令和元年8月23日
職場の婦人科健診で異常を指摘され受診する人が後を絶たない。調べてみても多くは検査する必要のない状態ばかりである。検診する側は、どんな些細なことでも指摘しておかないと後で訴えられたら困ると思うから様子を見ておいてもよいことでも指摘するのだろうし、受ける側は検診するよう職場から言われるので仕方なしに受けてその結果異常を指摘されて受診されるのだと思う。以前にも書いたが健康診断が役に立つという証拠はないにもかかわらず、厚労省の通達1本でいまだに検診が続けられているのが我が国の現状である。
職場検診が行われているのは世界中で日本だけだという。よその国が健診をしない理由は、健診が命を長引かせるかどうか調べた結果、意味がないことがわかったので各国は健診をやめたそうである。我が国も2005年に厚労省が研究班(班長:福井次矢・聖路加国際病院長)を作って健康診断の有効性を調べて報告書を出した。結果は、健康診断の大半の項目に有効性の証拠は薄い、ということであった。しかもマイナス面として①放射線による発がんの増加②病気の見落としによる治療の遅れ③治療不要な病気の発見による不要な検査・治療の副作用④膨大な費用などが指摘された。これで、健康診断を薦める通達はなくなるかと思ったがどういうわけか握りつぶされてしまった。そしていまだに厚労省の通達のために職場検診が行われて意味のない受診させらている人たちがいる。本当に気の毒なことである。