平成17年8月20日(土)
我が家では愛犬「麻呂」号を暑さしのぎのために玄関の中に入れてやっていたが、三和土(たたき)から上にはあがってこない。外に出すと中へ入れてくれと玄関の戸に体当たりをするので、入れてやると満足している。愛(う)いやつだと安心していたら、先日勝手にうえに上がり、気がつけば二階から階段を降りてくるではないか。麻呂は自分も家族の一員(人)だと思っているので皆と同じようにあがってきたのだろう。かわいそうだが叱りつけて元の玄関先に戻してしまうと、初めはいやがっていたがじきにあきらめておとなしくなった。あきらめが早くやはり愛いやつである。
今日は午前中は忙しかったが午後はのんびりしていたので、紹介状の返事など書類がゆっくり書けてよかった。
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「麻呂」は愛いやつ
盆明けの患者さん
平成17年8月17日(水)
今日からお盆明けであるがさすがに患者さんが多かった。以前当院を受診していてご主人の転勤などで他県に住んでいて、里帰りで帰っている人の受診も多かった。生まれた赤ちゃんを連れてきて見せてくれる人もおられてうれしいことであった。我々にとって信頼されることは一番大切なことで、もし信頼されなければ自分の力不足を反省しなければならない。信頼されてはじめてほっとしてまた頑張ろうと思うのである。
当院は若い人の受診が多いせいだろうか保険証を持っていない人も時々来院され、今日も二人おられた。一回だけですめばいいが治療が長引くような場合は負担が増えて大変だろう。やはり国民皆保険はすばらしい制度だと改めて思った次第である。
立秋を過ぎると
平成17年8月12日(金)
立秋を過ぎると暑さもどことなく峠を過ぎたように感じられる。昼間は暑いのだが夕方になると秋を感じさせるような風が吹くようになった。お盆を境にして空が深い青になり秋に移行していくのである。
当院は明日13日(土)から盆休みに入るが、16日(火)までの4日だけなので今年はどこへも行かずのんびり休むつもりである。今日は休み前なので忙しいかと思ったら午前中は逆にヒマだったのでカルテの整理などができてよかった。午後になると結局いつもと同じで夕方忙しくなって終了。
HPV(ヒトパピローマウイルス)への対処
平成17年8月9日(火)
細胞診で軽度の疑陽性の場合は、1~3ヵ月後に再検することが多い。ほとんどの場合、同じ疑陽性の状態が続き、精密検査をしても軽度の異型上皮という悪性ではないが正常でもないという結果が多い。特に若い人の場合はHPVというウイルスの感染による細胞・組織の変化のせいであることがわかってきた。そのままにしておくと、ほとんどの場合は疑陽性のままでそのうち正常にもどることも多いが、一部では悪性に進むこともあるので一定の期間ごとに細胞診をしなければならない。これは本人にとっては不安な気持ちになることに加えて、通院の負担も結構大変だろう。異常を見つけても経過を見る以外には方法がないというのは、どう考えても医療側の責任でなんとかしなければならない問題である。
そこで、HPVに効果のある薬を塗ることによりウイルスを殺し、感染細胞が修復されれば細胞診も正常に戻るのではないかと考えた。ちょうど、いくつかの大学で同じ方法の治療をした論文が発表されていたので、軽度の異型性の続く患者さんにインフォームドコンセントの上治療を試みた。細胞診の異常の認められた部位に1~数回薬を塗るだけであるが、副作用はなく患者さんには何の問題もなかった。
その結果は、現在までのところ32例中14例は正常にもどり、13例は変わらず、1例は進行し、4例は脱落例(来院せず)であった。全くの無治療で経過をみた場合と比較しなければならないが、副作用がないことを考えるとなかなか良好な結果だと思う。もう少しこのまま続けてみるつもりである。
保険証の使いまわし
平成17年8月5日(金)
先日来院された患者さんで、初診なのでカルテをつくろうとしたらすでに6年前に住所氏名生年月日が同じカルテがすでに存在していた。そのことを本人に問いただすと、その頃保険証を持たない友人に自分の保険証を貸したからだろうと、全く悪びれずに言うので驚いた。これは犯罪なのだと厳重に注意しておいたが、初診で来た人の保険証が本当に本人のものかどうかを判別するのは難しいと改めて思った。初診の人に運転免許証を見せろと言うわけにもいかないし、全員が免許証を持っているわけでもない。保険証の使いまわしはしないだろうとの善意の解釈で信用しているのだが、使いまわしをされていても調べることが難しい。少数の不心得の人間のために多数のまともな人が身分証明をしなければならないようにはなって欲しくないが、これに類したことはいっぱいあるだろうからある意味社会のコストと考えなければならないのだろうか。
四季を愛でる
平成17年8月1日(月)
もう8月になった。暦の上では晩夏、立秋となる月であるが実際は盛夏といってもいい暑さである。この暑さもお盆の頃になると峠を越して秋の気配が感じられるようになる。日本の季節の変化はダイナミックかつ繊細なので、季節の変化を表す言葉は多彩でありこれぞ日本文化だと感じられる。手紙に書く定型語の豊富さは世界一ではなかろうか。もっともこれらの言葉は最近では中元・歳暮の礼状に使うぐらいであるが。
