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いつものペース

平成18年1月7日(土)
正月気分もすっかり抜けて通常の診療になった。今年は出足があまりよくないようだが、開業して9年目にもなるとあまり気にならない。結局一年を通してみれば同じだということが経験でわかっているからである。
今日は土曜日なのでさすがに忙しく、午後になってやっと普通のペースになった。あまり忙しいと一人ひとりに時間をかけられなくなるのでこれぐらいがちょう ど良いのである。以前勤務医の頃は1時間に14人のペースで妊婦健診をしていたが、まさに驚異的なスピードで今同じようにしろと言われてもできないし、する気もない。やはりきちんと話ができる今のペースが最高である。今年も無理せず自然体で過ごして行きたいものだ。

ピルの普及には時間がかかる

平成17年12月21日(水)
正月休みが近づくとピルを早めに買っておこうと来院される人が多くなる。当院のピルの処方数は結構多いので、在庫のピルが少しでも減ればすぐに補充するよ うにしている。常に400シート(5種類)は置いているが1つの銘柄だけ減ることもあるので在庫の確認が必要である。当院の処方数から見ればピルはかなり 普及してきたように思うのだが、全国レベルでは我が国は依然として世界でも極端にピル使用の少ない国なのだ。折に触れピルの利点を説いているが、普及には まだまだ時間がかかりそうである。

患者さんの取り違え

平成17年12月14日(水)
患者さんを呼んだ時に聞き違えして診察室に入ってこられることがある。めったにないし、話をすればすぐに間違いがわかるのだが、今日はヒヤッとした。同じ 症状で朝一番で来院された二人の患者さんのうちの一人が、自分の名前を呼ばれたと思って診察室に入られた。私も気付かずに症状を聴いて診察していて間違えていることがわかり事なきを得たのである。二人ともほぼ同じ症状、状態なのであった。いつも初めての場合は必ず「○○さんですね」と言って確認してから診 察するし、二度目以降でもたいていは「○○さん、今日はどうされましたか」と言うようにしているのだが、今回はあらかじめ症状を聞いていたので確認しなかったのだ。
あとでスタッフを集めて今回の経過を話して、患者さんの確認は自分も含め何度もするよう徹底した。診察だけであればまだ実害は少ないが、治療や薬を取り違えると大変なことになる。二重三重にチェックすることが大切だと痛感したのである。

院内通信の更新

平成17年9月30日(金)
今日で9月も終わりだ。早いもので休みも結構あったがいつの間にか一ヶ月経ってしまった。今週は患者さんの出足がよくないので「院内通信」などの文章書きがしっかりできた。なにしろ一年は更新してなかったので気にはなっていたのだけれどやっと書くことができたのである。「院内通信」は当院についての情報公開と私のエッセイ(そんなものは見たくないという人もいるかもしれないが)を載せている冊子で結構患者さんが見ているようなので、早く更新しなければと思っていたのである。

思いがけない薬の効用

平成17年9月6日(火)
高脂血症の薬が肝細胞がんに有効であるとの論文が報道された。最も有効だったのはシンバスタチンだという。もし各研究者による追試で正しいことが証明されればすばらしいことである。元来、高脂血症薬は本当に必要な人以外に使われすぎていると思っていたのである。ブームとは恐ろしいもので、コレステロール悪玉論はずいぶん長く通用していてコレステロールの値に一喜一憂している人が多かったが、最近ではあまりいわなくなった。いいことである。
薬については当初の目的とは違った疾患に有効なことがわかって使われだしたものも結構ある。かつては喘息の治療薬が早産防止に使われた。この時は早産には経験的に有効とわかっていてもたてまえでは使えなかったのは、その薬が喘息治療薬としてしか保険適応になっていなかったからである。ずいぶん後になって現在使われている薬が保険適応になったが、その成分は喘息治療薬の兄弟分のようなものである。また、我が国の妊婦さんが薬を恐がるようになった大きな原因のサリドマイドは、骨髄腫に効くことがわかり再評価されている。このように薬でも長い目で見なければ評価が定まらないことがあるが、人間ではそれ以上だろう。
本日は台風接近のため午後3時にクリニックを閉めた。次第に風雨が強くなっている。明日は大丈夫だろうか。

