七変化

平成23年3月26日(土)
嵐山光三郎によれば、女は7年毎に変貌するそうである。どれほどかわいい娘さんでも、結婚して7年たつとおばさんになる。14年たつと妖怪となり、21年たつと鬼婆になり、28年で超獣となって、それ以上たつと手のつけられない神様となり、これをカミさんという、とある。
うまいことを言うものである。比べて男性は残念ながらいつまでたっても変身できそうにない。初めは強くてたくましそうに見えても、歳をとるにつれて衰えて行く。枝雀の落語を聞いても男は向う意気だけは強いけれど、いつもカミさんにやられっぱなしである。確かに神様になったカミさんに逆らえるはずがないのである。

東日本大震災

平成23年3月17日(木)
3月11日に起きた大地震はその規模から歴史に残ることだろう。続いて襲ってきた津波のすごさにはただ驚くばかりである。被災地の方々の心労はいかばかりであろうか。
それにしても政府の対応の稚拙さには驚きを通り越して怒りを覚える。原発の重大な状態に対しても、後手にしかまわらず、責任を全部電力会社に押し付けており、政府主導で対処することにしたのはずいぶん後になってからであった。以前トヨタがアメリカでバッシングを受けた時も全く助けようとしなかったが今回は深刻さが違う。民主党、管政権はいったい何をしたいのだろう。今この未曽有の国難には、あらゆる知恵と力を結集して対処しないとそれこそ国が滅びる。政権を維持するためだけの政権なぞいらない。
今われわれができることは、義捐金を送ることだと思う。救援などはプロに任せるべきで、後方支援として求められたことをすればよい。今こそ全国民が力を合わせて乗り越えなければならない。

子宮頸がん予防ワクチンに思う

平成23年3月10日(木)
今年の1月から1年間の暫定措置で、中1から高1までの4学年の女子生徒に、子宮がんを防ぐためのワクチン接種が始まっている。英国の製薬会社が開発した非常に高価なワクチンであるが、彼らのロビー活動の成果により、わが国の政権与党である民主党のバラマキ政策と一致して、接種が始まったわけである。
一般の人たちがわが子のためになると信じて接種させるのは当然である。何の問題もない。問題は政府与党と、専門家である。わが国の子宮がん(頸部がん)の年間死亡数は2,500人である。年齢調節死亡率では2万人に1人。そして、ワクチンを全員に接種したとしても、3~4割の人には無効なうえに、ワクチンの効果も7年先以降についてはまだわかっていない。
わが国は借金を重ねて毎年赤字国債を発行しているが、これらのつけはすべて子ども世代に行くわけである。物事には優先順位がある。国を預かる者や医学の専門家は大きな視野で物事を見ないと、破滅の方向へ進んで行くことになる。
最近、ワクチンを製造している英国の製薬会社が、製造が追いつかないと言い出した。まったくお笑いぐさである。製薬会社が利益を追求するのは当たり前である。要は、あらゆることを正確に判断して国益になるように行動するのが政治家であり、専門家のはずである。恥を知って欲しい。

桃の節句

平成23年3月3日(木)
桃の節句。暖かい日が続いていたが、また寒さがぶり返してきた。これをあと2~3回くり返したら春になる。まことにわが国の季節のうつろいは風情がある。昔から季節の節目にささやかなお祝いをして寿いできた。あと数日で啓蟄である。
国会でも、相撲界でも、入試でもおかしなことが起こっているようだが、それらをすべて飲みこむように季節が過ぎて行く。きっと人生もそのように過ぎて行くのだろう。その場その場で懸命に生きているうちに、ふと振り返ると自分の来し方の概要が見えてくる。それをどう感じるかは人それぞれだろうが、どうであれ今この時が現実なのである。
青春期に愛読した「次郎物語」のなかに、やはり思春期の次郎が進むべき道について考える場面がある。人は生まれおちた時から進むべき道、到達点などすべて運命づけられているのではないか。そして「努力」というのは、運命づけられたわずかな道幅のなかの移動にすぎないのではないか、と。さらに、次のようにも考える。生まれた時を円の中心として到達点を円周とすると、考え方や努力などによってわずかな方向の違いでも、円周に到達したときには大きな違いがあるのではないか、と。また、円周に到達すれば、「運命」から解放されて自由になれるのではないか、と。
季節の移ろいを感じていたら、久しぶりに昔の頃のことを思い出した。そしてその考え方は今も変わっていないと思うのである。

無排卵周期症とピル

平成23年2月23日(水)
先日、ストレスから体重減少がおこり、生理不順になり4年間治療しているという若い女性が来院した。現在は体重も戻り、毎月、排卵誘発剤を処方されているそうである。今月は薬を飲んでないので心配だとのこと。
診察してみると、排卵も済んでおりもうすぐ生理が来る状態になっている。これなら今後、排卵誘発剤は必要ないし、このまま様子を見ていいですよとお話ししたが、不満の様子でもう来院しない光線を出して帰られた。
生理は毎月あるのが当たり前で、なければ治療しなければならないと思っている人が多いと思う。医師でもそう思っている人がいるだろう。
そもそも排卵・月経は妊娠するためにある。体調維持に必要なホルモン量はもっと少なくていいのである。毎月、卵巣は排卵という大きな変化をおこし、排卵出血・卵巣腫脹などの危険ととなりあわせになっている。子宮は、卵巣からのホルモンにより内膜を肥厚させ、受精した卵を受け入れる準備をして、妊娠がなければ剥がれて出血し、これを生理という。生理も生理痛が強かったり、量が多くて貧血になったり大変である。
これらのことはすべて妊娠するための変化である。現在妊娠する意思のない人は、極端に言うと排卵しなくてもいいのである。妊娠したいときだけ排卵すればいいのであって、ヒト以外の哺乳類では発情期にのみ排卵し、妊娠するものが多い。
人類は近年、排卵誘発剤とピルという作用の相反する2つの薬剤を手に入れた。ピルは排卵を抑制し、ホルモンレベルを必要最小限に近い状態にする。それにより上記の危険な卵巣の変化や苦しい月経に伴う症状から解放されるようになった。安全性は非常に高い薬剤である。さらに卵巣がんの発生率が1/2になるという。
上記の人にわざわざピルを飲めとは言わないが、なにも排卵誘発剤を処方する必要はないだろう。経過観察でなにか不都合でもあるのだろうか。

