平成25年8月8日(木)
参議院選挙が終わって感じたことは、またしても選ばれるべきでない人が当選したことである。前回もそうだった。
衆議院と参議院があるのは、衆愚政治にならないための知恵だったはずである。つまり、衆議院は国民の選挙で選ばれるのだから有権者の利益・人気などで決まるのは当然であり民主主義の基本であるが、そのことは同時に衆愚政治に陥る危険性がある。民主党が政権をとり、わが国に大きな損害を与えたのはついこの間のことである。
参議院は衆愚政治に陥らないよう設けられたはずであるが、いつの間にか衆議院と同じ人気投票になってしまった。これでは二院制の意味がない。参議院の本来の役割を取り戻すためには、選ばれる人の資格をきびしくするか、選挙以外の方法で選ぶかのどちらかしかないと思う。今のままではなにも変わらない。
カテゴリー 日誌
二院制の意味
病は気から
平成25年8月1日(木)
「病は気から」という言葉は昔からあることわざである。この1カ月、まさか自分がこれを実感するようになるとは思わなかった。
1か月前にある症状があり、泌尿器科の友人に相談したら「早く検査した方がいいぞ」とのことであった。木曜日の午後しか受診できない自分としては、その後は特に症状もなかったので心配ではあったが休診してまで検査に行く気にもならず、盆休みに友人の病院で検査してもらうことにした。問題はその後である。少しでもヒマがあると最悪の事態を考えてしまう。私は近藤誠医師の説に全面的に同意しているので、早期発見の意義を認めていない。とはいえ、日ごとに募る不安感はどうしようもなく、加えて左前立腺周辺の不快感があらわれてきた。イスに座ると不快感が増すので、診察の時以外は立つか横になるかしていたが、横になっても不快感がおきるようになったので盆を待たず受診することにした。
友人の病院は遠いので、出身大学の後輩が部長をしている広島市民病院で診てもらうことになった。結果、最悪の疑いは晴れたが彼が言うには「慢性の前立腺炎がある場合、または以前炎症があった場合、不安感などがトリガーとなって不快感・痛みを感じる神経回路ができ症状がおきるその典型です」とのこと。1週間、抗生剤などを処方されていたが、それも不要とのこと。以後、痛み不快感もなくなりもとの状態に戻った。
ありがたいことであるが、あの痛み・不快感はなんだったのか。実際、休診するか替わりの医師を頼もうとしていたのだから。思うに最悪の事態を考えて、意識が知らず知らずのうちに前立腺周辺に集中し、神経回路ができ症状がおきたのだろう。まさに「病は気から」のことわざどおりの貴重な体験であった。
広島県の軽井沢
平成25年7月25日(木)
猛暑の日曜日、思い立って生まれて3週間の孫も連れて皆で県北の「ファームノラ」へ行った。11時ぐらいに着いた時には1組しか客はいなかったがその涼しいこと!木立の中に作られた手造りのベンチに座ると爽やかな風が頬に心地よい。石窯前でのんびり座っている店主が「ここは軽井沢ですよ」とつぶやいたが、本当に気持ちの良い環境だった。この店は料理が出てくるのに時間がかかるので、早速注文してのんびり待つことにする。今日はいつものイヌたちはいなかったけれど、羊は囲いの中で草を食んでいた。
その後続々人が増え、あっという間にほぼ満席になった。ドッグランの場所もあるのでイヌを連れてくる人も多い。バイクツーリングの中高年のオジさんたち。皆のんびりとこの環境を楽しんでいる様子である。そのうち注文した料理ができていつものうまい石窯ピザや鴨の燻製、最近お気に入りのボルシチなどを堪能した。下界の暑さがウソのようなひと時であった。
南木佳士の著書
平成25年7月19日(金)
医師であり芥川賞作家、南木佳士の著作は、受賞作「ダイヤモンドダスト」以来、ほとんど読んでいる。群馬県の寒村で生まれ、3歳の時に母親を結核で亡くし祖母に育てられた。中学2年の時に東京郊外の再婚した父親のアパートで孤独な日々を送りながら医師を目指して受験したが、不合格。1浪して秋田大学の医学部に進学、卒業後は郷里に近い長野県の佐久総合病院に勤める傍ら著作を始める。独特の視点ときめの細かい文章で、一定のファンを獲得している。年齢は私より1歳上で、共感を覚える部分が多く、特に精神的に落ち込んでいる時に読むと慰められるやさしさがある。
これらの著作を読んでいていつも思うのだが、優れた作家は書きたいものがあり書かずにいられないのである。それにしても著作だけで生活していく作家は、職業として成立させるのは難しいだろう。特に活字離れの進んだ現代では稀有な存在になっているのではなかろうか。
鮮やかに生きた昭和の100人
平成25年7月11日(木)
表題の本は文芸春秋90周年記念に5月臨時増刊号として発刊された。昭和の時代に活躍し、現在は亡くなられた100人の写真と紹介文を1冊にまとめたものである。昭和天皇をはじめ、作家、政治家、芸能人、スポーツ選手、財界人などいずれも昭和を代表する人たちである。写真を見ながら文章を読んでいると、その当時の生活の日々が思い出されて感慨深いものがあった。
もちろん、この人たち以外に優れた人は大勢いただろうし、無名でもすばらしい生き方をした人はもっとたくさんいただろう。それらの人たちの中でたまたまスポットライトがあたった100人というわけである。写真を見て共通していると思ったのは、どの人も姿かたちが良く加えてたたずまいに魅力があるということである。やはりどの分野であれ「魅力がある」ことが一番だと思ったことである。
孫誕生と演奏会
平成25年7月4日(木)
