カテゴリー 日誌

地震

平成28年10月22日(土)
昨日午後2時過ぎ、診療開始前にパソコンに向かっているときに突然、揺れを感じた。すぐに思い出したのは今から15年前に起きた芸予地震で、それに比べたら大丈夫そうだとそれほど動揺せずにすんだが、そのあとも余震がくりかえされ地震の怖さをしみじみ感じた。震源は鳥取で震度6弱、広島は震度4だそうである。芸予地震の時は土曜日の午後3時半ごろで診療中にものすごい揺れが起き思わず机にしがみついたが、棚は倒れガラスが割れて壁にひび割れができ後片付けが大変だった。今回は被害はなかったが突然起きる地震はおおむね「忘れたころにやってくる」し、警戒していても防ぎようがない。
昔から怖いものを「地震、雷、火事、親父」と言ったが、地震と雷は自然のものでどうしようもないが、火事はある程度は防ぐことができる。封建時代の「親父=家長」は権威があり怖かったかもしれないが、昨今は「オヤジ」より「カミさん」の方が強い世の中になっているのではなかろうか。今のことわざは「地震、雷、火事、カミさん」が適切だろう。

 

秋深き

平成28年10月14日(金)
10月も中旬になると急に肌寒くなり、朝夕の自転車通勤の服装も今までの軽装ではつらいようになった。「暑さ寒さも彼岸まで」というが、秋分の日の頃はまだ暑い日の方が多く秋を感じることは少ないが、さすがに今はこの言葉を実感するようになった。
豊穣の秋というが新米が出回り栗や柿、マツタケも今からで、一年の中で一番いい季節だ。今年はふるさと納税でマツタケが届けられることになっていたが、不作のようで来年になるかもしれないとの連絡があった。残念だが仕方がない。子供の頃マツタケは田舎の裏山で結構採れていてすき焼きなどに入れていたが、子供は肉の方が好きなので土間にマツタケが何本かあるのを見ても少しもうれしくなかった。それが今ではとびきり高価なものになってしまった。
暑い夏があるから秋が満喫できるし、寒い冬があるから春が待ち遠しいのである。まことに我が国の四季のありようは、汲めども尽きせぬ風情がある。良い国に生まれたことに感謝である。

「アメリカ臨床医物語」

平成28年10月7日(金)
著者の中田力氏は東大医学部を卒業した2年後に渡米し、カリフォルニアで臨床医の修練をしたのちカリフォルニア大学の大脳神経学の教授として活躍、2002年に新潟大学統合脳機能研究センター長に就任、米国と日本を往復しているMRIの世界的権威である。医事新報に「フィロソフィア・メディカ」と題した氏のエッセイの掲載が始まり、そのレベルの高さと面白さ、奥行きの深さに注目していたが、今月でもう4回目の掲載になり他の著書も読んでみたくなった。
アマゾンで調べたところいくつかの著作がヒットし、すぐに手に入れることができた。便利な世の中になったものである。表題の著書は、氏がアメリカに渡り臨床医としての修練を始めて様々なことを経験しながらキャリアを積んでいく様が淡々と語られている。医療は誰のためにあるのか、医療者のあるべき姿はどうなのか、日米の医療に対する考え方の違いを検証しながら、我が国の医療の足りない点や改善すべき点を提示している。アメリカの「ER」というドラマがかつて日本でも評判になったが、まさにあの世界と同じ経験をして教授にまでなったわけである。さらに氏の思索の深さはその臨床能力の高さと同格で、これほど能力のある人は稀だと思う。久しぶりにすごい人に出会ったような気がする。