周囲の国々のモラル

平成23年2月18日(金)
日本の周辺の軍事大国にはモラルがないように見える。北の大国は太平洋戦争末期に、条約を無視して突然北方領土を占領していまだに居座っている。隣の個人独裁国はわが国の何の罪もない人たちを拉致し、いまだに帰さない。わが国が飛鳥時代から朝貢を続けてきた国は一党独裁で、権力主義と拝金主義が国を覆い尽くしている。
これらの国に共通しているのは個人であれ党であれ独裁である、ということだ。独裁になると権力は必ず腐敗して末路は哀れなことになる。隣の大国からわが国は「論語」をはじめすばらしい思想を学び、行動規範のバックボーンにしてきた。なのに一党独裁になってしまった今のモラルのなさはどうしたことであろう。ついでに言うと、規模は小さいけれど相撲界も同じ道を歩んでいるようだ。大きな声では言えないが警察組織が一番心配である。内部公開が一度もされたことがないのは問題である。
わが国の政治体制は、これらの国やわが国に原子爆弾を落とした国と比べてみたら、かなりマシであると思う。でも民主主義の弱点は衆愚政治に陥りやすいことと、正しいことでも素早く進めることが難しい、ということである。これらをどうしたら少しでも改善できるかが、永遠のテーマである。

妊娠の不思議

平成23年2月10日(木)
研修医の頃、看護学生の母性の講義を受け持ったとき、学生から「胎児と母胎の血液型が違う場合になぜ流産しないのか」と聞かれて困ったことがある。胎児の遺伝子の半分は父親由来で半分は母親由来である。免疫学的には拒絶されるのがあたりまえであるが、不思議なことに妊娠は維持される。
それは妊娠時のみ、父親抗原に対して免疫学的寛容になるからであるが、その際、父親由来の組織を母胎に移植した場合生着するという(マウスでの実験であるがヒトでも同じだろう)。ただし、妊娠が終了すると移植片は排除される。
精液中に抗原が含まれており、妊娠前から免疫学的寛容がおこっていて、妊娠維持に有利になっているという。つまり、妊娠前に同棲期間の短いハネムーンベイビーやコンドームでの避妊の後に妊娠した場合の方が、流産などのリスクが高くなるらしい。妊娠を希望しているカップルには、おおいに頑張ってもらいたいものである。

寒い日々

平成23年2月2日(水)
先週末より今週にかけて寒い日が続き、日本海側では大雪で交通の混乱が起きている。広島は今日あたりから普通になってきたが、月曜日の朝、アシスト自転車のスイッチを入れるとランプが点滅する。こんなことは初めてだったが、一応動くので時間もないしそのままクリニックまで乗ってきたが、電池が無くなってしまった。アシストの電池が無くなれば、普通より漕ぐのが重いただの自転車になる。
後で調べたら、寒い日は電池の消費速度が極端に早くなるとのこと。電池をはずして室内に置いておけば問題なかったらしい。アシストを使いだして2回目の冬だが初めての経験で、それだけ寒かったということだ。おかげで帰りの自転車はいい運動になった。

風邪

平成23年1月27日(木)
数日前からのどが痛く、今日は朝からボーッとしてくしゃみ、鼻水が出て風邪のようだ。熱を測ってみたら36,5度と平熱である。それでも午後から休診の日なのでゆっくり休むことにした。スポーツクラブも夜の勉強会も欠席して暖かくして早寝がいちばんである。
昔から自分はめったに風邪をひかない。今から13年前、開業して間もないころクリニックのスタッフ、カミさんも含めほぼ全員が交代でインフルエンザに罹ったことがある。39度以上熱がでてほんとにしんどかったのを覚えている。それ以降はありがたいことに軽い鼻風邪ぐらいで済んでいたが今回は若干しんどいようである。まあ、おいしいものを食べて暖かくして寝れば治るだろう。

脳の性差

平成23年1月21日(金)
研修会があり、精神科の先生の興味深い話を聞いた。男性と女性の脳の性差についてである。
女性は男性に比べて①言葉を発する時間が長く相手との関係を深めようとする②お互いの気持ちや人間関係に関する話題が多い、など「共感・仲間づくり」がベースである。対して男性は①言葉を発する時間が短い②自分の知識、技能、地位を誇示する言葉をよく使う③相手の言葉をさえぎって自分の意見を主張するなど、「序列志向、システム志向」が強いという。
もちろんその比率は個人で異なるだろうが、確かに腑に落ちる話である。女性のコミュニケーションの能力は、男性よりはるかに強い。仲間を作って気持ちよく暮らしていくには女性の脳が優れていて、獲物を獲ったり外敵から仲間を守ったりするには男性の脳が優れているのだろう。両方あってこそ、命が続いてきたのである。うまくできているものだ。