平成24年4月28日(土)
世間は大型連休に入ったが、当方は暦通りで朝から救急車2台来て忙しい。
妊婦健診の続き。妊娠初期に必要なのは正確な予定日を決めることと、各種血液検査を行うことである。体重、腹囲、子宮底長、検尿、血圧測定は毎回母子手帳に記載する。妊娠23週までは4週間毎、妊娠24週から35週までは2週間毎、妊娠36週からは1週間毎の健診となる。妊娠24週~28週にクラミジア・GBSなど感染症の検査と貧血・血糖値を測定する。
超音波検査は毎回行い胎児の成長、胎盤の位置、羊水の量、子宮頸管の長さなどを測定する。日本以外の国では、超音波検査を毎回していないようであるが、わが国では妊婦さんへのサービスとしてほとんどの施設が毎回行っている。人気のある分娩施設では健診に時間がかかり、待つのが大変だと聞くが、超音波検査の回数を欧米のように減らせば待ち時間は短縮されると思う。胎児の心拍の確認はドップラーで十分である。
妊婦さんの8割ぐらいは何もしなくても問題なく出産できる。もっと言うと、健診しなくても大丈夫である。でも残りの2割ぐらいの人は何が起きてもおかしくない。早めに気付いて軌道修正できればスムーズにいくものが、機会を逃したためにひどいことになることがある。そしてそれはいつ起きるかわからないのである。妊娠は予測がつかないことが起きるのである。
月別記事一覧 2012年4月
妊婦健診昨今(2)
妊婦健診昨今(1)
平成24年4月21日(土)
今の産婦人科診療で最も大きな出来事は超音波検査装置が開発されたことだと思う。胎児を観察する方法で、これほど安全で手軽にできるものはない。レントゲンやCTは被爆が問題になるうえに、装置が大げさなので場所やコストがかかりすぎるし、実際に使うのも大変である。
わずか30年前までは妊娠の状態を知るための触診・内診は産婦人科医にとって大切な、名人芸のような技術が必要であった。なにしろお腹の外から子宮内の胎児がどれくらい育っているのか、元気なのか、逆子ではないかなど、様々なことを診断しなければならなかったからである。現在でも行われている子宮底長・腹囲の測定はその時代の名残である。これらはもはや不必要になっているが、まだ健診の項目に入っている。また、胎児の心音を聞くための聴診器に相当するトラウベという木製の筒も、超音波を利用したドップラー装置になり、胎児の状態を観察するためのNSTへと発展していった。
もうひとつの大きな変化は、妊婦健診がほぼ公費になったことである。従来は健診は自費診療で、検査項目は施設によって若干異なっていたが、公費になったために画一化され、回数も決められてしまった。本当に必要なのかと思われる検査もある。かつて多かった妊娠中毒症(今ではこの病名はなくなった)を見つけ、早めに治療するという目的で始まった妊婦健診だけれど、ずいぶん様変わりしてきたものである。(この項続く)
この2週間
平成24年4月15日(日)
今日は日曜日だけれど当番医なので午前9時から午後6時まで開院しなければならない。本当は腰痛があるのでゆっくり休みたいのだが、順番なのでそうもいかないのがつらいところだ。実際この2週間はきつかった。初めは寝返りもつらかったがなんとか座ることができるようになり、かろうじて仕事はしていたが暇さえあれば横になって腰を休めていた。昼の食事も遠くには行けないので近所の讃岐屋だけ、飲み会も中止、仕事以外の活動はすべて止めてひたすら横になっていた。整形外科の友人に訊いても治療は安静しかないようなので仕方ない。
暖かい日が続く。桜も満開になりもう散り始めている。先週の日曜日は比治山の桜を見に行った。比治山は動く歩道と長いエスカレーターがあるので、腰に負担をかけないようにそろそろ歩いてなんとか行くことができたのである。コンビニ弁当とビール、ワンカップ、これはこれで楽しい。
腰痛再々発来
平成24年4月5日(木)
一昨日の春の嵐から一転、おだやかな陽光が心地よい。桜も開花を始め平和公園は10日が満開とか。まことに季節はめぐり来るものである。
治まりかけていた腰痛がふとした油断から再再発してしまった。土曜日の夜、寝る前に尺八の演奏を聴きながら、ウイスキーの水割りを飲みつつパソコンのゲームをするという、至福の時を過ごしていてそのまま一瞬眠ってしまったらしい。椅子から落ちそうになりながら眠っていたためにかなり腰に負担がかかったようで、すぐに普通に横になったが翌日は寝がえりをうつのも難く、幸い日曜日だったので一日中寝ていた。月曜日からは辛うじて診察を行っていたが、今日ぐらいになってやっと痛みが治まり始めたようだ。今回は治るのに時間がかかりそうだが、一年で最も良い季節である。少々痛くても花見で一杯飲みたいものである。