カテゴリー 日誌

3か月処方

令和4年1月19日
数年前に厚労省より「処方は1か月にするように、長期処方はだめである」とのお達しがあった。それまでは、更年期症候群や月経困難症の人たちにホルモン剤、ピルなどの処方をできるだけたくさんするようにしていた。症状が安定しているのなら、来院する回数が少ないほうが患者さんの負担も少なくて済むと思っていたからだ。
厚労省のお達しに背いて長期処方をしたら、多くした分の薬代、薬局の調剤料など、全部医師が被らなければならないのである。仕方がないので2か月ならおとがめなしだろうと2か月処方にしたが、患者さんから「もっとたくさん出せませんか」と言われることがあった。コロナ禍になってからむしろ長期処方にしたほうがいいという風潮になっているが、正式なお達しがないのでそのままにしていた。でも他の医師たちに聞いてみると、3か月処方にしても何も言われないという。それで、当院も3か月処方に切り替えることにした。大丈夫なのか少し心配である。

天下の愚策

令和4年1月12日
オミクロン株の感染者が増えたとの理由で、広島県と岩国市等に蔓延防止対策が発令された。原因は米軍基地のある沖縄と岩国の基地内で流行していて、周辺に広がっているからとのこと。ならば、米軍基地に外出禁止などの措置を要求するのが第一で、自国民に意味のない我慢を強いるのは筋が違うだろう。あとでわかったことだが、知事は米軍基地に自粛を要求していたようである。基地側が要求を実行したかどうかはわからない。
そもそもオミクロン株の感染はほぼ「ただの風邪」である。これは南アフリカ、インド、イギリス、アメリカの状況を見ればわかる。むしろオミクロンというただの風邪の免疫に置き換わったほうがいいことは、素人でもわかることだ。にもかかわらず、〇〇の一つ覚えのように、マンボウだと。オリンピックの時の緊急事態宣言が何の役にも立たなかったことが第5波でわかったはずなのに。施政者はトータルで物事を判断し、たとえその時にどんなに非難されても命がけで事に当たるべきである。その点、英国の首相などは、ウイズコロナで一貫している。
一生懸命頑張ってきた飲食店をはじめ様々な業種の人たちに、またもや多大な犠牲を強いるような指導者は不要である。

謹賀新年(令和4年)

令和4年1月4日
新年おめでとうございます。今年もよろしくお願いします。
今日から診療開始、正月休みは5日だけだったので普段とあまり変わらない。昨年暮れ頃から街には若い人たちが増えてきたようで、流川あたりもだいぶ活気が出てきている。いいことである。政府、特に厚労省の無策のために、国民は長い耐久生活をさせられてきたが、ここにきて国民もコロナは我々にとってただの風邪に近いことが、本能的にわかってきたのだと思う。O株こそただの風邪なのだから、さっさと5類感染症に指定すればよいのである。でも事なかれ主義の厚労省も、何もしない分科会のO氏も相変わらずエビデンスを示さずに同じことしか言えないのだろう。
ともあれ、今年こそいい年になりますように。

一年を振り返って

令和3年12月29日
今日が今年最後の診療日、一年を振り返ってみるとやはりコロナに振り回された年だった。初めは武漢コロナがどのようなものかわからなかったので欧米と同様我が国も慎重に対処してきたが、一年も経つと日本ではインフルエンザと同等か、それ以下の脅威しかないことがわかってきた。にもかかわらず専門家と称する人たちは、欧米の状況をみて必要以上に制限を加え、マスコミはあおりに煽った。結果、飲食業をはじめ倒産する企業が増え、国力は大幅に低下してしまった。それに加えて無駄なバラマキ、財政はもうめちゃくちゃである。
このつけは若い人、子供たちにかかってしまう。早急にコロナを5類感染症にすべきなのに厚労省をはじめ専門家と称する人たちは、責任を取りたくないのでなにも言わない。
この一連の動きを見てわかったことは、政府・専門家集団・マスコミがなんと言おうとも、自分で考えて行動することがいかに大切かということである。当院の方針も同じで、今行われている検査・治療法が絶対的なものではなく、常にこの検査・治療は本当に患者さんのためになっているのかを真摯に考えながら行うということで、これは開業当初から変わらない。患者さんのためになることならなんでも取り入れるつもりである。検査結果も、わざわざ来院しなくても電話でいいと言うし、予約制にしないのも、今困っている人を見るのが医療だと思っているからである。今年も同じようにできたのはうれしいことだった。
今年もあとわずか、皆様よい年をお迎えください。

年賀状

令和3年12月22日
今年も年賀状を書く時期になった。例年、クリスマスまでには書き終えたいと思うのだが、生来の悪筆もありなかなか作業が進まない。最近、プリンターを変えたので宛先の印刷がうまくいくか心配だったが、案の定うまくいかない。散々試行錯誤した結果、印刷できるようにはなったが昨年の診療日誌を見ると、筆ぐるめに入れていた住所が消えていたという記述が。年に一回しか使わないので細かいことをほぼ忘れているのだろう。
毎年思うのだが、会うことはもうないと思われる元職場の先輩や同僚、もうやめてもいいのではと思う人などに対して、だらだらと出し続けるのはお互いによくないので止めようとする。でも相手からいただくと返信するとまた翌年は出さないと失礼に当たると思って出す。おそらく相手も同じようになっているのではないだろうか。来年は「これで最後にします」のメッセージを入れた賀状をつくろうかと思っている。

