平成23年11月8日(火)
日本人は薬好きだといわれるが、確かに医療機関では多量の薬が処方されている。医者が処方しすぎるのか、患者さんが求めるのか、その両方の相乗効果なのか、とにかく医療費に占める薬剤費の割合はアメリカの3倍、フランスやドイツの2倍である。明らかに薬の使い過ぎだろう。
本当に必要な薬は約300種類で、これだけでほぼ対処できるというエッセンシャルドラッグの概念がWHOで提唱されて久しいが、わが国では世界一高い薬が17,000商品も売られている。同じ薬でも日本以外の国と比べて高い薬価になっていて、喜ぶのは外資系も含めた製薬会社だけである。一方、昔から使われていて評価の定まった薬は薬価が下げられて、製薬会社は利益が出ないから製造中止にしようとしている。
当院では薬の処方は実に少なく、本当に必要だと思う薬しか処方しないようにしている。ただし、患者さんが漢方薬や他院で処方されていた薬を出してくれと言われた場合には、一応自分の考えを言った上で、それでも求められたら仕方なく処方することはある。もちろん納得されて今まで使われていた薬を止められる患者さんも多い。思うに自分のような医者ばかりだったら製薬会社はいやがるだろうが、薬剤費は大幅に減るのではなかろうか。