平成24年1月26日(木)
北野武(ビートたけし)の著書はどれも面白いのでほとんど全部読んでいるが、彼が各分野のトップと対談する一連のシリーズは特に興味深い話が満載である。その中でも「達人に訊け!」はマスコミへの露出度がそれほど多くない達人が登場するのでいっそう面白い。日曜日の朝のテレビ番組「がっちりマンデー」に登場する社長さん達の面白さと共通するように思う。いずれも「その道」で頑張って人よりすぐれた技術を身につけ、成果を上げた人たちである。その人たちの話が面白くないはずがない。
「虫の達人」をはじめ宇宙、麻雀、字幕、数学、日本語、寄生虫、香り、競馬、金型プレスのそれぞれのトップの人たちとたけし氏の絶妙な会話は、それぞれの分野のエッセンスともいうべき本音を引きだす。それもビートたけしという特異なキャラがあってこそである。あとがきで氏は「本当にやりたいことをやるためには、まず目の前の長いハシゴを上らないといけないね。運のない人は、その努力を惜しむんだ」と書いているが、そのとおりだと思う。だれでも目の前の長いハシゴをのぼることができれば、その後はわりと自由にいろんな所へ行けるようになるだろう。もちろんハシゴの長さはそれぞれの能力や環境で違うだろうけれど。
月別記事一覧 2012年1月
ビートたけし著「達人に訊け!」
流産の原因(1)
平成24年1月18日(水)
妊娠初期流産の原因のほとんどは妊卵の細胞分裂がうまくいかなくなったためで、民族を問わず一定の割合で起きる。だから治療する意味もないし治療できない。このことは胎児(胎芽)を超音波検査によってリアルタイムに観察できるようになって、わかってきた。したがって感染がない場合、経過を見守るしかないので、そのことを患者さんに話して納得してもらっている。
30年以上前にはまだ超音波検査が普及しておらず、妊娠初期に不正出血があれば入院してもらい、止血剤などを点滴投与するのが標準治療とされていた。だから当時はどの病院もそういう患者さんがいっぱい入院していて、ベッド上安静にて点滴を受けていた。なにしろ流産率はヒトでは15%以上あるのだから患者さんは多いわけである。今から考えれば気の毒であるが、意味のない治療をさせられていたことになる。でも当時の医学水準ではその治療が標準で、もしその治療をせずに流産したら訴えられて敗訴しただろう。
最近、少し出血した妊娠初期の患者さんを入院させる医療機関があるのを知って驚いた。もちろん上記のように説明して、それでも入院を希望されたのなら別であるがこの場合はどうなのだろう。
現在、標準治療として行われていても、将来なくなるものも多々あると思われる。今は通常に行われているが自分では意味がないと思われる治療はしないようにしているが、30年の間でもそのように思っていてあとでそのとおりだと証明された治療は結構あったし今もあるのである。
休日のランチ
平成24年1月11日(水)
休日の昼、ドライブを兼ねてのランチで気にいっている店がいくつかある。最近ちょくちょく行くのは、尾道駅の近くの「和房 まん作」。ここは若いが腕の良い店主が、目の前の漁港で揚がる新鮮な魚貝を美味しく食べさせてくれる。昼は数種類のランチだけであるが、夜はメニューが豊富でいい酒も置いてあり大いに楽しめそうである。行くたびにいつかは夜にも行ってみたいと思う。
もう一軒は、少し遠いが福山市の郊外に「膳夫高木(かしわでたかき)」という店がある。ここもカウンターと小部屋があり、調理するのを眺めながら食事ができる。料理にも接客にも細やかな心遣いがあり、なにより値段がリーゾナブルである。初めて訪れた時は、店がどこにあるのかわからないぐらい目立たないのでとまどったが、中に入ればほぼ満席、予約なしでは難しいと思われた。ここも夜に来てじっくり飲みながら食べてみたい店である。
謹賀新年
平成24年1月4日(水)
今日から診療開始である。冷えると思ったら久しぶりに雪が降っている。
正月は長女夫婦や孫たち、長男も帰っていてにぎやかだった。元旦は3歳の孫を連れて比治山神社に初詣。子供用のおみくじがあり引かせたら「末吉」、神社までの往復を「だっこ」してもらわず頑張って歩いたのはえらい。3日は地元の同級生の尽力で中学校の同窓会があり、実に40数年ぶりに郷里の同級生たちに会うことができた。時を経ていてもどこかに昔の面影が残っているもので、すぐに誰だかわかったし話し方も雰囲気も変わってないのが面白かった。恩師も出席されたが、かつての熱血教師は今も健在で、70歳代後半でもパワーにあふれ「山岳会」を作って地域の中高年に元気を与えておられる。最後に皆で校歌を歌ってお開きとなったが、次に皆に会える機会がはたしてあるのだろうかと思ったことである。