「カリ・モーラ」

令和3年12月16日
表題は「羊たちの沈黙」「ハンニバル」で一世を風靡した作家、トマス・ハリスの13年ぶりの作品である。訳者はもちろん高見浩氏である。ハンニバル・レクターという怪物を生み出した作者が今度はどんな作品を世に送り出すのか、世界中のファンが注目していたと思われる。自分もその一人であった。「ハンニバル」では主人公のハンニバルとクラリス・スターリングが最後には結ばれることで、心地よい読後感があった。
今度の作品は、コロンビアからアメリカに移住し、将来獣医になることを夢見て、いまは傷ついた野鳥などの保護に情熱を傾ける25歳のカリ・モーラが主人公で、子供好きの優しい心映えの女性だが、ひとたび悪党どもに挑まれると、一歩も引かずに手慣れたガンさばきで窮地を脱してゆく、という話である。アメリカの暗黒社会の描写が巧みで、思わず引き込まれてしまう。惜しむらくはヒロインにふさわしいヒーローがいればいいのにと思ったが、これがシリーズ化するなら登場するかもしれない。ただ、作者のトマス・ハリスは現在81歳、寡作であることを考えると新作は無理かもしれない。

近水園(おみずえん)

令和3年12月8日
週刊新潮のグラビアに「その後の織田家・豊臣家の知られざる名園」と称して岡山県の備中足守にある近水園(おみずえん)を紹介していたので行ってみた。
大坂夏の陣で淀君と秀頼は自害し、豊臣家は根絶やしになったと思えるが、秀吉の正妻、寧々の実家の木下家は徳川の世になっても豊臣姓を名乗ることを許されていた。寧々の兄、家定を藩祖とする木下家が支配していたのが備中足守2万5千石、その地に6代目藩主、木下きん定が18世紀に幕府の命を受けて京都御所の普請を行った際に、使われずに残った材木を持ち帰って造ったとされている。足守川の水を引いて池泉回遊式の園池を設け、池内に蓬莱島を兼ねた鶴島・亀島を浮かせ、御殿山(宮路山)を背景に、池のほとりには数寄屋造りの吟風閣が建ち、風情のある大名庭園である。グラビアの写真は紅葉がきれいなので期待して行ったけれど、残念ながらその季節は過ぎていた。近くに旧足守藩侍屋敷遺構もあり、歴史を感じさせられる一日になった。

師走

令和3年12月1日
今日から師走、月日の経つのはなんと早いことだろう。「光陰矢の如し」とはまさに言えて妙である。漢詩にはこのことに類した言葉が沢山あるようだが、洋の東西を問わずヒトの感覚は変わらないのだろう。
人生の残り時間が多いほど時間が経つのが遅く感じられ、残り時間が少なくなるほど早く感じられる、ということだと思う。自分の残り時間がどれくらいなのかを知りたければ、月日の経つ速さの感覚から推し量ればいいのではないだろうか。それが正しいなら、自分はあまり長くないことになる。
立川談志没後10年で発売された「作家と家元」に石原慎太郎氏との対談集、交流の様子が描かれているが、追悼文「さらば立川談志、心の友よ」に、死の直前に息遣いしかできなくなった談志に石原氏が電話の受話器を向けてくれるように家人に頼んで一方的にしゃべり、言葉はなくても二人だけで会話できたと思った、とあったが感動的である。こうして時代は過ぎてゆくのだろう。

人出が増えた

令和3年11月24日
毎年この季節は祝日も多く、国内旅行するのが常であったが、この2年ほとんど出かけていない。昨日の京都の人出は外国人なしでコロナ前ぐらい多かったそうだが、県内も人出が戻っているようだ。車で通過しただけだが、宮島も駐車場は一杯で「うえの」前も多くの人があなご弁当を求めていた。岩国の吉香公園に行ってみたが、駐車場が一杯であきらめた。以前は結構すいていたのでやはり人出が戻ってきたのだろう。じつにいいことである。
コロナ第5波の時の緊急事態宣言は、オリンピックに備えて、まだコロナ感染者が増える前から発令したにもかかわらず、ぐんぐん増えていって自然に減っていった。緊急事態宣言は何の効果もなかったということである。分科会の尾身会長をはじめ有識者たちは「なぜそうなったのかわからない」と言って、何の反省もしていないように見える。緊急事態宣言と禁酒令によってどれだけの人たちが職を失い、経済的犠牲を被ったかを考えると、責任を取るべきである。もちろんマスコミも同罪である。早急にコロナを5類感染症にすべきである。

WEB講演会

令和3年11月17日
「女性外陰部における潰瘍性および腫瘍性病変の鑑別ー性ヘルペスと梅毒を中心にー」と題した愛知医科大学の野口靖之准教授のWEB講演があった。例年なら県医師会館に行って講演を聞くところであるが、講演の出席の可否を問う時期がコロナ第5派の最中だったので、WEBになったわけである。ヘルペス感染症はごく普通に見られるが、梅毒は以前はほとんど見たことがなかった。それが最近はずいぶん増えてまれな疾患ではなくなった。でも発見できればペニシリンが効くので治療できる。細菌に抗生物質を投与していくと耐性ができて効かなくなることが多いが、梅毒にはしっかり効くのである。
ヘルペスはウイルス感染症なので、発症して治癒するまでの経過はわかっている。薬は一応あるがあまり効かないけれど、一定の日数が過ぎれば風邪と同じように自然に治る。再発するが2度目以降は数日で自然に治るので、あわてて医療機関を受診しなくてもいい。これらの疾患は開業医が一番診ているだろうなと思った次第である。