カテゴリー 日誌

忘れた

令和5年9月15日
最近、2つの講演をスルーしてしまった。一つは広大で行われた講演で、WEBで視聴する予定で、当日(日曜日)朝からクリニックに出かけパソコンを開いたが、視聴するための案内メールがなくなっている。間違えて消去してしまったようだ。あらかじめ「間違えて消去する人がいますので注意を」とのメールがあったのに…
昨日は夜7時からの講演で、これもWEBだけれどしっかり視聴できるように準備していたにもかかわらず、午後の外来が終わってほっとしてそのまま帰宅。食事を終えて入浴した時に、何か忘れていたような気がすると思っていて「そうだ!講演があったんだ」と気づいたが後の祭り。ボケが始まったのかと思ってしまった。カレンダーにはスケジュールを書いていて毎日見ているにもかかわらず失念するのはいかがなものか。困ったものだ。

「妻の肖像」

令和5年9月7日
表題はジャーナリストで作家の徳岡孝夫氏の作品である。愛妻家である氏の70歳で亡くなった妻・和子への思いが淡々と綴られていてしみじみとした感動を呼ぶ。大阪生まれの氏は京都大学を卒業後、毎日新聞社に入社するが卒業前から高松に配属され、木造二階建ての古ぼけた支局に赴く。そこで働いていた事務員が和子である。徳岡25歳、和子24歳で結婚し、以後45年間男の子2人を育て仲睦まじく暮らしてきたが、和子69歳のときに腎臓がんの骨転移が見つかり70歳で亡くなったのである。
徳岡氏は妻とのなれそめから結婚生活、子育て、やっと家を持てたことなど、たくさんのエピソードを交えて綴っているが、妻に対する深い愛情が大きな河のように底を流れていて暖かい気持ちになる。
臨終の和子夫人に徳岡氏は「和子、また会おう。近いうちに」と呼びかけているが心の底からの言葉であろう。氏は山代春日さんから贈られた油絵の板絵「徳岡和子像」を眺めるたびに「生きている」と感じて帰宅すると必ず「和子、ただいま」と声をかけている(石井英夫氏の解説)。愛しき人を持つすべての人に読んでもらいたい作品である。

フルートについて

令和5年8月31日
フルートを習い始めて5年になり一通り教わったので一旦レッスンをやめた。加藤克朗氏のFlute Method1,2,が終了し、フルート曲集を使ってレッスンするようになって限界を感じたからだ。教わるよりも自分で吹き込んでいく以外にはうまくならないと思ったのである。納得がいったら改めてレッスンをお願いしてみたいが、今はひたすら練習しようと思う。
尺八は10年余りやったがものにならず、フルートもそうなるかもしれないがもう少しやってみたいのである。考えてみれば楽器は小さい頃から興味があったけれど、ものになった楽器はない。ハーモニカ、リコーダー、バイオリン、ギター、とりあえず演奏できるが素人の域を出ない。バイオリンに至っては持っていただけというありさまである。尺八もフルートも指導してくれる先生は素晴らしい技術を持っていて、いつも感心しながら教わっていた。どうすればあのように演奏できるのか、才能の問題なのだろうと思うのだが仕方ない。もう少しだけやってみようと思う。

ARTによるお産の後の自然妊娠

令和5年8月24日
英ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンのAnnette Thwaites氏らの研究によると、体外受精以外では妊娠出来ないと言われてARTを行って妊娠・出産した後、自然妊娠するケースが5人に1人あるという。実際に6回の体外受精によって妊娠して子供を授かった女性(当時43歳)がその後に自然妊娠して「自然妊娠する可能性は1%以下だと言われていたから驚きだったが準備不足を感じ呆然とした」という。
Thwaites氏らによるとARTによる妊娠・出産の後に自然妊娠した女性の割合は、対象者5,180人で追跡期間は2~15年で調べたところ20%だったという。
我々の周りにもそういったケースを見かけるが、そもそも原因不明の不妊は50%あるということは、わかっていることのほうが少ないのである。医学・生物学はわからないことが多すぎて、現在行われている治療も「あれは間違っていました」ということが今までもあったしこれからもあるだろう。医療者はこのことを肝に銘じて日々の診療に当たらねばと心から思う。

孫たち集合

令和5年8月17日
台風の合間を縫って次女が信州から帰省した。一日、長女と長男の孫たちも我が家に集まって宴会となった。中3の女の子を筆頭に1歳の男児まで総計6人の孫たちが一堂に会したが、このような機会はなかなかないだろうと思うと、感慨深いものがあった。いつの間にか1歳の子も皆の中に溶け込んで、いとこ同士のつきあいの始まりである。
田舎育ちの自分の家は親戚同士3軒が固まっていて、いとこ、又いとこなど6人がいて遊んだりしたものだ。今は核家族になってこんな集まりはなくなってしまった。今回のような集まりは孫たちの記憶に残るだろうと思うと貴重である。
途中から一人離れて録画しておいたゴッドファーザーの第一作を観ながら感慨にふけっていたが、昨年のコロナで命を失くしていたかもしれなかったことを思えば本当にありがたいと思ったことである。

