カテゴリー 日々是好日

最近の尺八事情

平成26年2月28日(金)
昨年アステールプラザで行われた演奏会での「夕顔」の演奏を最後に、所属していた「吹康会」が活動を休止しているので、このところ尺八は気ままに吹いている。吹いていていつも思うのは、古典の曲は味わい深いことである。さすがに時代を超えて残っているものはすばらしい。
琴尺八の音楽で日頃から耳にしていたのは「春の海」ぐらいで、地唄などはその存在すら知らなかった。実際に聴いても吹いてみても、初めはちっともいいと思わなかった。ところが、何度も何度も吹いているうちに味わいが感じられるようになってきた。ちょうどビールは最初は苦いだけでおいしくないし、タバコも煙いばかりなのだがこれがいつのまにかおいしくなるのと同様である。
そういうわけで今は古典から現代曲まで気にいった曲を吹いている。時々師匠に修正してもらいながら、楽しく吹いている。レベルを上げるための訓練はしんどいし、いくら頑張ってもうまくならないのがつらいけれど、ある日突然進歩の実感があることがあり素直にうれしい。もっと早くから始めていたらと思うが、その頃は全く興味がなかったのだから仕方ない。いっそう精進したいものである。

メタボな日々

平成26年2月13日(木)
寒い日が続くが今がピークで一進一退しながら暖かくなっていくだろう。早く暖かくなってほしいものだ。腰痛が再発してからはほとんど運動をしていない。もっぱら歩くだけである。それでも昼の食事も夜の晩酌量も変わらないので、体重こそ増えてはいないが筋肉が脂肪に置き換わっているように感じる。まさにメタボである。
メタボ、高血圧といえば、東海大学医学部元教授の大櫛陽一氏による日本全国70万人の健診結果の分析から、血圧は年齢と共に上昇するのが正常であり、160/100mmHgまでの人は死亡率が最も低く、現在の基準値140/90mmHgまで下げると逆にリスクが上がる。治療が必要なのは180/110mmHgを超える場合で、それ以下で降圧剤を使うと脳梗塞のリスクが上がるので高齢者には原則として降圧剤を投与してはいけないそうである。
また、高脂血症でコレステロールを下げる必要があるのは、男性の家族性高脂血症の人(0.1%)だけで、それ以外の人は治療の必要がないとのことである。男性でも女性でも悪玉コレステロールと呼ばれるLDL-Cが高い方が脳卒中が減少し、死亡率が下がっている。さらに統計上、日本人はやせているより太っている人の方が長生きをしているという。このデータを知ればメタボも捨てたものではないと思うが、腹が出ているのはみっともないので少しでも減らしたいと思うものである。

二水会の講演

平成26年1月16日(木)
広島市を中心とした産婦人科医師の勉強会「二水会」で高知大学形成外科講師、栗山元根氏の講演があった。帝王切開などの手術の創部をきれいに縫合する技術の講演で、実際に豚の皮を使っての実演があり興味深く聞いた。
「二水会」は母校の大先輩が広島市民病院勤務の時に始めた勉強会で、毎月第2水曜日(第3水曜日のこともある)いくつかの病院が順番に当番幹事になって行われてきた。最近は2カ月に1回になっているが、今回で319回!という非常に長く続いてきた会である。興味深い話も聞けるし、講演の後の懇親会が情報交換、親睦を兼ねているのでできるだけ出席するようにしている。この会に参加してもう23年になるが、初めの頃は年上の医師が多かったのがいつの間にか自分が結構年配になってしまっている現実がある。まことに月日が経つのは早いものだと感じた次第である。

謹賀新年(平成26年)

平成26年1月4日(土)
毎年1月4日から診療スタートすることにしている(4日が日曜日なら5日から)。今日は土曜日、明日は休みだけれど本日から診療開始である。いつもながら休み明けは心技体が整うまでに時間を要する。それでも午前中には完全復活、矢でも鉄砲でも持ってこいという心境である。
元旦は護国神社へ初詣、おみくじは末吉。3日は故郷へ帰る途中、山陽道が通行止めのため2号線を迂回したが故障車のため大渋滞、いつもの倍時間がかかった。新春からあまり縁起が良くないのがいささか心配ではある。昨年からの腰痛は完治していないけれど気持ちをいれかえて納得の年にしたいものである。

