月別記事一覧 2012年6月

月経血の逆流

平成24年6月29日(金)
昨日の講演会で高知大学の深谷教授が子宮内膜症について面白い話をされた。生理の時月経血が卵管を通って腹腔内に逆流することは以前から言われていたが、なんと全員に逆流が見られるという。子宮内膜症の原因はこの月経血の逆流にあると言われているが、逆流が全員に起きているにもかかわらず子宮内膜症になるのは10%なので、その違いはなぜなのか。また全員に逆流があるということは、逆流そのものになにか大切な意味があるのではないかと話された。
妊娠しにくい人に検査として卵管造営を行う際、造影剤を卵管に流すことが妊娠につながることは経験上良く知られている。おそらく月経血が毎回逆流するのは、卵管をきれいにして精子が通りやすく卵子が子宮内に行きやすくするために、つまり受精・妊娠するために必要なことなのだろう。生物・種が現在生き残っているのは環境に適応しているからで、適応できず滅びた種は数限りなくあるという。生き残るためにはなにひとつ無駄なものはない、きびしいのである。現在体内・対外で起きていることは、たとえそれが不合理に見えても必要なことなのだろう。不必要なことを許容できる余裕はないはずだから。
生物は生き延びるために色々な仕組みを作っていると改めて思ったことである。

診察室の絵

平成24年6月22日(金)
診察室の壁に絵を掛けているが、このたび偶然日本画が手に入ったので掛け替えた。初めは開業した時に同門の先生からいただいた「踊り子」の模写、次は藤城清治のリトグラフ「3台のピアノ」でこれはずいぶん長い間掛けていたので風景の一部になっていて、絵の存在を忘れるぐらいになっていた。「3台のピアノ」は子供の頃よく目にしていた影絵が藤城清治のものとは知らず、ギャラリーで偶然見つけて懐かしくて買ったものであった。初めは気にいっていたが、絵が小さくインパクトが強くないので風景になってしまっていた。
このたびの絵は広島在住の平末初子氏の「桜」という日本画である。平末氏にはカミさんが日本画を習っていて、たまたまチャリティーで破格の値段で手に入れることができたのである。この絵に替えてから診察室の雰囲気が変わったように思われる。日本画の奥深さを感じている日々である。

美味いイカ

平成24年6月15日(金)
久しぶりに晴れ渡った休日、かねてより行ってみたかった店を訪れた。萩市と益田市のほぼ中間に位置する萩市須佐駅の近くにある「梅乃葉」は、獲れたてのイカを食べさせてくれる店で遠くから訪れる人も多い。広島からは高速で戸河内インターまで行き、191号線を益田経由で行くのが早いそうで、実際2時間半で到着した。戸河内インターからの191号線のドライブは信号も無く緑の中、気持ちのいい山道である。
ここのイカは須佐男命イカ(すさみこといか)というブランド名の活き剣先イカで、実に新鮮である。イカは獲れた所で食べるのが一番おいしく、透き通った歯ごたえのあるイカが次第に甘くなってくる。丸ごと1ハイを半分食べたところで残りはてんぷらにしてもらったが、これはまさに絶品だった。日頃食べているイカはなんだったんだろうと思わせるうまさである。獲れたてのウニや刺身もあり大いに満足できた。
萩市は歴史のある城下町で町並みも美しくそぞろ歩きするのがいい。ここには「割烹千代」という名店がある。以前この店を訪れた時は、カウンターで新鮮な魚介を堪能した。今度来る時は「千代」に行ってみよう。

ビッグファーマによるワクチンの普及

平成24年6月8日(金)
子宮頸がんのワクチン、インフルエンザワクチン、ヒブワクチンなど、近頃ワクチン接種を勧める報道が多くされている。毎年冬になると、マスコミはインフルエンザが大流行するという厚労省の発言を大きく報道し、結果多くの人がワクチンを接種するが流行せず掛け声だけに終わる。これらのワクチンは本当にメリットがあるのか疑問で、特に子宮頸がんのワクチンは値段が高価過ぎて問題外だと思っていた。
医師でグローバルに活躍している崎谷博征氏著「医療ビジネスの闇」は、近代医療がロスチャイルド財閥、ロックフェラー財閥が投資している巨大製薬企業(ビッグファーマ)によっていかに支配されてきたかをデータを示して述べている。この本は6章から成り、各章はそれだけで1冊の本が書けるくらいの内容があり、データの出典も明示した力作である。これを読むといままで疑問に思っていたことがほぼすべて氷解した。ロックフェラー財閥は第2次大戦後サンフランシスコに国際連合を創設し、下部組織のWHOやWTOを自身の石油と製薬の利益を拡大させる政治的道具として設立、配置した、とある。
WHOは中立的な機関だと思っていたがそうではないようである。バックに世界を支配してきた財閥がついているのであれば、いままでのWHOのふるまいも理解できる。たとえばWHOの唱える血圧の正常値の変遷やコレステロール値は、降圧剤・高脂血症薬の使用量を増やすためとしか思えない変更で、ビッグファーマの利益が増えることになる。また、その効果について疑問が出ている各種ワクチンもこれらの企業が製造し、世界中に販売を広げようとしている。わが国では子宮頸がんのワクチンは、まだメリット・デメリットが確定していないのに、厚労省が公費負担にして他国よりもはるかに高い値段で買っている。米国の忠犬ポチであるわが国は、ビッグファーマの戦略にうまく飲み込まれているのだろう。著書の内容をすべて鵜呑みにするわけではないが、腑に落ちることが多く医療関係者にも読んでもらいたい本である。

邦楽演奏会

平成24年6月2日(土)
4月、5月は腰痛のためあまり活動できなかったが、尺八の演奏会だけは2回聞きに行くことができた。もっとも1回は会場のイスに座ったとたんに腰痛が再発し、ロビーで横になって休みながら合計30分ぐらいしか聞けなかったが。
先週行われた藤原道山のコンサートは前半はイスに座って聞いたが、イスの座面の角度が腰に合わないのか腰に不快感が起きてきたので、後半は会場の後ろに立って聞いた。人間国宝・山本邦山の弟子の藤原道山は現在、最も人気のある若手尺八演奏家で、広島でも年に1回は演奏に来る。さすがに音も、指使いもすばらしいものを持っていて、非の打ちどころのない演奏に聞きほれてしまった。今回の曲目の中に、今ちょうど練習している尺八独奏曲「甲乙(かんおつ)」があり、よりいっそう興味深く聞いた。この曲は彼の師匠の山本邦山が作曲し演奏したもので、昨年三原市で邦山自身の演奏を聞いた。高齢とはいえさすが人間国宝である。演奏はすばらしく、今でもその時の音色が耳に残っている。藤原道山の演奏は師とは異なったもので、これはこれで味があるものだった。
演奏会の後は「とくあん」でうまいおでんに舌鼓を打ち、ビール日本酒。