日本は実に緑の多い国だと思うのは、以前スペイン、モロッコに行った時に実感したことである。思うに東南アジアから日本にかけての地域が世界で最も人が生きていきやすい場所ではないだろうか。豊富な水、温暖な気候など人が生きていく上で一番必要なものがそろっている。人が多いと争いがふえてくるが、日本は島国で他の国からは隔絶していたために独特の文化が生まれたのだと思う。緑が多いのは水が多いわけで気候も温暖、実に恵まれた地域だと思う。この恵まれた地域に住んでいられるがゆえに、四季を愛でずにはいられないのである。
セカンドオピニオンについての考え
平成17年7月29日(金)
当院にもセカンドオピニオンを求めて来院される患者さんがおられるが、ほとんどの場合初めの医療機関の診断・治療方針と同じ意見である。むしろそれとは関係なく来院されて問診の際に以前の診断と治療に?を感じることの方が多いように思う。診断に関しては診断した時期が異なれば微妙に違うこともあるし見立て違いもあるだろうが、一旦診断が確定し治療を始めれば内容によっては患者さんになんらかのストレスを与えることになる。
子宮内膜症などはこういう事が起こりやすい典型的な疾患で、いろいろな問題を含んでいる。まず診断そのものが初期のばあいは難しい。つぎに、たとえ正確に診断できてもなかなかいい治療法がないということもある。そのために高額な薬や長期にわたるフォローをするようになり、場合によってはよりストレスを与えてしまうこともあるかもしれない。したがってこういう疾患はなによりもまず正確な診断が必要であり、治療も長期にわたる可能性があるのでできるだけ患者さんの負担が少ないようにする必要がある。それぞれの治療法の利点と欠点を説明して選んでもらうようにしているが、どうしても自分がいいと思っている方法をよりくわしく説明してしまうようだ。
誘導は良くないとは思うが、みすみすあまりよくないと思っている治療法を選ばれるのは気の毒である。そのあたりのことが難しいのである。
ピル普及のためのセミナー
平成17年7月26日(火)
先日医療従事者を対象にしたピル普及のためのセミナーに参加してみた。ピルの会社がスポンサーになっていて、産婦人科の医師とスタッフをターゲットにしてピルを普及させるように啓蒙する試みで、全国各地で何回か行われているようである。会場には結構参加者がいたが、惜しむらくは医師の参加が少なくその大部分はすでにピルを積極的に処方している人ばかりで、頼まれて参加している人たちがほとんどのようであった。私はピルの会社からはいっさい頼まれていなかったが、興味があったので参加したのである。そこで思ったことは、ピルの有効性を認めて処方している医師ばかり集めてもあまり意味はなく、処方していない医師に話をしないとセミナーの目的は果たせないだろうが、興味のない医師はそもそも集まらないから難しいということだ。またいくらピルがいいからとすすめてもユーザーが必要を感じなければこれまた意味がない。なんでも日本は先進国のなかではピルの普及率が最も低く、1,8%で(ちなみに欧米では20~40%だそうである)もっと普及させようということである。
広島で多くのピルを処方している医療機関の一つである当院の感触では、日本でのピルの普及はそのメンタリティゆえに難しいだろうと感じる。最近は若い世代が結構使うようになっているが、ピルは自然に反するとの気持ちの強い世代には論外のようだ。私としては、必要な人には勧めているがこちらから大々的に宣伝してまで出そうとは思わない。
アスベストによる中皮腫
平成17年7月23日(土)
暑い日が続く。午前中は患者さんが多くフル回転で診療する。でも午後は結構ヒマだった。
アスベストによる中皮腫の被害が毎日報道されている。恥ずかしながらここまで危険なこととは知らなかった。学生時代に内科で「アスベストーシス」については習った覚えはあるのだが、塵肺などと同じようなものとしか認識していなかった。アスベストを吸って20年以上経って腫瘍が発生するとは大変なことである。現在は大丈夫と思われていても将来禁止されるものはきっとあるだろう。昔は肝細胞がんの原因の多くがC型肝炎ウイルスであることや、HPVウイルスが子宮がんの原因だとはわからなかった。だから予防接種の注射器の使い回しはあたりまえのことだったのである。小学時代に日本脳炎の予防注射をクラスでならんでうけていたが、一本の注射器で4~5人ぶんの量があった。今は注射針の使いまわしはなくなったが、これに類したことはいつおきるかわからない。
夏は元気のない「麻呂」
平成17年7月20日(水)
梅雨明け宣言が出て本格的な夏になった。毎年この時期は我が家の愛犬「麻呂」はぐったりとして元気がなくなる。今年は数日前から下痢しておりいっそうだるそうである。ビオフェルミンを飲ませてみたり、抗生物質の投与を考えたりしているがこの暑さでは仕方がないのかもしれない。室内ならクーラーが効いて快適だろうがあいにく屋外犬である。玄関脇で庇とビーチパラソルで十分日陰になるようにしているが分厚い毛皮は暑さには敵となるのだろう。打ち水をしたり水を入れたバケツをおいたり、家族は色々と気を使っているようだ。なにしろたいていの犬好きの人からは「性格のいい犬だ」といわれて喜んでいる我が家の癒し犬なのである。はやく元気になって欲しいものである。