日付別記事一覧 2019年3月15日

「産前産後のメンタルケア」

平成31年3月15日
医療法人愛育会福田病院、河上祥一院長による表題の講演があった。福田病院は熊本市にあるお産を中心にした病院で、100年以上の歴史を誇る。平成30年のお産の数は3900を超えているという。中四国で一番多い施設でも2000ぐらいだろうから、おそらく日本で一番多い病院ではないだろうか。産婦人科の医師は18人、当直の翌日は休めるようにしているそうである。外来は6診まであり、大勢の妊婦さんの診察ができるようにしている。外国にはこのようなメガ施設がたくさんあるけれど、我が国では多いところでも1000ぐらいで、個人の施設ではもっと少ないところも多いがその分、それぞれきめ細やかな対応をしている。ちょうど大きなホテルと旅館のようなものだろうか。
産前産後のメンタルケアであるが、我が国では妊産婦死亡の第1位は自殺である。それだけ産科医療が成熟してきたわけである。つまり、お産が原因で亡くなるのは全国で年間50人ぐらいまでで自殺の方が多くなったのである。つい100年ぐらい前までは300お産があれば1人の母体死亡があったことを思えば隔世の感がある。世界の中ではまだそのような国もあると聞くが、我が国はメンタルケアが最も大切になるほど産科医療は良くなっているということである。その分、産科医に重い責任がかかり、昼夜の別なく働くストレスから、産科志望の医師が減っている現状がある。妊産婦だけでなく産科医のメンタルケアも必要ではなかろうか。