月別記事一覧 2022年4月

「まる ありがとう」

令和4年4月28日
表題は養老孟司氏と愛猫「まる」との関わり合いを、秘書の平井玲子氏が写真に撮り、養老氏が文章を書いて本にした作品である。NHKの番組「まいにち養老先生、ときどきまる」で、鎌倉の養老先生の自宅でくつろぐスコティッシュフィールドの雄猫「まる」と養老先生の姿を見ていて、ほっこりした気持になった人も多いのではないか。自分も大好きな番組であった。残念ながら「まる」は16年生きて亡くなったが、養老先生にとってはかけがえのない存在だったようで、文章を読むと喪失感の大きさが伝わってくる。さらっと書いているだけにその奥にある思いが感じられるのである。
養老氏の著作を愛読しているファンとしては、先生にとってはもちろんだが「まる」にとってもすばらしい猫生(人生ではなく)がおくれてよかったと思う。BSで今でも「養老先生」の番組をやっているが、「まる」がいなくなったことを思い出させるシーンがしばしば現れる。「まる」は養老先生と不思議な「縁」があったのだとしか思えない。

日常生活

令和4年4月21日
退院後、仕事に復帰して今まで通りの生活に戻り、日々普通に生活しているが、これがどんなにありがたいことか実感している。若い頃は元気なのが当たり前で、そのありがたさなど考えたこともなかったが、この年になり入院を経験すると強く思う。このブログを載せるようになったのは2,004年の4月なので今年で18年になるが、はじめの頃は健康はあたりまえで病気のことなど考えてもいなかった。だから思いつくまま好きなことを書いていたし、医療の世界での不都合なことや不誠実なことにもすぐに反応して思いを書いたり、社会のことにも意見を述べたりしている。今でも言いたいことはいっぱいあるが、言ってもどうしようもないと思って静観することが多い。世の中はなるようにしかならないから、普通の日常生活が送れることがありがたいことを実感しながら日々を過ごすことになる。
日常生活を普通に送れるのが一番ありがたいことだと思う。

4月より診療時間を変更します

令和4年4月1日より診療日・時間を下記のように変更します。

木曜日午後休診水曜日・土曜日午後休診

木曜日午後は診療します。

よろしくお願い申し上げます。

更年期について

令和4年4月14日
今朝のNHKの番組で、更年期症候群のために仕事を辞めた人が症状の出た人の5%に及ぶ、と報道していた。更年期症候群は40代後半から50代前半の閉経前後の女性に、ホットフラッシュ(ほてり)・発汗・動悸など自律神経の失調が起きている状態で、原因は卵巣の機能低下によるものである。多くの人は、ほとんど感じないか軽い症状なのでやり過ごしているうちに閉経になり安定してくるので受診の必要はないが、仕事に差し支えるくらい症状の重い人もいる。
自律神経失調は男女を問わずあらゆる年代の人に起き、なかなかいい治療法がないが、更年期症候群は原因が女性ホルモンの低下・変動によるものなので、ホルモンを補えば治療できる。女性ホルモンは、元来卵巣が作っていたものだから補うのは自然である。手指のこわばりなどにも効果があり、リウマチかと思って散々調べたけれどわからず、婦人科を受診してホルモンを補うとよくなったケースも多い。
我が国はいまだにホルモンに対して「怖い」と言う人が多く、世界では常識のピルでさえ普及が遅れている。30年以上前から「ホルモンはちゃんと使えば安全で女性のためになります」と言い続けているのだけれど。

ウイルス学者の責任

令和4年4月7日
昨年11月に紹介した「京大おどろきのウイルス学講義」の続編である。著者は京都大学ウイルス・再生医科学研究所准教授の宮沢孝幸氏である。ウイルス学の専門家として一貫して訴えているのは、日本の自粛要請は過剰であり、スポーツイベントやコンサートの中止は不要だった、ルールを決めれば飲食店を休業にしなくてもよかった。そして、子供がワクチンを打つことには強く反対したい。個人の感染症対策としては「100分の1作戦」で充分であり、一般の医療機関で風邪やインフルエンザと同じようにコロナ感染者の診療をして、重症者のみ一部の専門医療機関で治療すればよい、ということだった。これらを訴えるのはウイルス学者の責任である、と考えての提言である。
宮沢氏はウイルス学の第一人者ともいうべき専門家で獣医師でもある。氏は専門家会議のメンバーはウイルス学については素人ばかりだと思ったというが、理由はガイドラインに「石鹸で手を30秒洗ってください」という項目があったからだという。感染経路として手を通じてウイルスに感染することは「ほぼない」と言えるくらいのレベルで、ざっと手洗いをするだけで充分であるそうだ。一事が万事ですべてにわたって過剰反応と、事なかれ主義が重なって今のコロナ対策になっていると看破している。一般の人だけでなく医師・役人・政治家も読むべき著作だと思う。

桜満開

令和4年4月1日
先週、桜開花宣言が出たが、今週は雨や気温の低下で花見が難しかった。そろそろ桜も散り始めているが、この季節はやはり花見をしたいものだ。今日の新聞のコラムに、花見の習慣があるのは世界中で日本だけだとのことだったが、いつまでも続いてほしいものである。桜は一斉に開いて散っていく瞬時の輝きとはかなさがあり、日本人の心情に合っているのだろう。その輝きのわずかな時間を皆が集まって酒食を共にして楽しむ。平和な我が国ならではの習慣である。
今年は夜桜は寒いので駄目だし、昼間は仕事で難しい。久しぶりに花見なしの年になりそうである。暖かくなれば葉桜の下で軽く酒飯もいいかもしれない。新型コロナ感染後、アルコールがあまり飲めなくなっているので少し物足りないとは思うけれど、この季節を満喫したいものである。