日付別記事一覧 2006年9月8日

妊娠と薬

平成18年9月8日(金)
妊娠初期に内服した薬が気になるという人は実に多い。これはかつてサリドマイドによる薬害の記憶がもたらしたもので、皆さんすごく心配される。実際のとこ ろは薬の影響による奇形はほとんどなく、自然発生の奇形のみと考えてもいいのである。新生児の奇形率はあとからわかるものを含めれば3~4%あるといわれ ている。それを上回るにはよほど催奇形性の強い薬剤を多く使用しないとありえないと思われる。
サリドマイド薬害の原因は厚労省(旧厚生省)の無策である。なぜすばやい対応ができるような機構にしないのだろう。さらに薬害エイズ、血液製剤によるC型 肝炎の問題など何度でも同じ過ちをくりかえす。人は過ちをおかすのだという前提にたって、そうならないようなシステムを考えなければダメだろう。日本でも 優秀な人たちが集まっているのだからそういうシステムぐらいすぐにできそうなものだと思うが。
我々医師ができることは、むやみに薬を使わないことと、いつも海外も含めて新しい情報に注意して厚労省が認めた薬であれ検査・治療法であれ鵜呑みにしない ことであろう。あとになってあれは意味のない検査・治療だったとか効果のない薬だったので中止になったことは、数限りなくあったし今もあるのだから。