ポドフィリンとHPV

平成28年9月30日(金)
コンジローマと呼ばれる小さなイボが男女の性器とその周辺にできることがあるが、これはHPV(ヒトパピローマウイルス)によるもので、性交など接触で感染する。放置しておくと数も範囲も広がってくることが多い。ヨーロッパなど諸外国ではポドフィリンという植物の根から抽出した溶液をこのイボに塗ることで治療してきた。諸外国ではすでに一般薬として薬局で売られているので手軽に使えるようになっている。
ところが我が国では毒性が強いという理由で、一般薬としては使用できないことになっている。現在我が国で行われているのは、イボを焼く・切り取る・硝酸銀棒(かつて)→イミキモド塗布(現在)であるが、ウイルスの感染が原因であるために再発が多い。焼く・切るという外科的処置よりも塗り薬で治るならそれが一番いいだろう。イミキモドクリームはやっと我が国でも承認された塗布薬であるが、やはりポドフィリンの方がキレが良いという印象である。
子宮頸がんの原因とされているウイルスは、コンジローマのウイルスの仲間であり子宮頚部に感染したためなので、ポドフィリンを塗布することで治療する試みがいくつかの大学で過去に行われた。一定の成果は見られたようだが、治療法として定着するほどではなかった。それでも治るのなら手術よりはるかに負担が少ない方法だろう。私自身はハイリスクHPVに限定して試みたらどうかと思っている。

「トーテム」大阪公演

平成28年9月23日(金)
久しぶりの自由に動ける連休を利用してシルク・ド・ソレイユの大阪公演を見に行った。人間の優れた運動能力を駆使したこのサーカス集団は、そのすばらしいパフォーマンスで世界中にファンが多い。1992年に日本で初めて「ファシナシオン」と銘打った公演が行われたが、広島でたまたま行われたのを偶然見に行ってすっかりファンになってしまった。以後何年かおきに日本で公演が行われるようになったが、東京・大阪・名古屋・福岡が中心で、広島にはこの時以来一度も来ていない。だから大阪か福岡で公演があるときはいつも見に行くようにしている。今回のテーマは「不可能を可能にする人類の進化」でこのサーカス集団が見せるアクロバットにはいつもながら感嘆の言葉しかない。
真田丸の特別展が大阪市立博物館で開かれているので、はじめての大阪城散策の流れで行ってみたがさすがに大河ドラマ人気で人が多かった。夕食は三ツ星レストラン日本料理「太庵」、翌日の昼はスマホで検索して「うな次郎」でリーゾナブルなうなぎ、夜は広島駅ビルの「千代乃春」でおでん、気持ちのいい骨休めになった。

女性は長寿

平成28年9月16日(金)
政府の発表によれば2015年の平均寿命は、男性80.79歳、女性87.05歳で我が国は長寿大国になっているが、いつものように女性の方が男性より6歳長生きである。広島県では9月1日現在で100歳以上の高齢者は1946人(男性250人・女性1696人)で圧倒的に女性が多い。戦前(昭和20年より前)の平均寿命は男性が42歳で女性が44歳でこれが何十年も続いていたことを考えると、驚異的な寿命の延びである。かつては還暦は当時の平均寿命からいえば珍しいことで、皆で祝うべきめでたいことであった。さらに古希の70歳は文字どおり「古来稀なり」だったのが、今では多くの人が通過するのが当たり前になってしまった。
男女の平均寿命が2歳しか違わなかった時代からは、今のように男女の寿命が延びることと、女性が男性より6歳も長生きするようになることをだれが予想しただろうか。平和で衣食住が足りていれば女性の方が長生きするようにDNAで決まっているのだろうが、女性は生物として男性より強いのである。それにしてもこんなに長寿の人が増えてくると今までのように祝100歳の銀杯が贈れなくなったので、政府は予算の関係で銀メッキの杯にするそうである。

最近の昼食事情

平成27年9月2日(金)
開業して以来昼は外食をすることにして、幸い近くにはいろんな店があるのでいつの間にか行きつけの店ができ毎日ローテートしていた。とんかつ、ラーメン、うどん、鮨、天ぷら、カレー、串焼きなどその日の気分により適当にまわっていた。20年近く快適に過ごしていたのだが数年前からアルコールによる胃痛が起きるようになり、アルコールを控えざるを得なくなった。食事と一緒に飲むのは問題ないのだが、そのあとダラダラと飲むのは良くないようである。この2か月はアルコールを控えて、昼は行きつけの店へのローテートを止め、もっぱら「讃岐屋」のうどんで胃を休めていたが、この頃やっと胃の不快感もなくなったのでぼちぼちローテートを再開しようと思っている。でも年齢と共に基礎代謝も落ちるのでそれなりに控えるつもりである。こんなことを気にするようになろうとは数年前までは想像したこともなかったが、これが歳を重ねるということなのだろう。

