妻の肖像

平成23年1月12日(水)
ジャーナリスト徳岡孝夫氏の「妻の肖像」という著書がある。45年間連れ添った奥様が、腎臓の腫瘍で数カ月で亡くなられたのを契機に、氏の人生、奥様との出会い、家族との生活、妻亡き後の想いなどが淡々としたためられていて心打たれる。
著書の中に「人間はこの世に生きて何をするか?私はまだ終わりきらない自己の人生を顧み、『死者を悼むこと。子を産むこと。それ以外はなにも大切なことはない』と感じる」とあるが、新聞記者として、ジャーナリストとして、作家としてすばらしい仕事をしてきた氏の言葉だけに、いっそう重みがある。また、妻との45年間の生活は一瞬のことだったと回想して「人の一生は邯鄲一炊の夢である」という。まさにその通りだと思う。そしてその中にこそ人生の喜びや悲しみがつまっているのである。自分が老いて死ぬときにはどんな心境になっているのだろうか。

初詣

平成23年1月4日(火)
謹賀新年 あけましておめでとうございます
本日より診療開始である。正月は基本的に寝正月だったが、2日には久しぶりに宮島へ初詣に行った。車で行くのは無理だと思い、電車で行ったが車内は鮨詰め状態でフェリーも満員であった。厳島神社の入り口にも長い列ができていて、さすがに世界遺産だと感心した次第である。これだけの人数の願い事をはたして神様は聞く事ができるのだろうか?昼食は予約しておいた「岩惣」であなごをいただく。
今年はどんな年になるかわからないが、「一期一会」の気持ちでやっていこうと思う。今年もよろしくお願い申し上げます。

一年をふり返って

平成22年12月29日(水)
今年最後の診療日である。市内の産婦人科の半分以上はもう休みに入っているようだ。仕事おさめを終えた多くの人たちは新年を迎える準備や、休みを利用した旅行、遊びなどに余念がないように思われる。今日はこの一年を振り返りながら診療をしていこうと思う。
この一年は今までで最も色々なことがおこった年だった。いいことも悪いことも…つくづく思うのは人生は振り子のようなもので、振幅が大きければ大きな良いことと悪いことがおこり、振幅が小さければ小さなそれらがおこるのではないか。もっとも、良いこと悪いことはその人から見たことで、他人から見たらあるいは神の眼から見たら異なるかもしれないが。それでも他人から見たら些細なことでも、本人にとっては重大なことは一杯ある。
毎年、こうした思いを繰り返しながら年老いて行き、消えて行くのだと思う。それでも、その小さな喜びや悲しみの中に人生の味わいがあるのだろう。今年一年、ありがとうございました。

子宮がん予防ワクチン

平成22年12月24日(金)
広島市では来年から、子宮がんを予防するワクチンを、中学1年生から高校1年生までの女子に無料で接種することになるらしい。対象人数は2万人弱と思われるがかなりの予算が必要だろう。なんでも国と自治体が費用を折半するとか。
いいことだとは思うのだが、費用対効果を考えると疑問がある。現在のところワクチンは英国製薬会社の独占で、非常に高い値付けになっており、もっと国として交渉して、安くしなければ実施は先送りするとか、近く発売される別の製薬会社のワクチンと競合させるとか、税金の無駄遣いをなくすべく努力をしなければダメである。
わが国の子宮がんによる年齢調節死亡率は年間、2万人に1人である。上記の女子全員にワクチンを接種したとして、将来子宮がんによる年間1人の死亡を0,3人にすることができるというふれこみではあるが。

菊屋のとんかつ

平成22年12月16日(木)
一段と寒さが厳しくなり、朝夕の自転車通勤に完全な冬支度が必要になってきた。混乱していた受付事務の交代も落ち着いてきて、いつものペースに戻ってきたのはありがたいことである。
やっと昼食を自由にとれるようになったので2週間ぶりに「菊屋」に行ってロースかつを食べたが、やはり旨い。とんかつは以前は近くにある「れんが亭」で黒豚ロースかつ一辺倒だったのだが、数年前に「快食com」で「菊屋」を知ってからは少々遠いけれど自転車で通っている。
クリニックの近くには食べもの屋はいっぱいあって、たとえば隣のビルにも2軒、その隣にも古くからの大衆食堂があり、筋向いのビルにはイタめし屋がある。2軒隣にはタイ料理の店など、過密している。それでも行く店は限られていて、注文するものもほぼ同じになるのは不思議なことである。

