何のための健康診断

平成19年3月31日(土)
先日も当院にかかっている患者さんが、健康診断で尿の潜血反応が陽性だったので医療機関を受診するようにいわれたと来院された。健康診断が行われたのはなんと!去年の11月である。いったい何のための健康診断なのだろうか。法律で健康診断を義務付けているために、各企業は仕方なしに行っているわけだが、健康診断そのものが無意味であるとわかった以上法律を変えてやめるべきである。なるほどドックも含め健康診断そのものを始めた頃は有用だと思っていたし、それはそれでよかったかもしれないが、有用性が否定されたのだからやめるべきである。なにより対象となる人が気の毒である。何の役にも立たないことを義務として検査され、異常が見つかったからといわれて医療機関を受診する。それも何ヶ月もたってからである。急を要する疾患なら遅すぎるし、そうでなければ治っているかそもそも受診する必要のない指摘が多い。二重の意味でむだな負担を強いられている。
何度でも言うが、症状もないのにこれらの検査をするのは百害あって一理もないのである。早期発見すればなんでも良くなると思っているかもしれないが、治るものは治るし治らないものは治らないのである。こんなことを言っては身も蓋もないが医師の役目は「癒し」であり意味のない検査や治療と称して苦痛を与えることではないはずだ。