診療に参加

令和5年8月10日
8月7日から10日まで夏季休暇中の息子が当院の診療に参加することになった。現在中国労災病院の産婦人科に勤務しているが将来開業を希望していて、クリニックの診療を勉強したいとの意向で参加したわけである。
一緒に診療を行うのは初めてのことで、気恥ずかしいようなうれしいような奇妙な気持である。初日は患者さんの許可を得て見学させた。診療のやり方やカルテの記載方法は現在の方法とは変わってきているが、診断・治療・説明などはそんなに変わるものでない。現在行っているやり方を余すところなく教示して、将来の技術向上の一助になればと思っている。
月に1~2回、勤務先の病院に迷惑がかからないという条件で、参加させてゆくつもりである。
今後はあらかじめ参加する日程を開示する予定なのでよろしくお願いします。

「ザイム真理教」

令和5年8月3日
表題は経済アナリスト、獨協大学経済学部教授、テレビでも活躍する森永卓郎氏の近著である。発売18日で4刷だからよく売れているようで、週刊誌の書評欄で知って読んでみた。財務省が国民に40年間植え付けてきた「財政均等主義」がいかにこの国の経済を悪化させているかをわかりやすく解説し、どうすればよくなるかを簡潔に述べている。
このところ税金が高くなっていることを日々感じて、様々な名目で税金を払わされていることに違和感を持っていたが、氏の解説でその無茶ぶりがよく分かった。最大の間違いは消費税の導入だという。しかも3~5~8~10%と増やし続けている。このままだと20%にまで増やすかもしれない。そのうえ所得税も増やし、復興税も据え置き、健康保険料も増やしているので、かつての「五公五民」の重税になって来ている。江戸時代から「四公六民」が世が治まる税金の比率だったのが財務省の「財政均等主義」のために必要以上の重税になっている。消費税を5%に引き上げてからは実質賃金は下がり続けている。消費税を廃止することが経済を復活させる最良の手段だという氏の考えは納得できる。
久々に面白い本を読んで目から鱗が落ちたように思った。

アレグリア

令和5年7月27日
シルクドソレイユのパフォーマンス集団が、コロナ明けの日本にやってきた。1992年のファシナシオン以来、13の作品を日本で行ってきた。カナダの街の大道芸から始まって世界中のパフォーマーがあつまり、シルクドソレイユという名の組織ができ、世界中で興行を行うようになった。歌あり道化ありだが、なんといってもすごいのは肉体を使ったパフォーマンスである。体操競技の床運動のようなショーから空中ブランコ、高度なジャグリングやファイアーダンスなど息もつかせぬ光景が展開される。
日本に初めて来た時から注目して見に行っていたが、毎回期待を裏切らない見事なパフォーマンスショウに満足している。コロナのため5年ぶりの開催となったので何はさておきチケットを手に入れて見に行ったわけである。土曜日の昼に新幹線で大阪へ行き、「島之内一陽」で酒食、翌日森ノ宮ビッグトップの会場へ。休憩を入れ2時間15分のパフォーマンスを楽しんだ。行きかえりの暑さにはまいったが、いい休日になった。

梅雨明け

令和5年7月20日
正式に発表されていないが自分の感覚では今日から梅雨明けだ。朝からの日差しが違うし、自転車通勤での肌間隔ではまさに夏である。子供の頃からこの季節は泳ぎに行くのが大好きで、近くの川や池に昼食後泳ぎに行ったものである。さすがに今は泳ぎたいとは思わないが、その感覚はしっかり残っている。それにしても最近の夏の暑いこと、猛暑と呼ぶにふさわしい。田舎にいたころはこんなに暑くなかったように思う。朝涼しいうちにスイカ畑に行って、よく熟れていそうなスイカを取って深い井戸に入れておく。この井戸は深いので水が冷たいのである。昼ごはんの後井戸から取り出したスイカを切って食べる。スイカが大好きな自分の至福の時である。時には泳ぎに行く池に持っていって泳いだ後で食べる。あとは昼寝。今から考えると、小さい頃は田舎の生活の方が良かったと思う。高校生以降は都会が魅力的だけれど。まさに「夏が来れば思い出す」である。

「マッチング・アプリ症候群」

表題は大学卒業後、新聞記者を経てフリージャーナリストになった速水由紀子氏の近著である。最近、マッチングアプリを使って知り合って結婚したカップルが見られるようになった。私の知る限りではみんなうまくいっているようで、これからも新しい婚活手段として増えていくのではと思われる。
かつては結婚は家同士、仲人を立てて同等の格の家との間で行われていた。口を聞いてくれるお節介おばさんなどがいて、年頃になればなんとなく結婚できていたので、自分で見つけなくても婚姻率は高かった。今は「個」の結婚になっているので自分で相手を見つけなければならない。今の日本は男性の31%、女性の23%が未婚である。そこで登場したのがマッチング・アプリで、米国で1990年代から登場し日本では2012年から婚活アプリとしてのサービスが始まったという。
著者は実際に複数の婚活アプリに登録して出会いを経験し、訳を話して取材させてもらい、許可を得た人についての内容を記したわけである。早い時期に結婚が成立してハッピーなカップルもあるが、依存症になって抜け出せない人もいる。いずれにせよ実生活と同じで難しいことには違いがないけれど、出会いのチャンスが飛躍的に増えるのがマッチング・アプリである。これからも増えていくと思われる。