月別記事一覧 2015年3月

桜が咲き始めた

平成27年3月27日(金)
木曜日の午後は休診なので暖かい日差しにひかれて近所の公園へ散歩に行った。ちょうど出産のために里帰りしていた次女と二人の孫、カミさんも一緒に、ぶさいく犬「福太郎」を連れての移動である。孫たちが公園の遊具や砂場で遊んでいる間に「福太郎」を連れて公園の周囲を歩いた。
広い公園なので一周すればそこそこ運動になる。「福太郎」はうちに来てもう5か月になるが、最近ではすっかり慣れてきて孫たちが触ってもおとなしくしている。初めの頃は近所を散歩させても捨て犬と思われていたふしがあるが、「犬らしくなりましたね」とお世辞を言われると可愛くなってくるから不思議である。
孫たちが遊んでいる砂場にもどり、周囲の木々を見上げれば桜のつぼみがもうほころび始めている。春になった。

DNAで日本文化の起源がわかった

平成27年3月20日(金)
表題は文芸春秋4月号に掲載された立正大学教授、三浦祐之氏と国立科学博物館人類研究部長、篠田謙一氏の対談である。北陸新幹線の工事の際に見つかった富山県の小竹貝塚遺跡からそれまで全部で80体しか発見されていなかった縄文前期の人骨が91体も見つかり、そのDNAを分析することにより縄文時代から弥生時代にわが国がどのように変化していったかがより詳しくわかってきた。
縄文人も実は千島、樺太、朝鮮半島、沖縄などのルートから入ってきた人たちによる混血によって成り立っていて、そこに稲作農耕民である弥生人が入ってきたというのが真相らしい。普通、あとから来た征服者は先住民をほぼ根絶やしにするのが通例であるが、わが国ではゆったりとした融合が行われてきたことがY染色体の分析からわかるという。
これらの科学的分析と古事記の伝承とを重ね合わせてみると、どのようにしてわが国ができてきたの見えてきて、まことに興味深い。伝承と遺跡などの証拠から真実にせまるのは実に面白く、読んでいて飽きないことである。

京 哲 教授の講演

平成27年3月13日(金)
島根大学教授による子宮頸癌手術についての講演があった。以前はこの手術は大きく開腹して行っていたが、最近では腹腔鏡手術で行うことも多くなっており侵襲が以前に比べて格段に少なくなっているようである。リンパ節の郭清に伴う膀胱麻痺や下肢のむくみもかなり改善しているという。技術の進歩と研鑽を積むことは大切なことである。ただ欧米では子宮がんの治療は初期のケース以外は原則として放射線で治療しているという。
放射線治療の方が後遺症は少ないと思われるが、治療成績が同じなら後遺症は少ない方がいい。ただ、手術の技術を磨いておかないと、いざというときに何もできないことになる。わが国は以前から高い技術で子宮癌手術を行ってきた。世界の中でもトップレベルである。ただこれからは縮小手術、放射線治療と、侵襲の少ない治療が主体になっていくと思われる。なかなか難しい問題である。

またも宮脇檀

平成27年3月6日(金)
先日、平成10年に62歳で亡くなった建築家、宮脇檀氏の住宅設計の考えを弟子たちが改めてまとめた本が出た。生前の著書「それでも建てたい家」で氏のファンになり、以後折に触れ注目していたが、なんといっても亡くなる直前に刊行された「最後の昼餐」は偶然本屋で見つけて買ったが、手に入れておいてよかったと思う。
氏は最後まで住宅設計を好み、奇をてらうのではなく、「家」というものの意味を考えたレベルの高い普通の住宅を数多く残している。氏の事務所にいた人たちや、大学の教え子たちも氏を慕いしっかり志を受け継いでいると思われる。その証拠が今年発刊された「宮脇檀の住宅設計」である。この中では氏の住宅設計の「キモ」ともいうべきディテールが紹介されているだけでなく、氏と親交のあった人たちや教え子たちの氏に対する思いも記されていて、氏がいかに多くの人たちから愛され慕われていたかが伝わってくる。
もし新たに家を建てるなら、そして経済的に余裕があるなら、氏は最高の住宅設計家の一人だったと思う。