お産のために里帰りしていた次女に無事男の子が生まれた。二人目なので大丈夫だろうと思っていたが、予定日が近づいても陣痛が来ないのでどうかいなと思っていたら予定日の朝、陣痛が来て入院2時間後に生まれた。早速、昼休みに病院へ。今回は私の勤務していた中電病院にお願いしていたので勝手知ったるところ、久しぶりに分娩室に入ったが感慨深いものがあった。母子ともに元気なことに感謝、これで孫は4人になった。
翌日は尺八の演奏会(発表会?)、今までは複数で吹いていたが今回は初めての単管(一人で吹くこと)である。三弦に合わせて地唄を吹くことになっていたが、なにしろ舞台では緊張するしちゃんと音が出るだろうかと心配していた。孫の誕生の勢いを借りてなんとか演奏できたのは幸いであった。私の拙い演奏を聴く人には申し訳ないが、舞台で吹くのは結構気持ちよいものである。やみつきになりそうだ。
子宮頸がんワクチンの副作用
平成25年6月27日(木)
厚労省は「子宮頸がんワクチンの接種を勧めることを控えるように」との勧告を出した。めでたいことである。
そもそもこのワクチンについては不確かなことが多いにもかかわらず、バックにWHOを従えた巨大外国製薬会社のロビー活動と相まって世界の国単位で接種する流れになっているものである。国が接種を決めれば毎年数百億円の税金が外国製薬会社に支払われる。以前にも書いたが、わが国のワクチンのプロが有効性を疑問視しているにもかかわらず、ワクチンの効果を一途に信じているこころ優しき医師を含めた専門家たちが値段が法外であることに気付かず接種を推進している。喜ぶのは外国製薬会社だけである。
以前、インフルエンザ騒ぎの時にわが国は世界中のタミフルの大半を買って備蓄した。タミフルにも色々問題はあるが、買い占めた薬のほとんどは使われず期限切れになることがわかり、なんと使用期限を5年から7年に延した。おそまつな話である。この費用も税金からで莫大なお金が外国製薬会社(スイス→アメリカ)に支払われた。わが国からお金を吸い上げようと考える外国企業にとって、赤子の手をひねるようなものだろう。実に歯がゆいことである。
写真集「文豪の家」
平成25年6月14日(金)
明治から大正、昭和中期ごろまでの情報のメインは新聞と本(出版)だった。ラジオ、テレビ、インターネット・スマホが中心の現代からは想像のつかない時代だった。人々は出版物を通してしか世の中の流れを知ることができず、だから執筆者である作家たちがオピニオンリーダーであり、仰ぎ見る知的スターだったのだろう。人気作家の地位は今よりはるか上だったと思われる。
文芸評論家で早稲田大学の教授の高橋敏夫氏、同講師の田村景子氏らの写真集「文豪の家」は坪内逍遥、夏目漱石から松本清張、井上靖まで有名作家36人の住んでいた家(再現されたものも含む)の写真、見取り図、関連した写真などを詳しい説明文と共に掲載している。生まれ育った家はその人をかたちづくる最大の要素であり、一家をなした後に住む家もその人をあらわしている。
以前、週刊文春に「家の履歴書」という興味深い連載があったが、これは各界の著名人が自分が生まれ育った家やその後住んだ家を回想し、家の図を載せて解説するというものだった。「文豪の家」は写真集なので眺めていると想像がひろがり、いっそう興味深い。
内診台の入れ替え
平成25年6月7日(金)
木曜日の午後は休診なので、内診台の入れ替えを行った。当院には内診台は2台あり、1台は主に手術に使うので使用頻度はそんなに多くないが、毎日の診療に使う方はさすがに不備が生じてきたので買い替えることにしたのである。
なにしろ250kgの重量なので入れ替えも大変であるがそこはプロ、うまいやり方があるものだと感心していたら新台を入れる時に問題発生。古い台より横幅が3センチ広いためドア(当院は使いやすいように引き戸にしている)を通らないことがわかった。本来は業者があらかじめ調べておくべきなのだろうが気付かなかったのである。仕方がないので当院の内装をしてくれた業者の人に連絡、たまたま近くにいてすぐに来てくれて引き戸をバラして台が通るようにしてくれたので事なきを得た。業者の人が神様に見えた。
木曜日の午後はそれでなくても忙しいのに、こんなことで予測以上の時間をとられるのは困る。歯科にも緊急予約しなければならず(歯が痛いのである)、夜は尺八の練習会がある。結局予定を一つ取りやめて一日を終えた。
今日から新しい台、使い心地はなかなかよさそうである。
子宮がん検診のサイクル
平成25年5月30日(木)
米国では子宮がん検診は3年に1回を推奨し、子宮がんの原因となるウイルスがいなければ5年に1回でよいとのガイドラインを発表した。このことは従来の常識から考えると重大な意味を示している。
今まで「がん」は早期発見早期治療が最良であるとの強い思いがあり、そのために検診が推奨され症状のない「がん」が発見され治療されてきた。それで生命予後が伸びれば確かにいいことに違いないだろう。ところがいくら早く発見・治療しても、総死亡率が改善したという証明は世界中になく、むしろ治療によるダメージや後遺症などに苦しめられる人が多くみられることに気付かされるようになった。そのことに対して10数年前から近藤誠医師は「むだな検査・治療をすべきではない」という医学会から総スカンを食うような孤高の戦いをしてきたが、がんを切除すれば切除しないよりも長生きできる根拠がないという彼の主張は実証レベルでは結論が出ているのである。
今回の米国のガイドラインはこの主張の正しさを認めることになっていて、今後世界的には近藤氏の主張の方向に進むと思われる。天動説が正しいと信じられていた時代にガリレオが「それでも地球が太陽の周りをまわっている」とつぶやいたように。