ドック・健診でみつかる異常

平成28年8月26日(金)
ドックなどの婦人科健診で異常を指摘されて来院される人のうち、精密検査・治療の必要な疾患のある人はごくわずかで、ほとんどの人は経過観察か何もしなくていい人ばかりである。ドックなどの婦人科健診では子宮頸がん検診がメインであとは内診による診察のみの施設が大半である。
婦人科健診に限らず、ドックなどの健診制度が始まった頃は、早期発見・早期治療が絶対だとの思い込みがあった。ところがこれらの健診をいくらやってみても寿命が延びたという結果にならなかった。欧米では健康診断の有効性を調べるために集団を無作為に2つに分け、一方は健診を行い、他方は健診をせず何か異常があれば来院するようにして10年以上観察した結果、両者の死亡数に差がなかったので健診を行っていない国がほとんどである。
婦人科健診については経膣超音波検査を行っている施設はまだ少なく、きちんと調べるのならこの検査が絶対に必要だろう。子宮頸がん検診についてはリスクのない人は3~5年間隔になっているのが現実である。有効性を上げようと思うなら毎年の健診はやめて3年毎に経膣超音波検査も同時に行うべきだろう。今の健診体制はどう見ても有用とは思えない。

普通の日々

平成28年8月19日(金)
お盆の休みも終わり日常生活に戻っているが、この夏はオリンピックもあり孫たちもいて、あっという間に過ぎてしまっているような気がする。宮島水族館に孫たち5人を連れて行ったり、別の日は川遊びに連れて行ったり結構忙しかった。こういう機会はいつでもあるわけではないので張り切ったわけである。たまたま息子も帰ってきたので我が家には親・子・孫が全員そろったことになる。以前、家族全員が揃うことはそうないだろうと言ったが、思ったより揃う機会が多いのはありがたいことである。
アルコールを控えているので胃の調子は良くなったが、尺八を吹く時間がないのはちょっとつらい。ゴルフと同様あまりこの楽器に向いていないのではと思いながら吹いている尺八であるが、練習しないと一層吹けなくなることがわかるからだ。夏が終わったらまた練習しようと思っているが、こういう普通の日々が貴重なのだと改めて思う。

院内BGM

平成28年8月12日(金)
当院では開院時から院内BGMは有線と契約してどんな音楽でも流せるようにしていた。有線には様々なジャンルの音楽が提供されていて、どれを選ぶか迷うほどであった。結局、面倒なので選んだ一つだけのジャンルをずっと流していたようである。ある時、たくさんの音楽が聞ける有線を契約し続けても流すのは一つだけなので、あまり意味がないことに気づき契約を止めた。代わりにCD30枚を自由に演奏できるプレーヤーを買い、BGMにふさわしいと思われるCDを入れて流すようにした。しばらくは順調に稼働していたが、なにしろ機械によるCDオートチェンジャーであるから、故障するようになった。初めは簡単に修理できていたがとうとう完全に動かなくなった。
エディオンに行って聞いてみたが、この種のプレーヤーはもう製造していないとのことで、いろいろ相談した結果、ウオークマンに音楽を入れて流すことにした。ウオークマンも初期の頃と比べると進化したもので、初めの頃はカセットテープだった音源ががCDになり現在のデジタルメディアプレーヤーになった。標準で3800曲、最高音質で100曲を記録できるようで、CDを一枚ずつ入れ替えていた頃とは隔世の感がある。音質も良いし何よりモーターがいらないので電力消費が少なく、故障しにくいと思われる。便利な世の中になったものだ。