平成26年7月11日(金)
以前にも書いたが開業して十数年、昼食に行く店は大筋では変わらないが、閉店や味・好みの変化などで微妙に変わってきている。ずっと通い続けている店もあるが、いつの間にかレギュラー店から入れ替わった店もある。
初めから変わらず通っているのは「小太郎(串焼き)」「讃岐屋(うどん、他)」「一楽章(カレー)」「とくみ鮨(鮨)」「中屋(あなご丼)」「天甲(てんぷら)」で、初めの3店はほぼ毎週!飽きずに通っている。あとの3店は1~2か月に1回ぐらい。今のレギュラー店は先の3店に加えて、「菊屋(とんかつ)」「こけもも(ビーフカツ)」であるが、じつにうまい。ただ、さすがに年を取ると食べられなくなるというか、以前ほどお腹がすいたという感覚がなくなってきているのはさびしいことである。
休日であれば「はっぴ(そば)」「ペロー(パスタ)」「そばきり吟(そば)」などに行くが、飽きない味でしばらくするとまた行きたくなる店である。おいしく食べられるうちが花なので、いつまで行けるかわからないができるだけ続けたいものである。
カテゴリー うまいもん
最近の昼食(2)
久しぶりの京都
平成26年4月10日(木)
3月下旬のことであるが、京都博物館で印象派展(パリ・セーヌ・ノルマンディーの水辺をたどる旅)が開かれているので、久しぶりに行ってきた。京都では宿がとりにくいので大阪に泊まり翌日京都に行くという、いつものパターンである。ありがたいことに予約の取りにくい居酒屋「島之内一陽」がとれたのでうまい肴でゆっくり楽しめた。値段もリーズナブルで、これなら人気店になるだろうと納得。店主は可部出身とのこと、これだけの店を競争の激しい大阪の中心でやっているのは立派である。
翌日は東寺を訪れて国宝五重塔や春季特別公開の国宝・重文を鑑賞、桜の咲く前だったので人出もそれほどではなく、ゆっくり見ることができた。ところが京都博物館の印象派展は人を見に行ったようなもので、早々に退散した。昼は伊勢定が撤退した広島でうなぎに飢えていたのでミシュラン一つ星の「まえはら」へ行き、実においしいうなぎを食べることができた。寿命が延びたと思った。(年をとるといいことがあると「寿命が延びた」と言い、さらに高齢になると「冥途の土産」というらしい)
最近の昼食
平成25年8月30日(金)
開業して16年、気にいった店には飽きもせず毎週1度は食べに行っている。かつて気にいって通っていたが、店主が高齢のため閉めたり、そのほかの理由で現在なくなった店などもあり時の流れを感じる。それでも多くの店はこの十数年変わらず、美味しい料理を提供してくれているのはありがたいことである。
偶然見つけた「こけもも」という店のビーフカツはいい肉を使って塩加減、焼き加減が好みにピッタリで毎週通うようになり、昼食のローテーションに入ってしまった。ここは1年前に若い夫婦のシェフが始めた小さな店だが、味がしっかりしているのでいつも満席である。奥さんシェフは広島の老舗洋食屋「広亭タナカ」の長女さんとのことで、さすがだと思ったことである。若い才能が出てくるのはすばらしいことで、このまま頑張っていってほしい。
広島県の軽井沢
平成25年7月25日(木)
猛暑の日曜日、思い立って生まれて3週間の孫も連れて皆で県北の「ファームノラ」へ行った。11時ぐらいに着いた時には1組しか客はいなかったがその涼しいこと!木立の中に作られた手造りのベンチに座ると爽やかな風が頬に心地よい。石窯前でのんびり座っている店主が「ここは軽井沢ですよ」とつぶやいたが、本当に気持ちの良い環境だった。この店は料理が出てくるのに時間がかかるので、早速注文してのんびり待つことにする。今日はいつものイヌたちはいなかったけれど、羊は囲いの中で草を食んでいた。
その後続々人が増え、あっという間にほぼ満席になった。ドッグランの場所もあるのでイヌを連れてくる人も多い。バイクツーリングの中高年のオジさんたち。皆のんびりとこの環境を楽しんでいる様子である。そのうち注文した料理ができていつものうまい石窯ピザや鴨の燻製、最近お気に入りのボルシチなどを堪能した。下界の暑さがウソのようなひと時であった。
