月別記事一覧 2013年4月

木曜日の午後

平成25年4月26日(金)
木曜日の午後は休診にしているが、日曜・祝日以外での休診はここだけである。唯一の完全にフリーになれる時間。他院の受診や官公庁の用事などはこの時間でないとできない。いきおい、ちょこまかと忙しくなる。
昨日は午後1時に診療を終え、グランドタワーの「三嵋」で昼食、隣の部屋に大声でしゃべる初老の女性の集団が…あまりのうるささに部屋を変えてもらったが、同窓の集まりとか。その後ウオーキングシューズと服を買ってスポーツクラブでテニス。クラブの風呂に入り着替えてアステールプラザで尺八の練習、9時前に帰宅し晩酌兼夕食。もう一度入浴し、水割りをちびちび飲みながらGAORAでウイリアムス姉妹のテニスを見て12時就寝というやや動きの多い一日であった。
移動はすべて楽チャリで行ったが、電池の残量が少なくてやきもきした。結局、自宅まであと500メートルで電池切れ。急に重くなった自転車を漕いで帰宅、楽チャリは実に便利であると実感した。

保険の審査

平成25年4月19日(金)
国民健康保険(国保)の審査員を命じられて2期4年、来月でやっと任期が終了となる。うれしいというよりほっとしている。県内の医療機関より提出されるレセプトを毎月専門の係員が点検し、病名に適応のない治療・薬剤などが使用されていると減点するが、これらが適正に行われているかまた医療機関が適正な医療を行っているか審査する仕事である。広島県の産婦人科では国保の審査員は2名である。レセプト枚数は社会保険より少ないとはいえ、わずか2名で県内全医療機関の外来・入院の国保のレセプトを点検するわけで、正直しんどい仕事である。
それぞれの医療施設の医師が真剣に行っている治療に対して、自分ごときが審査することなどできるはずもないが、だれかがやらねばならないので仕方なく引き受けたわけであるが、毎月この数日は気が重かった。この4年間は毎月、レセプトの審査が終わるとほっとするけれど、あっという間に次の月の審査が巡ってくる。それも終わると思うと本当にせいせいしているのが本音である。
審査員をしていると、それぞれの医療機関の方針や医師の治療に対する考え方、治療の姿勢などがレセプトを通じて伝わってくる。さまざまなことを考えさせてくれた貴重な4年間であった。

吹雪の「ファーム・ノラ」

平成25年4月10日(水)
広島市内の桜は盛りを過ぎたので、県北の桜はどうかいなと休日に北へ向かうことにした。予報では市内は雨50%とのことだったが、出発時は晴れており天気予報ははずれたなと思っていた。191号線を、桜を愛でながら森のレストラン「ファーム・ノラ」を目指して北上した。ここは冬の間は雪に閉ざされているので営業せず、春になったらぼちぼち始める趣味のような手造りのファームレストランである。
戸河内インターから191号線に入った頃から小雨となり、三段峡あたりでは外気温も下がってきた。そのうちに小雨はみぞれに変わり、花街道から深入山にかけて雪となってきた。見ればまだ根雪が残っていて道は完全に雪道になっている。外気温は0℃~1℃、滑らないようにわだちの跡を慎重に運転し、やっと目指すレストランに着いた。まわりは一面雪景色で、営業はしていたが客は自分たちだけで、あまりの寒さに店主がストーブの他手かざしにと七輪に炭をおこしてテーブルに置いてくれた。この時期の雪は珍しいそうで、次々にかかってくる問い合わせの電話に対応していたが、さすがに来店を断念する人が多いようだった。
料理を待つ間も外は吹雪のように風が舞い、無事に帰れるだろうかと心配したことである。久しぶりの石窯ピザ、鴨の燻製、ボルシチなど美味しくいただき店を後にしたが、市内からわずか2時間でこれだけの気候の違いがあるのは面白い経験であった。

「解剖学はじめの一歩」

平成25年4月3日(水)
表題は東大医学部の超人気講座をそのまま本にしたもので、13章で構成されており実にわかりやすく簡潔にまとめられたすぐれものである。たまたま見つけて読んでみたがその面白さと内容の深さに脱帽した。
著者は坂井建雄教授で、あの養老孟司教授のあとを引きついで東大医学部健康総合科学科で解剖学を教えて18年、他学部の学生まで聴きに来る超人気講義となり、請われて講義を録音してそのまま本にしたものである。人体の仕組みを簡潔にまとめているが、その背景には膨大な知識と研究成果が感じられ、優れた人は難しいことをわかりやすく説明できるものだと思ったことである。遥か昔、学生時代の解剖学の講義にこのような講座があったら、ちっとも面白くなかった解剖学が好きになっていただろう。人体の関するさまざまな知識の断片がみごとにつながり、人体が動き出すようなそんな気持ちになったに違いない。医療職をめざす人だけでなくそれ以外の人でも必携の書物である。