平成16年5月24日(月)
日誌を休みだすとぶりがついてしまって、金、土と日誌を休んでしまった。今日は梅雨明けの初夏のような気候である。先週はまるで梅雨のような天気が続いていたからだが、こんな日は仕事がなければ海や山に行きたい所である。
中絶するかしないかでもめている人がいる。かと思えば中絶して1年以上経っていて相手ともめている人がいる。関係が深ければ一層もめごとも多くなるのだろう。まことに難しいことである。配偶者のいる女性(つまり結婚してだんなさんがいる人です)が、配偶者以外の男性(つまり不倫の関係ですね)との間に妊娠して中絶を希望した場合、同意書に記載するのはだれの名前でしょうか。正解は本人(妊娠した女性)はもちろんですが配偶者の同意が必要なのです。この場合、配偶者がすんなり同意するでしょうか。きっとかなりもめると思います。血の雨が降るかもしれません。怖いことです。
カテゴリー 日誌
中絶にまつわる話
尺八の話
平成16年5月20日(木)
今日は尺八の話。尺八は1尺8寸の竹に5個の穴をあけたものであるが、上端に歌口がついているだけの非常にシンプルな楽器である。リコーダーに似ているが、歌口の部分は斜めに切ってあるだけなので音を出すだけでも難しく、初めは全く音が出なかった。数ヶ月続けたがあまりいい音が出ず、一時やめようかと思ったが「3年やってだめならやめよう、石の上にも3年と言うし」と決めた頃から音が出るようになった。尺八の音は倍音が幾重にも重なり、リコーダーなどではだせない複雑玄妙な音が出せる。5つの穴ですべての音を出すためには、息の吹き方と穴のふさぎ方を組み合わせなければならないので、これが最も難しい。フルートなどは、穴のふさぎ方を機械的にできるように工夫してあるのでそういう意味での苦労はない。尺八では吹く人の職人芸が要求される分、微妙な味わいがあると思われる。典型的な和楽器といわれる所以である。発祥はアジアらしく、紀元6~7世紀に日本に伝わったとのことだ。正倉院には尺八がおさめられている。どういうわけか外国人が尺八にはまるようである。1994年の夏、第1回国際尺八フェスティバルが岡山県の美星町で開かれた。ちなみに美星町は私の故郷に近く、高校時代の同級生も美星町出身者がいて、自宅に遊びに行ったこともある。「日本一星の美しい町」とのキャッチフレーズで売り出しているところである。外国からも大勢参加者がいたそうである。
それはさておき、5月30日(日)に師匠のコンサートがあり、弟子たちもちらっと出演することになっている。もちろん私も出ます。
中絶よりピル
平成16年5月18日(火)
今日はキャンセルを繰り返したあとの中絶があった。やはり気持ちが揺れるのだろう。こちらは医学的に問題がありそうな時にはアドバイスするが、基本的には黙って見ているだけである。色々葛藤があるのがわかっても聞かれるまでは何も言わないことにしている。処置の後は気持ちが落ち着く人が多いのだが、それを引きずる人もいる。体よりも心にダメージを与えることが問題なのだ。私がピルをせっせと出しているのもそういうことが少なくなって欲しいからだ。何でみんなピルを怖がるのだろうか。
ピルの副作用?
平成16年5月17日(月)
湿度の高い不快な日が続く。まるで梅雨のような天気だ。先日のトライアスロンの妊婦さん(4月30日の日誌参照)であるが、順調に経過している。来月頃またトライアスロンの大会があるそうだがこれはキャンセルしたとのこと。今は一日3キロ程度ジョギングをしているとのこと。「散歩の方がいいですよ」とは言っておいたが彼女には散歩では物足りないだろう。きっとジョギングは止めないと思う。
Dさんはピルを飲み始めて10日目ごろから体中に発疹が出てきた。その頃、胃薬も飲み始めたので内科を受診したら「胃薬のアレルギーの可能性が高いが、ピルを飲んでいるのなら婦人科にも聞いておいたほうがよいです」とのことで来院、一旦中止してもらう。その後、連休初めに発疹の薬がなくなったので、休日診療で受診した所入院をすすめられ12日間某国立病院に入院していたとのこと。入院していた皮膚科ではピルの可能性が高いとのこと。詳しくは落ち着いたら検査する予定だそうである。当院でピルを処方して3年になり8000シートぐらいは出していると思うが、こんなことは初めてである。どうかな?と思ったことは何回かあるが、結局問題なかった。検査の結果が待たれる所であるがDさんはできればピルを続けたいとのことだった。
逆子のお産
平成16年5月15日(土)
早速昨日の日誌をパスしてしまった。忙しかったこともあるが、正直しんどくなったからだ。有名人のサイトで毎日日記を公開している人がいるが、その気力としつこさには心から敬意を表する。