広島ミシュランに思う
平成25年5月17日(金)
昨年からうわさのあったミシュラン広島編が発売されることになった。まだ詳しくはわからないが、三つ星は一軒だけで、季節料理「なかしま」だそうである。この店をはじめ二つ星のてんぷら「天甲本店」など、いずれも何度か訪れている。どの店も確かに美味しく総合的に見ていい店だとは思う。店主も励みになるだろうしミシュラン効果で客は増えるだろう。実際、発表の翌日には「なかしま」の予約は来月まで埋まったそうである。
ただ、自分も長いこと広島で食べ歩いていると、自分の好みの店はいつの間にか決まってくる。それらの店を基準にして、人から聞いた店や新たにできた店を訪れて評価するわけであるが、1回だけでは難しく3回行ってお気に入りになるかどうか決まるように思う。1月に「天甲本店」に行った時店主からミシュランの調査員が来たことを聞いたが、1度は一人で、2度目はフランス人と二人で来て掲載の許可を求めたそうである。いろんな店を調べるのだから何度も訪れるのは難しいかもしれないが…
掲載された店はいずれもいい店だと思うが、他にもいい店はたくさんある。行きつけの店が載ってしまうと客が押し掛けるので予約がとれなくなる。当然、自分を含め常連客の足が遠のく。せっかく長い時間を通していい感じで通っていた店に行きにくくなるのはまことにつらいことである。ミシュラン、良し悪しである。
鹿児島から博多
平成25年5月2日(木)
連休の前半に、かねてより乗ってみたかった九州新幹線さくらで鹿児島へ行った。2時間半の旅であるが、車内は1列4席なのでゆったりとして快適である。維新ふるさと館で鹿児島の歴史を学んだ後、レンタカーで城山に登り市内から桜島を一望、フェリーで桜島へ。フェリーのうどんが美味いとの情報で1杯550円の天ぷらうどん、だしが効いてじつに美味であった。島内をドライブ、絶景ポイントがいくつもあったが、なんといっても噴煙を上げている桜島の姿は活火山だと実感させられる。
大隅半島経由で霧島神宮を訪れる。やたら若者のカップルが多いのが不思議だったが、九州一のパワースポットとのことで納得。夕刻本日の宿、妙見温泉「石原荘」に到着、早速温泉に入る。今回の鹿児島行きはこの宿の予約が取れたからでもあるが、天橋立の文殊荘とは違ったもてなしと美味しい料理であった。敷地内の山中に「熊襲の穴」と呼ばれる巨大な洞窟があり日本書紀に記載されているとか…
翌日は車で九州自動車道から阿蘇へ、火口まで行くことができたが、なるほど九州が「火の国」と呼ばれるわけである。夕方博多着、阪急デパートの地下で干物を仕入れてお薦めの居酒屋「ひろ家」で一杯飲んで新幹線、目が覚めると広島だった。気候もよく絶好の旅日和であった。また行こう。
吹雪の「ファーム・ノラ」
平成25年4月10日(水)
広島市内の桜は盛りを過ぎたので、県北の桜はどうかいなと休日に北へ向かうことにした。予報では市内は雨50%とのことだったが、出発時は晴れており天気予報ははずれたなと思っていた。191号線を、桜を愛でながら森のレストラン「ファーム・ノラ」を目指して北上した。ここは冬の間は雪に閉ざされているので営業せず、春になったらぼちぼち始める趣味のような手造りのファームレストランである。
戸河内インターから191号線に入った頃から小雨となり、三段峡あたりでは外気温も下がってきた。そのうちに小雨はみぞれに変わり、花街道から深入山にかけて雪となってきた。見ればまだ根雪が残っていて道は完全に雪道になっている。外気温は0℃~1℃、滑らないようにわだちの跡を慎重に運転し、やっと目指すレストランに着いた。まわりは一面雪景色で、営業はしていたが客は自分たちだけで、あまりの寒さに店主がストーブの他手かざしにと七輪に炭をおこしてテーブルに置いてくれた。この時期の雪は珍しいそうで、次々にかかってくる問い合わせの電話に対応していたが、さすがに来店を断念する人が多いようだった。