受付事務の交代

平成22年12月9日(木)
懸念していた世話人・幹事として開催した地区医師会忘年会も無事に終わり、ほっとしたのもつかの間、院内の事務の交代で混乱している。われわれのような小規模の施設は一人抜けるだけでも大変なのだが、結局同時に2人交代になったからである。2週間前まではこんなことになるとは夢にも思っていなかった。私も至らなかったが、関係者にご迷惑をおかけして申し訳なく思っているが、はやく落ち着いてほしいものである。
先週の日曜日は邦楽演奏会があり、一日、和の世界にひたったが、リフレッシュできてよかった。音楽や芸能はなくてはならぬものだとしみじみ思った次第である。

チェロリサイタル

平成22年12月2日(木)
もう師走である。時間が矢のように過ぎて行く。
昨夜は知人の奥様のチェロリサイタルに招待されてカミさんと行ってきた。会場が満席で座る場所を探すのに苦労するぐらいであることに驚いたが、演奏を聴いてそのすごさに一層驚き納得した。すべての曲を暗譜で演奏されたが、音の美しさ、なめらかさ、抑揚、どれをとっても完璧な演奏であった。プログラムが終わってもだれ一人席を立とうとせず、アンコールを何曲も演奏することになったが、すごい人がいるものだと思ったことである。
いい音楽は誰が聴いても心を惹かれる。以前音楽をされていたとは聞いていたが、知人の主婦という認識しかなかったことを恥じた次第である。世界は広い。

オイスターロード

平成22年11月26日(金)
秋というより初冬のような気候になってきた。先日、めでたく結婚式を終えた次女夫婦を誘って、宇品波止場公園にできた季節限定、ビニールハウスのカキ小屋、「オイスターロード」で焼きガキ、えび、さざえ、いか、アジの一夜干しなどを食べた。ここは、県の肝いりでできたもので、キログラム1000円の浜値で供されるカキを自分で炭火で焼いて食べるという趣向である。
カキを殻ごと炭火の上に載せ、焼けたらレモンを絞って食するので、結構忙しいけれど雰囲気が出る。ビール、日本酒、チューハイなどは自動販売機で買うので安いし、地面にしつらえた炉で焼くのでバーベキューと同じである。カキだけでなく干物も旨かったが惜しむらくは、日没終了なので夕方5時にはオーダーストップになることである。バーベキューの準備は後片付けも含めて大変だが、ここなら手間が省けてなかなかいいと思った。

人生いろいろ

平成22年11月18日(木)
開業して14年目にもなると、特にどこも悪くなくても検診なども含め長く来院されている人が増えてくる。お話を聞けば、その間には色々なことがあったことがわかる。いいこともあれば悪いこともあって、まさに人生の縮図を見る思いがする。
やはり悪いことの方が多いようで、ご主人や身内の病気、死亡などの話を聞くたびに本当につらかっただろうなと思って言葉も出なくなる。また、ご本人も婦人科以外の病気になったり手術をしたり色々なことがあったことを聞く。自分自身もこの間に2回手術を受けたが、開業まではまさか自分が患者になるなんて考えたこともなかった。いずれにしてもなるようにしかならないだろうが、たまにある幸運なことを大切にしていきたいものである。

尺八演奏会に出場

平成22年11月13日(土)
先日の文化の日にアステールプラザで尺八の演奏会があり、出場して3曲吹いた。残念なことに30周年を迎えたこの演奏会も今回が最後になるかもしれない。琴・三弦は東京から来られた一流の演奏家なので、自分の未熟さが一層際立ったがそこはさすがにプロで、こちらのミスをうまく隠してくれるように弾いてくださった。
江戸時代から引き継がれてきた地歌は、西洋音楽で育った世代にはとっつきにくいと思われるし、実際自分にとっても初めはこれらの曲のどこがいいのだろうと思っていた。しかし、なんどもなんども吹いていると、なんともいえない味わいがでてくる。さすがに時代を超えて受け継がれてきたものは、本当の意味での魅力があるものだと思い知ったことである。
おそらく他にも自分の知らない魅力的な分野はいっぱいあるのだろう。もっと色々知りたいものである。