当院のスタイル

平成17年8月23日(火)
お盆明けの忙しさが過ぎて今日はヒマである。生来の貧乏性で何かしていないと落ち着かない。こういう時はカルテ整理が一番いいが、整理の仕事がはかどるのもかえってイヤなような複雑な気持ちだ。ここまで書いてふと以前の記述を見たら結構ヒマという言葉がある。よく流行っているところは別として、当院のようなごく普通のクリニックはこんなものだろうがヒマよりは忙しいほうがいいに決まっている。その施設の評価は患者さんがしてくれるので、精進するしかないのである。
当院に来られた患者さんは、少なくとも受診してよかったと思ってクリニックを出てもらわないと困る。できるだけ少ない回数で、検査は必要最小限、薬は意味のあるものだけ、を基本にしているが、時に患者さんから「○○の検査はしなくていいのですか」と聞かれることがある。「ご希望ならいたしますが、その検査はしなくてももう診断はついているし参考程度の検査なのであなたの負担が増えると思って私はしておりません。」と答えると、ほとんどの人は「それならいいです」とおっしゃる。これが当院のスタイルなのである。

盆明けの患者さん

平成17年8月17日(水)
今日からお盆明けであるがさすがに患者さんが多かった。以前当院を受診していてご主人の転勤などで他県に住んでいて、里帰りで帰っている人の受診も多かった。生まれた赤ちゃんを連れてきて見せてくれる人もおられてうれしいことであった。我々にとって信頼されることは一番大切なことで、もし信頼されなければ自分の力不足を反省しなければならない。信頼されてはじめてほっとしてまた頑張ろうと思うのである。
当院は若い人の受診が多いせいだろうか保険証を持っていない人も時々来院され、今日も二人おられた。一回だけですめばいいが治療が長引くような場合は負担が増えて大変だろう。やはり国民皆保険はすばらしい制度だと改めて思った次第である。

HPV(ヒトパピローマウイルス)への対処

平成17年8月9日(火)
細胞診で軽度の疑陽性の場合は、1~3ヵ月後に再検することが多い。ほとんどの場合、同じ疑陽性の状態が続き、精密検査をしても軽度の異型上皮という悪性ではないが正常でもないという結果が多い。特に若い人の場合はHPVというウイルスの感染による細胞・組織の変化のせいであることがわかってきた。そのままにしておくと、ほとんどの場合は疑陽性のままでそのうち正常にもどることも多いが、一部では悪性に進むこともあるので一定の期間ごとに細胞診をしなければならない。これは本人にとっては不安な気持ちになることに加えて、通院の負担も結構大変だろう。異常を見つけても経過を見る以外には方法がないというのは、どう考えても医療側の責任でなんとかしなければならない問題である。
そこで、HPVに効果のある薬を塗ることによりウイルスを殺し、感染細胞が修復されれば細胞診も正常に戻るのではないかと考えた。ちょうど、いくつかの大学で同じ方法の治療をした論文が発表されていたので、軽度の異型性の続く患者さんにインフォームドコンセントの上治療を試みた。細胞診の異常の認められた部位に1~数回薬を塗るだけであるが、副作用はなく患者さんには何の問題もなかった。
その結果は、現在までのところ32例中14例は正常にもどり、13例は変わらず、1例は進行し、4例は脱落例(来院せず)であった。全くの無治療で経過をみた場合と比較しなければならないが、副作用がないことを考えるとなかなか良好な結果だと思う。もう少しこのまま続けてみるつもりである。

保険証の使いまわし

平成17年8月5日(金)
先日来院された患者さんで、初診なのでカルテをつくろうとしたらすでに6年前に住所氏名生年月日が同じカルテがすでに存在していた。そのことを本人に問いただすと、その頃保険証を持たない友人に自分の保険証を貸したからだろうと、全く悪びれずに言うので驚いた。これは犯罪なのだと厳重に注意しておいたが、初診で来た人の保険証が本当に本人のものかどうかを判別するのは難しいと改めて思った。初診の人に運転免許証を見せろと言うわけにもいかないし、全員が免許証を持っているわけでもない。保険証の使いまわしはしないだろうとの善意の解釈で信用しているのだが、使いまわしをされていても調べることが難しい。少数の不心得の人間のために多数のまともな人が身分証明をしなければならないようにはなって欲しくないが、これに類したことはいっぱいあるだろうからある意味社会のコストと考えなければならないのだろうか。

説明疲れ

平成17年7月2日(土)
いままでの空梅雨がうそのように朝から豪雨となっている。自然はうまくしたもので、我々人間の浅知恵では計り知れない動きで季節が過ぎて行く。結局きちんと帳尻を合わせているようだ。
土曜日のせいか雨だというのに結構患者さんが来院されるので、夕方には疲れてしまった(説明疲れ、しゃべりすぎ?)。特に初めての妊娠で胎児の心拍がなくなって流産と診断した時は、時間をかけて丁寧に説明するのだがなかなか難しい。今日のような日はストレス解消のために、歩いて帰宅したいのだが天気次第だろう。雨が続くと梅雨の晴れ間が待ち遠しくなる。人間とは結構勝手なものだ。