久しぶりに来られた人が「先生に逆子を取り上げてもらいました。その子はもう8歳で元気に走り回っています。お産の時赤ちゃんが途中で出てこなくなって、先生が真っ青になったとおっしゃったんですよ」とのこと。思い出した。逆子の分娩の時、赤ちゃんがバンザイをしてびくともしなくなったことを。あの時は本当に血の気がひいた。小児科の先生と他の産婦人科の先生に、すぐに分娩室に来てもらうよう連絡を頼み、助産婦に子宮を押さえてもらいながら、上肢解脱、無事に生まれたが分娩まで1分はかかっただろうか。赤ちゃんが無事に泣いてピンク色になった時は心からほっとした。完全に忘れていたが、患者さんの言葉ではっきりと思い出してしまった。
今はお産をしていないのでこんな思いはしなくてすむが、妙にになつかしいのはどうしてだろうか。きっと産婦人科医の原点であるお産をしてみたい気持ちがあるのだろう。
毎日書くのは無理
平成16年5月13日(木)
毎日書くのは大変だと真剣に感じている。無理をするとよくないので、ときには書かない日もあるかもしれない。その時はしょうがないと思っていただきたい。
今日は診療は昼までなので特に問題となることはなかった。
説明は難しい
平成16年5月12日(水)
MRさんが言うには、ピルのメーカー価格を上げるとのこと。しかも関東ではもう上げていると言う。今でも高いと思っているのになんてことを。今までと全く同じで材料費が上がったわけでもなく、唐突な話だ。仕入れ値がいくら上がっても患者さんには同じ価格で提供するつもり(涙)だが、どういうことなのだろうか。値上げの理由がわからない。
無排卵の患者さんがいる。現在妊娠の希望はなく、体調も良い。基礎的なホルモン量は問題ない場合、①経過を見る、②排卵誘発剤を使ってみる、③ピルで毎月生理をおこす、の選択がある。どれも正解なのだが患者さんがどうしたいかによって異なる。そのことを縷縷説明するのだが、何を言っているのかという顔で見られることがある。こういう時は初めから「あなたはこうしたほうが良いですよ」と言っておけばよかったかなと思うことがある。時間をかけて説明して不信感をもたれてなにもいいことはないのだが、よかれと思ってつい言ってしまうのだ。自分の性格も変わらないなとつくづく思う。
性同一性障害
平成16年5月11日(火)
今日は処置もなくヒマだった。どうも患者さんの数に波があるようだ。やはり多いときのほうが自分はパワーが出る。性同一性障害の人を複数診ているが、ここしばらく姿を見なかった人が半年ぶりに来院されホルモン注射とホルモン剤の処方。男性から女性へ、女性から男性へどちらもあるのだが、女性から男性への方が薬の副作用も考えると難しいように思う。人間の原型は女性だと思うので、女性から男性へは難しいのではないだろうか。いずれにせよ精神科の先生に紹介して相談しながらフォローしている。
タバコはうまかった
平成16年5月10日(月)
朝クリニック開始前に某病院に行き、婦人科健診をする。ここは企業の健診や人間ドックが多く、婦人科がないため週1回婦人科健診を手伝うのである。初めの頃はかなり人数も多かったのだが最近は希望者が少ないようだ。終わった後急いで自分のクリニックに到着、仕事を始める。午後に私の入っているビルのオーナーの耳鼻科のクリニックで診てもらう。昔から鼻炎、ポリープなどあって耳鼻科とは切っても切れない関係であった。だから同じビルで受診できるのは本当にありがたいことである。私は至って健康なのだがどうも耳鼻科系が弱いようだ。だから4年前にタバコもやめた。もし何ともなかったらきっと今でもヘビースモーカーだろう。人生の楽しみは悪徳にあるとの箴言があるが、確かにタバコはうまかった。もう吸う気はないが、あのうまさは記憶のひだにしみついているのである。
ポケットベルの音
平成16年5月8日(土)
最近は土曜日の方がゆっくりしている。以前は逆だったのだが、なぜだかわからないが最近はこうなっているのだ。週休二日は私にとっては関係ないこと。勤務医時代は休みが貴重だった。お産がたくさんあり、夜中に起こされることが多かったので睡眠のリズムが狂い、休日はリラックスできる大切な日だったのだ。そういう生活を20年近くおくっていると、ポケットベルや電話の音に強い反応を示すようになる。たとえば夜中に病院から家に電話があると、家人が起きてしま うのでポケットベルを鳴らしてもらうようにしていた。だから深く寝込んでいてもポケットベルには反応してすぐに目覚めていたのである。開業してからはお産がないので夜に起こされることはほとんどないので反応が鈍くなっているようだ。ただ、習慣でいまも携帯電話は風呂とトイレ以外はつねにそばに置いている。産婦人科医の習性だろうか。