腰痛再び

平成25年12月6日(金)
11月の初め頃の朝、イスから立ち上がろうとしたら腰に違和感がある。持病の腰痛を予感させる違和感、その日はとにかく腰に負担をかけないようにした。それから1カ月、日常生活に問題はないがスポーツは無理なので運動は歩くことだけである。情けないが仕方ない。
腰痛とのつきあいは長く、30代のぎっくり腰以来ゴルフが自分にとって最悪だったと思う。40代でゴルフの練習に熱中していた頃、コンペの最中に歩けなくなり仕事は這うようにしてなんとかこなしたが、治るのに半年かかった。ゴルフは二度とやらないと思っていたのに、のど元過ぎればなんとやらで数年後ちょっとやってみたが、やはり腰に違和感があったので一旦中止。遊びのテニスをやっていたが、このスポーツは無理をしない限り問題なかった。
一昨年、またもや懲りもせずゴルフを始めようと思い立ち、道具をそろえ練習をしコースに出ることにして半年後、うたた寝の姿勢が悪かったのか腰痛再発、ゴルフどころではなく仕事の合間はすべて横になって過ごさざるを得なくなった。自業自得である。心底ゴルフを始めたことを後悔して、生涯二度とゴルフはしないと誓ったが、もう遅いのかもしれない。神様も「おまえみたいな何度も凝りないアホはこらしめてやる」とばかり、腰痛という魔の手からのがれられなくなるのかもしれない。

現地同門会

平成25年11月22日(金)
岡山大学の平松教授を迎えてシェラトンホテルで産婦人科広島同門会が行われた。毎年、この時期に開催され、平松教授による大学での最近の話題などの講演がある。かつて岡大は中四国に関連病院をたくさん持っており、教室から医師を派遣していた。どの県にも多くの同門の医師がいて、広島県では広島市、福山市の2か所で現地同門会が行われていた。そのほか各県でもこの時期に会が開かれるので、教授は大変だっただろうと思う。現在も同じように開催されてはいるが、医局制度が変わり産婦人科の入局者数も減って、今までのように各地の病院に医師を派遣できなくなってしまった。その結果、若い医師が減って会員の高齢化が進んでいる。
広島市では広島市民病院、広島赤十字病院、逓信病院、中電病院は岡大から医師を派遣していた。今は広島市民病院と逓信病院だけになってしまった。これは時代の流れであるが、かつて自分が高知県、香川県、兵庫県などの病院に派遣され、貴重な経験ができたことが現在の診療につながっていることを思うと、医局制度を含めた体制のうつろいがさみしい。

日々是好日

平成25年11月15日(金)
今年は秋が短くもう冬支度が始まったかのようである。先週の連休には名古屋に行き、熱田神社、名古屋城、徳川美術館を巡った。名古屋観光ははじめてだったが、圧巻はトヨタ博物館とトヨタテクノミュージアムで、その規模と内容に圧倒された。結構歩き回ったせいか休み明けの朝、イスから立ち上がろうとしたら腰に違和感を覚えたので大事を取り、テニスも2週連続休んでいる。
先日、市内主要病院の外科部長の大腸がんについての講演があった。術後、抗がん剤を使うとのことであったので、いい機会だと思い「巷では抗がん剤は効かないという本が売れていて、読んでみると実に説得力があると思うが見解はどうなのか、また、間違っているならなぜ反論しないのか」質問してみた。それについての回答は、現在、抗がん剤を使うのは標準治療になっている、20人に1人は延命効果があるので、本人に決めてもらっている、とのことだった。答えにくそうだったので懇親会の時に話してみたら、「抗がん剤は効かない」という近藤誠医師への共感ともいえる本音などが聞けて有意義であった。
寒くなればお酒がいっそうおいしくなる。おでん、鍋、燗酒がたまらない季節になってうれしい。

