことと座って操作できるので疲れないこと、視野がクリアで細かいことがしやすいことなどであるが、問題なのは機械が高額なことと使う器具のコストがかかりすぎるうえに手術時間が長いことである。これらをすべてまとめて考えると今後ダビンチ手術が主流になることはないと思われる。最近の医療費の高額化、特に抗がん剤の異常な値段などを見るにつけ、これ以上医療費を使うと国が立ち行かなくなるのではと心配になる。経済がうまくいってこその医療なので順序を間違えてはいけない。もちろん技術の進歩は必要だけれど。

「最高の死に方と最悪の死に方」

平成30年10月4日
表題は医学界では孤立しているが実は賛同者も多い近藤誠医師の近著である。氏が慶応大学医学部の講師の時に著した「患者よ、がんと闘うな」はベストセラーとなり当時の医学界からは総スカンをくったが、世界中の論文を詳細に検討し本当に患者さんのためになるにはどうしたらよいかと考えたうえでの主張は、医師も含め多くの人に影響を与えた。その後も「がん」と「老化」に対しては医学が対処できるものではないという主張は変わっていない。
生物の仕組みは複雑だけれどうまくできていて、現在生き残っている種は環境に適応したそれこそ奇跡ともいえるものである。氏の著書は、ヒトは神ではないので生命の変化である老化とがんをどうすることもできないからじたばたせず自然に任せた方が良いと言っているように思える。これは「動的平衡」の理論をあらわしている生物学者・福岡伸一氏の考えとも重なっているように感じるが、ハーバード大学の病理学者シッダールタ・ムカジー氏の「病の帝王がんに挑むー4000年の苦闘」というピューリッツアー賞に輝いた著書と合わせて読むと一層納得できる。エジプトのファラオの時代からヒトは権力を持つほど、老化を克服することを夢見てきた。同様に「がん」も克服するよう努力してきたし今も続けている。問題なのは、そのために患者さんが苦しむだけの今のがん治療をそのまま続けていいのかということである。本来なら穏やかにあの世に行くことができるのを、今の医学・がん治療がそれを妨げて苦しめていることを認めなければならない。それを近藤氏は訴え続けているのである。

キュリオス大阪公演

平成30年9月28日
連休を利用してシルク・ド・ソレイユの大阪公演「キュリオス」を見に行った。カナダのパフォーマンス集団シルク・ド・ソレイユが日本で初めて公演をしたのは1992年、「ファシナシオン」と題してのものだった。以後、今回で13回目の公演になるがほとんど見に行っている。毎回鍛え上げた体を使っての見事なパフォーマンスに十分満足しているが、今回の公演はテーマがややわかりにくかった。それでも美しい演技には魅了された。
例によって大阪・京都を観光したが、あべのハルカスの展望台からのながめはすごいもので、まさに大阪を一望していて電車・高速道路がジオラマのように見えた。京都は伏見稲荷大社の千本鳥居をくぐって四つ辻まで登ったが、さすがに頂上まで行く元気はなかった。東福寺の通天橋では、紅葉の時期ならどんなに見事だろうと思ったが、たぶん観光客が多すぎてゆっくり観賞できないだろう。
初日の夜は大阪玉造駅の近くにある「ながほり」、ここは居酒屋であるが食べログNo1でミシュランにも載っている店で、料理も酒も申し分なかった。翌日は京都先斗町の「酒亭ばんから」、魚料理にこだわった非常にリーゾナブルな店で京都の人が好む人気店で、やたらと値段の高い和食店とは一線を画した今回の旅の最大の収穫の店だった。帰りは「辻留」の弁当を仕入れて自宅で一杯、いい休暇になった。