平成27年3月20日(金)
表題は文芸春秋4月号に掲載された立正大学教授、三浦祐之氏と国立科学博物館人類研究部長、篠田謙一氏の対談である。北陸新幹線の工事の際に見つかった富山県の小竹貝塚遺跡からそれまで全部で80体しか発見されていなかった縄文前期の人骨が91体も見つかり、そのDNAを分析することにより縄文時代から弥生時代にわが国がどのように変化していったかがより詳しくわかってきた。
縄文人も実は千島、樺太、朝鮮半島、沖縄などのルートから入ってきた人たちによる混血によって成り立っていて、そこに稲作農耕民である弥生人が入ってきたというのが真相らしい。普通、あとから来た征服者は先住民をほぼ根絶やしにするのが通例であるが、わが国ではゆったりとした融合が行われてきたことがY染色体の分析からわかるという。
これらの科学的分析と古事記の伝承とを重ね合わせてみると、どのようにしてわが国ができてきたの見えてきて、まことに興味深い。伝承と遺跡などの証拠から真実にせまるのは実に面白く、読んでいて飽きないことである。