過剰診療?

平成21年4月17日(金)
病気に対する対処の仕方は個々の医師によってずいぶん違うものである。
2年ぐらい前に当科で子宮筋腫と診断した患者さんがおられた。症状も軽度で貧血もなく経過観察で問題ないので、年に1回ぐらい診せてくださいと言っておいたがその後は来られていなかった。ところが最近その患者さんが、他院で手術を勧められたので驚いてMRIの写真を持って意見を聞きに来院された。
他院で子宮がん検診をした時に子宮筋腫を指摘されてMRI検査を勧められ、そのあとで手術を勧められたそうである。聞けば症状はあまりないようなので、筋腫がよほど大きくなったのかと思って超音波検査をしてみたが、2年前と比べてあまり変化はない。そこで、「2年前の状態と現在の状態と比較してみても今手術が必要とは思いません、手術は最終手段であって軽々しくするものではありません、現在症状があって困っているわけでもないのに手術は勧めません、今後は超音波検査でフォローすればいいです」とお答えした。
かつて子宮筋腫といえば手術をするという時代があった。現在はできるだけ保存的に治療するようになっているし、実際ホルモンを抑える薬や低用量ピルなど有効な方法があるので、手術しなくて済むようになっている。実にいいことである。この度は同じ患者さんに対して医師によって検査をどれだけするのか、治療をどうするのかなどずいぶん意見が違うことを痛感した次第である。