平成30年3月29日(木)
先週は桜の開花宣言が出たとはいえ雨模様で肌寒かったが、今週になって晴れの日が続き、桜も満開になりすっかり「春」になった。あの寒い冬はどこに行ってしまったのだろうかと思わせる陽気である。これだけ季節の変わり目がはっきりしているから、我々の気持ちも改まり、季節にまつわる文学・芸術が生まれてきたのだろう。比治山の桜も満開になっているが、週末はもう散り始めるに違いない。
昨日は比治山下の公園に夜桜見物にはちょうどいい場所があり、偶々帰省していた次女と孫たち、春から広島で働く息子も参加して夜桜酒飯としゃれこんだ。スカイウオークを使って山に登ってもいいのだけれど、すぐ近くにこんないい場所があるのなら使わない理由はない。大人たちがゆっくり酒を飲んでいる間、孫たちは遊具で遊んでいるので楽である。
毎年、この季節には一回はカミさんと酒飯を携えて夜桜見物をして「あと何回見ることができるのだろう」と話すのだけれど、今回は寒くもなくちょうどいい気温だった。こういうさりげない楽しみの積み重ねこそが人生で、このような普通の日常生活が過ごせるのはありがたいことだとしみじみ思ったことである。
月別記事一覧 2018年3月
春爛漫
「卵巣癌をめぐる最新情報」
平成30年3月23日(金)
島根大学医学部産婦人科、京哲教授による表題の講演があった。「がん」に関しては原因の究明と治療についての研究が行われてきたが、なかなか決定的な方法がないのが現実である。世界中で色々な試みがなされてきて、血液のがんを含め限られた「がん」に対しては有効な治療法も見つかってきたが、多くの固形がんに対しては困難な状況が続いている。
卵巣癌については卵管の先の「卵管采」が原因で発生する卵巣癌の存在がわかってきて、子宮筋腫などで子宮を摘出する際、以前は卵巣と卵管を残していたが、卵巣はホルモンの分泌に必要なので残すとしても、卵管は同時に切除することが卵巣がんの発生を防ぐ上で有効であることがわかってきた。自分が勤務医の頃はまだこのような知見はなかったので、子宮摘出術の際に卵管切除することは念頭になかったが、当時から同時に切除していた医師もいたようである。なぜ同時に切除していたのかは不明であるが、先見の明があったということか。
今行われている研究なども聞くことができて、このような講演会はいつも刺激になっていいものである。
「帰れないヨッパライたちへ」
平成30年3月15日(木)
表題は学生時代に「帰ってきたヨッパライ」が大ヒットし、フォークの神様といわれ、その後精神科医になりロンドンに留学した後、北山医院を開設、その後九州大学の教授になるなど活躍を続けている北山修氏の著書である。思い起こせば2002年にザ・フォーク・クルセダースの新結成記念・解散音楽会が東京で開かれ、其の後大阪でも追加で行われた時に行くことができて、二度と見ることのできない貴重な演奏会を楽しむことができた。その際に北山修氏の歳を重ねて一層魅力を増した姿を見て、充実した人生を送ってきたのだろうなと感心したものである。
表題の本は、北山氏がどうして精神分析医になったのか、フォークルとして一世を風靡した後どのような人生を歩んできたのかを述べながら、同時に精神分析を通して我々の心のあり方についての見解を示し、これからどのように進んでいけばいいのかなどを、「表と裏」「二人だけの関係と三角関係」「嫉妬」などのキーワードで真摯に語っている。
氏は作詞家としても優れていて、心に響く詩をたくさん書いている。はるか昔、学生時代には「きたやまおさむ詩集」は座右の銘とまではいかないが、よく読み返していたものである。やはりいつになっても氏は我々のあこがれとなるスターなのだと思ったことである。
人工妊娠中絶とピル
平成30年3月9日(金)
我が国で約20年前にピルが解禁されるまで、人工妊娠中絶は多かった。それまでの避妊方法は、副作用の強い中用量のピルかリングぐらいしかなかったからである。リングも今のように避妊効果の高いものではなかったので、リングを装着したまま妊娠しているケースが見られることもあった。今は、副作用の少ない低用量ピルが使われるようになり、リングの避妊効果が高くなったこともあり人工妊娠中絶は減ってきた。
それでもやむを得ず人工妊娠中絶をしなければならない場合は、安全かつ不安のないように慎重に行っている。当院では9時に来院した場合は麻酔・処置後、昼に帰宅してもらい1週間後に異常ないことの確認を行う。その時に今後の避妊についての話をするが、ピルを希望される人も多い。ピルは避妊効果も高いが、副効用である生理痛や経血量の軽減、生理周期の安定など優れた効果があり、将来の妊娠のための調整にも有用である。
低用量ピルが解禁されてからずいぶんピルを処方してきたが、これからもピルの普及に努めていきたいと思う。
西区民音楽祭
平成30年3月2日(金)
いよいよ3月になって暖かい日もちらほらあり春がそこまで来ているように感じる。この季節になると市民の文化活動の一環としての音楽会があちこちで開かれるようになる。昨年も尺八「山の会」として西区民文化センターで行われた西区民音楽祭に出演したが、今年も来る3月4日(日)に10数名で出演する予定である。
「山の会」は広島を中心に精力的に尺八の演奏・指導活動している山本観山師に指導を受けている人たちの集まりで、20代の男女(主に広島大学生)から70代以上の高齢者まで多彩なメンバーがそろっている。それぞれ真摯に技術の向上に向き合っていて、自分も頑張らねばと思う日々である。今回は尺八二重奏曲「郷音(さとね)」とメンバーの広大生が編曲した尺八三部奏曲を演奏する。当日はいくつもの合唱団やギター、胡弓、口笛、ハワイアンなど多彩な演奏が行われる予定であるが、いつも色々なサークルがあるものだと感心している。