「爺の流儀」

2026年7月31日
表題は嵐山光三郎氏の著作で、2,025年2月初版発行である。氏は2,025年11月に亡くなっているので最晩年の著書の一つである。
嵐山氏の本名は祐乗坊英昭で父親は朝日新聞社から多摩美術大学教授を務めたデザイナー、母親は107歳で大往生、家族のことはあまり公にしなかったが、氏の著書には母親の「ヨシ子」さんのことがよく出てくる。長男である氏は、両親の住む敷地に家を建てて住むことになったので、父親が87歳で亡くなった後は母親のことをずっと見守っていた。
氏は「素人包丁記」「文人悪食」「頬っぺた落としう、うまい」など食にまつわる著作が多く、また松尾芭蕉の足跡をたどった「芭蕉の誘惑」や「悪党芭蕉」などの作品もあり年の半分は旅先にいる生活だった。
この作品では前半は家族の老いと自身の老いを日常目線で描き、老いていく心構えを説いている。後半では北原白秋の晩年、谷崎潤一郎のこと、陶淵明のことなどを紹介している。最後は自身の老いを楽しんでいるようであるが、なかなか深いことをあっさりと笑い飛ばしているようで面白い。テレビ画面で見ていた氏の顔を思い浮かべながら読んだ。