料理を待つ間も外は吹雪のように風が舞い、無事に帰れるだろうかと心配したことである。久しぶりの石窯ピザ、鴨の燻製、ボルシチなど美味しくいただき店を後にしたが、市内からわずか2時間でこれだけの気候の違いがあるのは面白い経験であった。
東山の紅葉・風俗博物館・エルミタージュ美術館展・「吉膳」
平成24年11月24日(土)
木曜日の午後から京都に行ってきた。薬屋さんの雑誌に風俗博物館が紹介されていて、ぜひ見たいと思ったからである。京都に3百年続く、僧衣や十二単(ひとえ)などの衣装を作っている老舗「井筒」が始めた博物館で、現在は「源氏物語の世界」と題して、当時の建物から人物・衣装・牛車・小物などを4分の1の大きさで精密に再現している。私が動けるのは日曜祭日しかないのに、この博物館は私設のせいなのか日曜祝日は休館となっている。仕方ないのであきらめていたら、たまたま昨日金曜日が祝日で前日の木曜日は午後からは休診。これは何とかなりそうだと調べてみたら、午前の診療終了後すぐに出発すれば午後3時台には京都まで行けることがわかり急遽出かけたわけである。
展示物は精緻を極めており、「明石の姫君の婚礼支度」など時代考証をきちんとしているとのことで、実に興味深かった。あまり知られていないのか人も少なくじっくり見ることができた。夜は祇園の「吉膳」で旨い地酒と料理を堪能した後、すぐそばにある高台寺のライトアップを鑑賞した。人が多すぎるのが気になったがライトアップされた紅葉の美しさには目を見張った。
翌日は「青蓮院」「エルミタージュ美術館展」「永観堂」哲学の道散策、「真如堂」など紅葉を楽しみ「辻留」の弁当を買って帰り家で一杯やるという充実した小旅行であった。
広島で食べられるおいしいもの
平成24年10月6日(土)
広島県医師協だよりに西区で内科を開業されているO先生(直接の面識はない)が、上記の題で2回にわたって記事を掲載しておられるがなかなか濃い内容なので紹介してみたい。O先生は毎日いかに楽しく暮らすかを第一目標におき、実践しておられるようで、特に食と酒はまさに命がけで追及しているように見受けられる。広島はもとより東京・大阪に足をのばし、フランスにも毎年訪れて三ツ星レストランなどに行かれるそうである。
私自身は広島のそれもごく狭い範囲しか知らないけれど、O先生のお勧めの広島の店なら少しは知っていて、好みが重なっていると思った次第である。
広島一おしゃれな焼き鳥屋として「BACARO DUE(アロマグリル)」を、天ぷらでは「荒谷」「天甲」、鮨では「吉鮨」「とくみ鮨」「なかもと」、そばは高橋名人の弟子の店「はっぴ」を薦めておられるが、そのとおりであると思う。ただ「吉鮨」は値段が高すぎるので行かない。他にも好みの店はあるが、あまり知られてしまうとかえって行きづらくなるのでこのぐらいにしておく。
四季の味
平成24年9月28日(金)
季刊誌「四季の味」は食の奥深さを教えてくれるので、春夏秋冬、それぞれの号を買ってクリニックに置いている。毎号面白い記事が満載であるが、その中で金沢の料理屋「銭屋」の主人のエッセイ「銭屋の勝手口」は軽妙かつ深みのある文章で、毎回楽しみにしている。
今回の話題は、28年前にパリの大学で日本文化を学んでいたパリゼンヌが「銭屋」に1カ月ホームステイしたところから始まる。日本酒の旨さに驚き、日本文化を知れば知るほどすっかり日本を好きになった彼女は、大学卒業後は日本企業で仕事を始め日本に定住してしまい、グラフィックデザイナーの岡達也氏と結婚して会社を立ち上げ、実業家として活躍しているそうである。和服にもはまって、とうとう「パリゼンヌの着物はじめ」という本まで出しているという。
その彼女が毎年「金沢おどり」の時期に、見事に和服を着こなして銭屋のカウンターで食事する姿を見るのが楽しみだという。人と人との縁というものの面白さを表した文章を読むにつけ、「銭屋」を訪れてみたいと思うようになっている。以前、金沢を訪れた時は「みつ川」「つる屋」に行ったが、次に行く機会があればぜひ「銭屋」のカウンターに座ってみたい。