令和6年11月15日
昨日、岡山大学医学部産婦人科広島支部現地同門会(長い名称だ)が開かれた。30数年前に中電病院に赴任してきて以来、毎年参加しているが顔ぶれも年齢構成も変わってきた。以前は岡山から医師を派遣していた病院(ジッツという)は、広島市民病院・赤十字原爆病院・中電病院・逓信病院だったが、今では広島市民病院だけになっている。それに伴って部長クラスの医師がいなくなって、退職したり高齢で出席しなくなった人たちが増えてきて市民病院の若い医師たちと、我々年寄の2極の年齢構成になってしまった。会員数は28名、出席者は18名、最長年齢医師は97歳でお元気、乾杯の音頭をとられた。
自分は名簿の10番目(卒業年度で決まるので本当は7番目くらいであるが)なので、まだまだ上の人がいる。出席者は皆元気で、そうでなければ出席できないだろうがたいしたものである。これからもこの会は続いていくだろうが、縮小していくのは免れないだろう。そう思わせられるひと時であった。
月別記事一覧 2024年11月
現地同門会
秋深き
令和6年11月8日
このところ朝夕が冷えてきた。自転車通勤のため冷えないようにしているが、昼間は結構暖かい(暑い)ので服装選びに困っている。今年は富士山頂の積雪が観測史上最も遅いそうだが、地球温暖化の影響だろうか。いつまでも暑いと思っていたが急に寒くなって、秋を味わう暇がない。
秋深き 隣は何を する人ぞ 芭蕉の句が思わず浮かんでくるような秋の日になったが、一瞬のことだろう。すぐに冬の季節になってしまうに違いない。豊穣の秋を寿ぐ暇もないだろう。でもこの短い秋を味わい尽くしたいものである。先日、高梁市の吹矢ふるさと村に行き、広兼邸を見学した。1800年頃に小泉銅山と硫酸鉄の製造を営み、大きな富を築いた庄屋、広兼氏の邸宅は、城郭のような石垣と大きな屋敷が残っていて、当時の富裕ぶりを今に伝えている。こういうのを見るのが大好きなので、訪れたかいがあったと思った次第である。神辺のうなぎの店「竹馬」もよかった。また行ってみたいものだ。
「信じてはいけない健康診断」
令和6年11月1日
表題は雑誌「PRESIDENT」の特集記事である。冒頭に養老孟司氏と池田清彦氏の対談があり、今の医療の問題点を語り合っているが、おおむね納得できる内容である。今の健診システムを無くすと困る医療従事者が増えるし、病気になった時救えなくなることになる。でも医療費はこの30年で2倍の43兆円になっている。だから老人は健康に気を付けて病気にならないようにしなさい、ということである。
東大医学部卒の医師大脇幸志郎氏によれば、「健康診断にメリットがないエビデンス」として、2019年に過去の研究データをすべてまとめた論文が発表され、その中で、健康診断を行った人と行わなかった人で、病気による死亡率に差がつくかどうかの検証がなされ、結論は「全体的な健康チェックが有益である可能性は低い」だった。さらに「人間ドックは健康診断よりハイリスク」「メタボ健診を受けても寿命は延びない」「大腸がん検診を受けても99%以上の人には意味なし」「肺がん検診は非喫煙者なら受ける必要なし」「乳がん検診は日本人には効果が小さい」「ピロリ菌感染率の低下で胃がん健診もいまや必要なし」「子宮がんは死亡者数が少なく検査の効果が薄い」「CT検査やMRI検査は優秀とは限らない」「血圧を下げる薬を飲んでも99%の人には効果なし」など現在の医療に否定的な言葉が並んでいる。でも、今のシステムを変えることはできないのだから、一人一人が考えて納得できる医療を選ぶしかないだろう。難しいことではあるが。