弥山に登る

平成25年10月18日(金)
連休に湯布院に行く予定がなくなったので、運動不足の解消の意味もあり宮島の弥山(みせん)に登った。海抜535メートルの高さで登山というには気が引けるが、海抜0メートルから歩いて登っていく結構急峻な岩山なので、甘く見ると仕返しされるそうである。
世界文化遺産になった安芸の宮島は、古来より神の宿る島として崇拝されており、厳島神社の背後にそびえる弥山は様々な歴史があり、登山道も整備され初心者にも格好の山である。いくつかのコースがあるが、最も一般的な「紅葉谷公園入り口コース」を選び山頂を目指した。以前ロープウエーで登ったことはあるが歩いたのは初めてである。息をきらして何度も休みながら登ったが、外人さんの多いこと、さすが世界遺産である。約1時間半で頂上に着いたが、あいにく展望台は工事中で視界は今一つだった。おにぎりを食べリュックに忍ばせた加茂鶴を飲んで下りは途中に仁王門のある「大聖院コース」を選んだ。このコースが最も整備されているが、これが失敗だった。ほぼすべて石段になっていて膝にこたえるので、本来は登りより早くふもとに着くはずが同じくらい時間がかかった上に疲れた。帰りは己斐駅で下車し大好きなそば屋「はっぴ」で一杯やって帰宅。ここの主人夫婦は明日から10日間店を閉めてマラソンに行くのだとか。
山登りは途中は苦しいけれど登りきった達成感は、その時はそれほど感じなかったけれど翌日、翌々日と、ふくらはぎの痛みが癒えるに従ってわいてくるものだと実感した。季節によっては山歩きもいいと思った。

適材適所

平成25年10月11日(金)
学生時代から試験管を振ったり文献を読み込んで研究することがあまり好きでなかった。とにかく臨床をやりたかったので、実際に患者さんの問診をしたり聴診器をあてたりする実習、ポリクリ(臨床修練)と呼んでいたが、これが最も楽しく真剣にやることができた。実験室にこもって研究するより患者さんと接する方が性に合っていたのだろう。また、大学に残って教授を目指そうとか大病院の部長とか院長になろうとか思ったことは一度もなく、早く技術を身につけて自分の目の前の患者さんを自分のできる範囲で対処できればいいと思っていた。だから優秀な同級生や先輩、後輩には心からエールを送り初心を貫いてほしいと思ったものである。
幸い、自分の分に応じた医院を開くことができ、自分にできる診療を行ってきて気がつけば16年、先月から17年目に入った。これは医者になって三十数年のほぼ半分である。毎日、気持ちよく診療させていただいてありがたいことだ。たぶんこの状態が一番自分に合っていたのだろう。勤務医時代の多忙な日々もやりがいはあったし面白かったが、今あの頃の状態に帰れと言われても無理である。だれでも、その人に合った仕事をその人の状態に合わせて一生懸命やるのが一番幸せなことなのだと思う。

見た目と実質についての考察

平成25年9月28日(金)
通勤に使っているママチャリ風のアシスト自転車の具合が悪くなったので修理に出した。その間、オシャレを重視して買った赤いアシスト自転車を使ってみた。慣れれば問題ないのだろうが、やはりママチャリと比べると乗りやすさが違う。最近流行っているハンドルが一文字でサドルの高い自転車は、ロードレースにはいいかもしれないが市内を普通に走るには快適とは思えない。信号待ちをしている様子を見ても、いちいちサドルから降りるのは面倒だろう。赤いアシスト自転車はそれよりはマシであるが結構似せて作られている。
機能的に優れたものは本来、美しいものである。サルが木から木へ飛び移るのを見ても無駄のない自然な動きで危なげがない。体操競技の鉄棒やつり輪、跳馬などは手足をピンと伸ばすことが重要であるが不自然で見ていてはらはらする。サルたちは決してそのような不自然な動きはしない。見た目の美しさを大切にするのはいいのだが、本来の機能と異なってしまうことが多いのではないか。見た目を重視するのか機能を大切にするのか悩ましいところではあるが、自分としては機能を一番大切にしたい。