流産について(2)

平成24年5月21日(月)
自然流産は妊娠の15%起きるといわれているが、検査精度の増した現在ではどこからを流産というのか悩ましい。一般的には子宮内に胎嚢という袋が超音波検査で確認できる時点で妊娠と診断するが、妊娠検査薬が陽性になるのはそれより1週間以上前である。では、検査薬が陽性になった時を妊娠としたとして、胎嚢が見えるまでに出血が起こり流産してしまうことは結構多いのであるが、これを流産にカウントするべきかどうか。
もし、妊娠検査薬で調べていなければいつもより生理が遅れてきたということで、そのまま普通に生活していることだろう。
胎嚢が見えた1週間後に胎児の心拍が確認できるようになるが、この時にダメになるのを「稽流流産」といって流産の中では最も多い。これをなにもせず経過をみていると数週間後に自然に流産してしまうことが多い。だから、こういう場合、流産手術をせずに自然に経過をみるのも選択肢の一つである。問題はときに組織の一部が子宮内に残ったままでいつまでも出血する「不全流産」になることである。その場合に感染を起こすと厄介なことになるので、そのことを話して手術をするかどうか決めていただく。
もっと大きくなって胎児が確認されるようになった後、胎児の心拍が止まった場合は流産手術を勧める。この場合、自然に経過を見ていても出血も多くなり痛みも強く、なにより不全流産の頻度が増すからである。流産は一定の割合で起きるが、どう対処するかは必ずしも同じではないのである。