桃の節句

平成23年3月3日(木)
桃の節句。暖かい日が続いていたが、また寒さがぶり返してきた。これをあと2~3回くり返したら春になる。まことにわが国の季節のうつろいは風情がある。昔から季節の節目にささやかなお祝いをして寿いできた。あと数日で啓蟄である。
国会でも、相撲界でも、入試でもおかしなことが起こっているようだが、それらをすべて飲みこむように季節が過ぎて行く。きっと人生もそのように過ぎて行くのだろう。その場その場で懸命に生きているうちに、ふと振り返ると自分の来し方の概要が見えてくる。それをどう感じるかは人それぞれだろうが、どうであれ今この時が現実なのである。
青春期に愛読した「次郎物語」のなかに、やはり思春期の次郎が進むべき道について考える場面がある。人は生まれおちた時から進むべき道、到達点などすべて運命づけられているのではないか。そして「努力」というのは、運命づけられたわずかな道幅のなかの移動にすぎないのではないか、と。さらに、次のようにも考える。生まれた時を円の中心として到達点を円周とすると、考え方や努力などによってわずかな方向の違いでも、円周に到達したときには大きな違いがあるのではないか、と。また、円周に到達すれば、「運命」から解放されて自由になれるのではないか、と。
季節の移ろいを感じていたら、久しぶりに昔の頃のことを思い出した。そしてその考え方は今も変わっていないと思うのである。