月別記事一覧 2023年2月

「ウイルス学者の絶望」

令和5年2月24日
表題は京都大学の准教授でウイルスの専門家、宮沢孝幸氏の著書である。ジャーナリスト鳥集徹氏との共著「コロナワクチン失敗の本質」に次ぐ宮沢氏渾身の作品である。帯には「私の35年にわたるウイルス学、免疫学、分子生物学、ウイルス共進化学を研究してきた経験に基づいて、学者として信念をもって執筆しました」とあり、本当に日本のことを考えて、「今までの新型コロナ対策は間違っていますよ、負のスパイラルに落ちてしまっていますよ」とわかりやすく一般人向けに講義している。氏は正しい知識をマスコミにも政治家にも発信を続けてきたが、声の大きい御用学者や不安をあおるマスコミには歯が立たず、表題の「ウイルス学者の絶望」になったわけである。
新型コロナが日本で発生した時も、すぐに収まるだろうと考えていたが、海外の状態に煽られて正しく対処してこなかったことを歯がゆく思っている。まともなウイルス学者なら新型コロナに対しては氏のように考えるのだろうが、誰も発信せずあっという間に間違った方向へと行ってしまった。この3年間の損失は甚大である。どうしてこうなってしまうのだろうか。

COVID19

令和5年2月17日
新型コロナ感染症はもう新型ではなくなったのでCOVID2019と呼ぶことにしたという。発生した場所をつけるのが普通だけれど、中国に気兼ねして「武漢コロナ」とは言わないらしい。「スペイン風邪」「エボラ出血熱」「日本脳炎」など発生地域の名前がつくのにおかしなことである。今年の5月には5類感染症に格下げされて、やっとインフルエンザ並みになるのは遅すぎるけれどよかった。そもそもは安倍元首相が退陣するときに「新型コロナは5類にする」と言っていたのに2類相当のままだったために膨大な予算と、人的被害が生じたのである。その間、厚労省は何をしたか、全数把握などという愚挙をいつまでもやって入院患者の見舞いもできないようにしてしまった。発生当初は仕方がないが、もっと早くリーダーシップをとって改めるべきだった。専門家と称する委員会に丸投げして、いつまでも対応を変えなかったが、これこそ事なかれ主義の典型である。効果のはっきりしない副作用の強いワクチンを打たせまくって、副作用で亡くなった人たちの責任をどのようにとるのだろうか。またしてもうやむやにしてしまうのだろうか。

「京味物語」

令和5年2月10日
表題はノンフィクション作家、野地秩嘉(のじ・つねよし)氏の著作で東京、新橋にあった名店「京味」の一生を綴った作品である。「京味」は漫画「美味しんぼ」で知って一度は行ってみたいと思っていたが、残念ながら機会がなかったけれど、この作品で店を身近に感じることができた。
店主の西健一郎は京都・木屋町で割烹をやっていた西音松の四男に生まれた。音松は西園寺公望のお抱え料理人で、当時の調理師番付で西の横綱になるほどの腕をもっていた。健一郎は高校一年生の正月明けに父親の音松から京都の料理屋に修業に行くように命じられる。1,954年、17歳、厳しい修業が始まった。先輩からのいじめも激しかったがじっと耐えて頑張った。10年以上続いた料理人はいないほど厳しい店だったが、健一郎はそれに耐え「真」といわれる板前になった。自分の店を持ちたいと考えて準備したが、親方から妨害され東京で独立することにした。30歳の時であった。それからはその腕と家族全員でサービスする姿勢、客が客を呼び東京の名店になったのである。
2,019年の5月にも著者は京味で食事している。その際、西は「90まで頑張って料理を作る」といっていたのに8月に訃報を知って驚いている。著者をして「日本料理の最高峰」と言わしめた「京味」は2,020年店を閉めた。
阿川佐和子氏の「過ぎてようやく気づく。京味は、味だけでなく、店の佇まい、気遣い、動き、会話、香り、リズム、気配…、すべてが日本の文化そのものだった。」との帯の言葉がある。

人工妊娠中絶薬について

令和5年2月2日
現在、人工妊娠中絶薬ミフェプリストンについての審議が行われている。この薬は30年以上前にフランスの製薬会社ルセルが開発したもので、RU486と称されて動物実験を経て人に適応されるようになった。当時、属していた研究室で後輩がこの薬をマウスに使い薬の血中濃度の変化を調べ、ほぼ妊娠中絶できることを確認し学会で発表した。その後フランスでは一般に使われるようになったが日本には入ってこなかった。現在は妊娠9週までは使われるように審議されているらしい。
妊娠を継続する必要なホルモンであるプロゲステロンの受容体に結合して流産(中絶)させるので、早い時期ほど効果がある。問題なのは流産が始まると痛み、出血などが起こり不安になって受診したくなることが多いと思われるが、24時間対応の医療機関以外では対処できないことである。また一部遺残することもありその場合は手術が必要になる。だからこの薬は着床した後せいぜい2週間ぐらいの間に使うべきで、それなら生理と同じような出血で済むだろう。これが本当のアフターピルである。承認するならこの条件ですべきと考える。